名古屋市熱田区に鎮座する熱田神宮は、草薙神剣を御神体とする日本屈指の古社。その境内には数多くの摂社・末社があり、それぞれに独自の信仰と歴史が息づいています。なかでも特に神秘性が高く、古来より「もっとも尊い社」とされてきたのが**一之御前神社(いちのみさきじんじゃ)**です。
本記事では、一之御前神社の御祭神や歴史、参拝のポイントについて詳しく解説していきます。
一之御前神社とは

一之御前神社は、熱田神宮境内の東側に位置する小さなお社です。その規模は質素ですが、古来より**熱田大神(草薙神剣の神霊)の荒魂(あらみたま)**を祀る最も神聖な社として知られています。
本宮の御神体である草薙神剣は直接人目に触れることはなく、その強大な霊力を分霊し、荒魂を鎮める場として一之御前神社が設けられたと伝えられています。
本殿の北西に位置する一之御前神社は熱田神宮で荒魂を祀る神社で、熱田神宮の中で最も神聖な場所です。
2012年までは一般の入場は禁止されており、写真撮影も一切認められていません。
本殿西側の「心の小径」を進むと参拝することができます。
ご存じかもしれませんが、参拝をする際、本殿では、参拝できたことに関する感謝を申し上げ、お願い事は荒魂である一之御前神社にするというように言われています。
ご祭神は天照大神の荒御魂と言われています。
ちなみに、参拝の時間も
午前9時~午後4時まで
と決まっており、それを過ぎると心の小径への扉が閉まってしまい、入ることができなくなるので一之御前神社を参拝する場合は時間に注意してください。
御祭神
- 熱田大神の荒魂(あらみたま)
神には和魂(にぎみたま/穏やかな御魂)と荒魂(あらみたま/荒々しく強い御魂)の両面があるとされます。一之御前神社では、その荒魂が祀られており、強力な霊験をもたらすと信じられてきました。
とりわけ「勝負運」「魔除け」「国家鎮護」にご利益があると伝えられ、戦国武将をはじめ多くの人々が篤く信仰しました。
歴史と信仰
一之御前神社は、古代から熱田神宮の中でも特に神聖視されてきました。
- **延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)**にも名を連ねる由緒正しい古社であり、格式の高さは全国的にも知られていました。
- 戦国時代には織田信長が桶狭間出陣の際に熱田神宮へ参拝し、特にこの一之御前神社に祈願したと伝わります。
その後も武士や庶民から「最も霊験あらたかな社」として崇敬を集め続けています。
参拝のポイント
- 境内の東側にひっそり佇む
本宮を参拝した後、少し足を延ばして訪ねると、その静謐な空気に心を打たれます。 - 荒魂への祈り
荒魂は強い力を持つため、祈願の際は「心願成就」「勝運祈願」「魔除け」など、力を必要とする場面にふさわしいとされています。 - 撮影禁止エリア
一之御前神社の周辺(こころの小径)は神域が厳しく守られており、写真撮影は禁止されています。参拝の際はその神聖さを心で径じるのが良いでしょう。
まとめ
一之御前神社は、熱田神宮の数ある摂社の中でも特別な存在です。小さな社殿ながら、そこに込められた霊力と歴史は計り知れません。
本宮参拝とあわせて訪れることで、熱田大神の和魂と荒魂、両面の御神徳をいただけると言われています。熱田神宮を訪れる際には、ぜひこの「もっとも尊い社」にも手を合わせてみてください。
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