玉祖命(たまのおやのみこと)は、
古代日本において玉(勾玉)を司る神であり、
「玉造部(たまつくりべ)」と呼ばれる工芸集団の祖神とされています。
天照大神の岩戸隠れ神話では、
八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)を創り出す役割を担った重要な存在で、
現在でも職人の神・技術の神・宝飾の神として広く信仰されています。
◆ 基本情報|玉祖命とは?
項目 | 内容 |
---|---|
神名 | 玉祖命(玉祖神、たまのおやのみこと) |
神格 | 勾玉の神、宝飾神、技術神、芸術神、製作技術の守護神 |
ご神徳 | 手仕事上達・芸術・工芸・装飾・技術向上・道具守護 |
主な信仰 | 玉造部の祖神として古代から信仰される |
別名 | 玉作部祖命(たまつくりべのおやのみこと)とも |
◆ 神話における役割
『古事記』『日本書紀』において、
玉祖命は天照大神が天岩戸にお隠れになった際、八尺瓊勾玉を製作した神として登場します。
この勾玉は、後に三種の神器の一つとなる神聖な宝物です。
玉祖命はその製作を任されるほど、高い霊力と技術力を持った神であることがわかります。
また、石凝姥命(いしこりどめのみこと)(鏡の神)と並び、
神器を作る神々の代表格とされます。
◆ 名前の由来
「玉祖(たまのおや)」とは、「玉(宝玉)の祖(始祖)」という意味です。
すなわち、玉をつくる技術を最初に人々に授けた神とされ、
その名の通り、玉造や装飾品に携わる人々から広く崇敬されてきました。
◆ ご神徳|ものづくりの守護神
ご神徳 | 内容 |
---|---|
手仕事の上達 | 工芸、装飾、伝統技術の守護 |
技術向上 | 職人技術、クラフト、IT技術にも適応 |
芸術的感性 | 美意識・造形力の神的サポート |
商売繁盛 | 宝石・貴金属業、手工業などの守護神 |
現代では、アート・デザイン・クラフト・ジュエリー・IT技術など
“手で創造する仕事”に携わるすべての人にとって、玉祖命は心強い神様です。
◆ 玉祖命を祀る主な神社
神社名 | 所在地 | 特徴 |
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玉祖神社 | 山口県防府市 | 全国の玉造職人の信仰を集める総本社的存在 |
玉作湯神社 | 島根県松江市 | 勾玉の産地・玉造温泉の鎮守、玉造部の伝承地 |
志波彦神社 | 宮城県多賀城市 | 玉祖命を合祀している例あり |
各地の玉祖神社 | 全国 | 玉祖命を祀る神社は全国に点在し、玉造の地名も各地に残る |
◆ 現代における信仰
- クラフト作家やデザイナー、職人、ジュエラーの守護神
- 工場や技術者が製品の無事や技術向上を祈願する神
- アート・IT・創作に関わる人々にインスピレーションを授ける神
◆ まとめ|創造の源に宿る職人の神
玉祖命は、
ただの装飾品ではなく、
魂を込めた「ものづくり」そのものを司る神です。
古代から続く創造の技を、
現代の手仕事や創作活動に結びつけてくれる神様として、
静かに、しかし力強く私たちを支えてくれます。
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