【神社めぐり】近江神宮 ― 時を司る神を祀る、近代創建の格式ある大社

滋賀県大津市に鎮座する**近江神宮(おうみじんぐう)**は、「天智天皇(てんぢてんのう)」をお祀りする神社です。
昭和15年(1940年)、天智天皇の御代から数えて2600年の節目にあたる記念事業の一環として創建されました。近代に創建された神社でありながら、深い歴史と文化的意義をもつ格式高い神社として知られています。


■ 御祭神と由緒

御祭神:天智天皇(あめのしたしらしめす すめらみこと)

天智天皇は中大兄皇子として知られ、大化の改新を断行し、日本初の律令政治の基礎を築いた人物です。
また、近江大津宮を都としたことから、この地に御鎮座されています。

天智天皇は日本で最初に**漏刻(水時計)**を設け、時を計る制度を導入されたことから、
近江神宮は「時の神様」としても広く信仰を集めています。


■ 創建と建築美

近江神宮は昭和時代の創建ながら、建築様式は伝統を重んじた近代神社建築の傑作といわれています。
朱色の社殿が美しく、荘厳でありながらも清新な雰囲気を放っています。

設計は、伊勢神宮の遷宮建築にも携わった大江新太郎によるもので、
檜皮葺の屋根や檜材の柱など、伝統技法を駆使しながらも近代的な構造を取り入れた設計となっています。

境内は広々としており、正面の大鳥居をくぐると真っすぐに延びる参道が印象的。
春は桜、秋は紅葉が彩りを添え、季節ごとに美しい姿を見せてくれます。


■ 「時の神社」としての信仰

近江神宮の大きな特徴は、「時間」や「時計」に関する神社としての側面です。
境内には「漏刻(ろうこく)祭」や「時の記念日」にまつわる行事が行われ、
「時計感謝祭」など、時計業界や鉄道会社などの参拝も多く見られます。

また、境内の「時計館宝物館」には、日本初の水時計の模型や、
天智天皇の詠まれた有名な和歌「秋の田の~」の歌に関する展示もあります。

「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ
わが衣手は 露にぬれつつ」

この歌は『百人一首』の第一首としても知られ、
天智天皇が詠まれた歌として、かるたの聖地としても信仰を集めています。


■ 百人一首と「競技かるた」の聖地

近江神宮は「百人一首の殿堂」としても有名です。
毎年1月には、映画『ちはやふる』でも知られる**「競技かるた名人位・クイーン位決定戦」**が行われ、
多くのファンが訪れます。

境内には「かるたの碑」も建立されており、
百人一首を通じて文化と伝統を守り続ける場として、全国のかるた愛好家から崇敬を集めています。


■ アクセスと所在地

  • 所在地:滋賀県大津市神宮町1-1
  • アクセス
     京阪電鉄「近江神宮前駅」より徒歩約10分
     JR「大津京駅」からも徒歩圏内
  • 駐車場:あり(無料駐車場完備)

■ おわりに

近江神宮は、古代と現代をつなぐ不思議な魅力をもつ神社です。
天智天皇が築いた「時を計る文明」は、現代社会においても欠かせない概念。
その原点を感じることができる場所として、訪れるたびに新しい発見があります。

時の神・天智天皇に手を合わせながら、
「今」という瞬間の尊さを改めて感じてみてはいかがでしょうか。

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