【神様図鑑】波邇夜須毘売神（はにやすびめのかみ）

波邇夜須毘売神（はにやすびめのかみ）は、
日本神話に登場する「土」や「大地」を司る女神であり、
「陶器（はに）」や「埴輪（はにわ）」といった土の文化に深く関わる神様です。

同じく土の神である**波邇夜須毘古神（はにやすびこのかみ）**と対になる存在で、
古代の人々はこの2柱を通じて、「命が土に還り、また芽吹く」という自然の循環を感じていました。

◆ 基本情報｜波邇夜須毘売神とは？

波邇夜須毘売神は、『古事記』や『日本書紀』において、
火の神火之迦具土神（ひのかぐつちのかみ）が生まれた際、
その影響で亡くなった母神イザナミ命の遺体から生まれた神々の一柱です。

死から新しい神が生まれるという構図は、
「終わりは始まり」「命の循環」を象徴しており、
波邇夜須毘売神は大地と再生の女神として崇敬されてきました。

ご神徳	内容
土器・陶芸の守護	埴輪や土器を生み出す「はに」の女神
農耕・豊穣の守護	大地の恵みを育む神として五穀豊穣を祈願
再生と循環	死後、命が土に還り新たな命が育つ循環の神格
女性守護	女性の身体や出産、創造力を守る女神としての信仰もある

神社名	所在地	特徴
埴山姫神社	愛知県瀬戸市・栃木県益子町など	陶芸のまちで土の神として信仰されている
波邇夜須神社	滋賀県東近江市	古代信仰を今に伝える土の女神の神社
伊勢神宮外宮別宮多賀宮	三重県伊勢市	五穀豊穣・大地の神を祀る聖地で関連性あり（同系統の土の神格とみなされる）

現代でも、以下のような人々にとって大切な守護神とされています。

特に「土から命を生む」性質は、女性の神格としての力と重なり、
創造・受容・癒やしといったテーマにおいて大きな意味を持ちます。

波邇夜須毘売神は、
単なる「土」の神ではなく、命を育み、再び立ち上がらせる力を持つ母なる存在です。