【神社めぐり】大神山神社~大山信仰の中心に立つ「山の大神」の社(鳥取県)

今回紹介するのは、鳥取県西伯郡大山町に鎮座する大神山神社。
中国地方を代表する名峰「大山」を御神体とする神社で、大山信仰の中心として古代より崇敬されてきた。

主祭神は大己貴命(大国主命)。
国土開拓・医薬・縁結びなど広い御神徳を持つ神として知られる。

大神山神社は本社(奥宮)・本宮(下山神社)の二つがあり、特に山中に鎮座する奥宮はその荘厳さと空気感で全国の神社の中でも圧倒的な存在感がある。

■ 大山そのものを神体とする古代信仰

大山は古代より「大神岳」と記されるなど、山そのものを神とみなす信仰の対象であった。
神仏習合の時代には大山寺との関係の中で修験・密教・山岳信仰が混在し、平安・鎌倉期には霊山として全国的な信仰を集めていた。

大神山神社はその中心を担う神社であり、「山の大神」大己貴命を祀る場として崇敬された。

■ 日本一長い石畳参道

大神山神社奥宮への参道は約700mも続く見事な自然石の石畳。
これが日本最長といわれている。

参道の途中、樹林帯の中を抜ける空気は深く澄み、歩くだけで古代信仰の世界へ入っていくような感覚があるのがこの神社の大きな体験価値。

■ 奥宮の社殿は国内最大級の権現造社殿

奥宮の社殿は権現造としては国内最大級とされる。
内部の極彩色の装飾は見ごたえがあり、しかも山上にこれだけの造営を行ったという歴史的事実が驚異。

現在の奥宮社殿は江戸時代中期に再建されたもので、国の重要文化財に指定されている。

■ 不思議な話:大山に霊力を見た古代人の感覚

大神山神社に伝わる不思議な話として特徴的なのは、大山そのものが「国の生まれる力」を宿す山として扱われてきたという信仰観。

近代以前、山岳信仰では山を「神が降り立ち、国を生む気が満ちる場所」とみなすことがあるが、大山はその最たる存在として扱われた。

社伝の中でも、大己貴命(大国主命)がこの地で国作りの力を整えたとされ、山=創造の源という意識が明確だ。

神社というよりも“山そのものが神殿”という考え方が非常に色濃く残っているのが、この大神山神社の大きな個性となっている。

■ まとめ

・大山そのものを神とする古代信仰の中心
・奥宮は国内最大級の権現造社殿
・日本最長の石畳参道
・大己貴命を祀る

大神山神社は、神社や歴史の知識が深くなくとも「体験としての神域」を感じ取れる稀有な神社。

観光として訪れる価値も高いが、山岳信仰・修験・古神道を知る上でも欠かせない重要な場所である。

コメント

タイトルとURLをコピーしました