【神様図鑑】𧏛貝比売（きさがひひめ）｜神話に秘された“貝の巫女神”の謎

**𧏛貝比売（きさがひひめ）**という神の名をご存知でしょうか？
彼女は古代の神話や伝承の中でも、非常に珍しい存在でありながら、
貝を神格化した女神として、日本古来の自然崇拝や女性の神秘性を象徴しています。

この記事では、名前の意味や想定されるご神格、類似神との関係を通じて、
𧏛貝比売という謎多き女神の姿に迫っていきます。

◆ 基本情報｜𧏛貝比売とは？

項目	内容
神名	𧏛貝比売（きさがひひめ）※「𧏛」は「片（かた）」とも書かれる
よみ	かたかいひめ、またはかたかひひめ
神格	貝の神、女性性の象徴、海と命の守護神、縁結びの神格ともされる
ご神徳	縁結び、安産、浄化、女性の守護、再生、海の安全

「𧏛貝（かたかい／かたかひ）」とは、「片貝」、つまり一枚だけの貝殻を意味するとされています。

これは、日本古来の“貝合わせ”の風習に関連し、
**「もう一方の貝＝運命の相手」「対の魂」**を象徴する言葉とも読めます。

比売（ひめ）は女神を意味する言葉であるため、
𧏛貝比売は、「片割れの貝として存在する女性神＝不完全ゆえに求め合う存在」と解釈することも可能です。

𧏛貝比売の姿や詳細は『古事記』『日本書紀』には記されていませんが、以下のような象徴が読み取れます。

このように、𧏛貝比売は自然信仰・女性信仰・縁結びの原型的な女神としての性質を帯びていると考えられます。

𧏛貝比売という神名自体の登場は極めて限定的ですが、
類似の神として、以下の神々が挙げられます。

𧏛貝比売は、こうした「女性性と水・海・生命を結ぶ神々」の源流に近い存在といえるでしょう。

𧏛貝比売のご神徳をまとめると以下のようになります。

日本を含む多くの文化圏で、貝は女性器・母性・命の起源を象徴してきました。
これは貝の形状や、貝が“内に命を育む器”であることに起因しています。

「𧏛貝比売」のような名前が登場すること自体が、
古代人が貝に対して神聖な女性的存在＝命の始まりを見出していた証とも言えるでしょう。

𧏛貝比売は、登場頻度の少ないマイナーな神ですが、
その名前には「欠けているからこそ求め合い、補い合う」という
人間の本質的なつながりへの願いが込められているように感じられます。

完全であることよりも、
足りないことに意味を見出し、心でつながることの大切さを、
𧏛貝比売は静かに教えてくれているのかもしれません。