【神社めぐり】金鑽神社(埼玉県)

― 天照大神が一時鎮まった“日の神の聖地” ―

■ はじめに

埼玉県の北西部、神川町の金鑽山(かなさなやま)の麓に鎮座する**金鑽神社(かなさなじんじゃ)**は、古くから「関東随一の古社」と称されるほどの歴史を誇ります。
この神社は、伊勢神宮の元宮(もとみや)と伝わるほど由緒正しく、天照大神がこの地に一時鎮まったという伝説を持つ、まさに“太陽神ゆかりの聖地”です。


■ 御祭神

  • 天照大神(あまてらすおおみかみ)
  • 素戔嗚尊(すさのおのみこと)
  • 日本武尊(やまとたけるのみこと)

金鑽神社は、伊勢の天照大神を祀る神社として知られ、さらに天照大神の弟・素戔嗚尊、そして古代英雄・日本武尊を共に祀ることで、「太陽」「風雨」「勇気」の三柱が調和する力強いご神徳を宿しています。


■ 神社の由緒と伝説

◇ 伊勢の元宮とされる神話的由緒

古代の記録によれば、天照大神は天孫降臨以前、この地・金鑽山に一時鎮まったと伝えられています。
その後、豊鍬入姫命(とよすきいりひめのみこと)が神意を受けて伊勢へ遷し祀ったことから、金鑽神社は「伊勢神宮の元宮(もとみや)」と呼ばれるようになりました。

この伝承は、『延喜式神名帳』にも記載されるほど古く、古代人が日の神が最初に降り立った場所として神聖視したことを物語っています。

◇ 金鑽山と御神体山信仰

本殿の背後にそびえる金鑽山(標高409m)は、古来より神体山として崇敬され、山そのものが御神体とされています。
そのため、かつては本殿を設けず、山を直接拝む「自然崇拝の原型」を今に伝える場所でもあります。

◇ 日本武尊とのゆかり

伝説によれば、日本武尊が東征の際、金鑽神社に戦勝祈願を行い、のちに「火打石」を奉納したと伝わります。
境内には「火打石神社」も祀られ、武運長久・勝負運の神として信仰を集めています。


■ 主な見どころ

● 火打石神社

日本武尊が祈願したとされる社。火打石が納められており、古来より災厄除けや勝負事の祈願に霊験あらたかとされています。

● 御神体山・御嶽参道

本殿の背後から続く登山道を進むと、金鑽山の中腹に「御嶽神社」があり、さらに山頂からは関東平野を一望できます。古代の人々がこの山を太陽信仰の対象としたこともうなずけます。

● 銅鏡・古墳群

境内や周辺からは古墳時代の遺物が多く出土しており、特に銅鏡や勾玉などは、古代祭祀の痕跡を今に伝える貴重な史料となっています。


■ ご利益

  • 開運招福
  • 勝負運・武運長久
  • 厄除け
  • 太陽のような活力を授かる

天照大神の光の力と、日本武尊の勇気の加護を併せ持つため、人生の節目や新たな挑戦のときに参拝すると心強いご加護を授かれるとされています。


■ アクセス

  • 所在地:埼玉県児玉郡神川町二ノ宮750
  • アクセス:JR八高線「丹荘駅」から徒歩約30分、または車で約5分
  • 駐車場:あり(無料)

■ まとめ

金鑽神社は、単なる古社ではなく、日本の太陽信仰の原点ともいえる特別な場所です。
伊勢神宮へとつながる“日の神の道”を思わせる静謐な空気の中で、古代人が感じた畏敬の念を今も体感できます。

もし関東にお住まいの方で「伊勢まで行くのは遠い」と感じている方は、ぜひ一度金鑽神社を訪れてみてください。
その清らかな光に包まれた境内で、心が洗われるような祈りの時間を過ごせることでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました