奈良県磯城郡田原本町に鎮座する「鏡作坐天照御魂神社(かがみつくりいますあまてらすのみたまじんじゃ)」は、その名前の通り鏡作の祖神を祀る神社であり、三種の神器の一つ「八咫鏡」と深い縁を持つ神社として古くから信仰されている、非常に重要な古社です。
主祭神
- 天照御魂大神(あまてらすのみたまのおおかみ)
- 石凝姥命(いしこりどめのみこと)
石凝姥命は、三種の神器である八咫鏡を制作したと伝えられる「鏡作りの祖神」。この神社はその鏡作りの技術の発祥地という由緒をもつことから「鏡作神社」として古くより知られ、奈良盆地の中でも非常に古い歴史背景を持つ地域にあります。
由緒と歴史
記紀神話に記される「天岩戸神話」で、天照大神が岩戸に隠れた際、八咫鏡を鋳造したのが石凝姥命と伝えられています。
その鏡作りの技術が大和で栄え、朝廷へ献上する鏡を作る専門氏族が「鏡作部(かがみつくりべ)」です。
この神社は鏡作部が奉斎した神社で、彼らの職掌・技術を守る中心的な神社でした。
現在でも境内には「鏡池」と呼ばれる池が残り、鏡の製作工程に関係したとされる水を象徴する場所として伝わっています。
見どころ
- 鏡にまつわる神霊の空気
境内は静かで、古来の技術を想起させる落ち着いた雰囲気があります。
観光地化の派手さよりも、古代の信仰の余韻を感じる場所。 - 磯城の古代信仰圏を感じられる位置
奈良盆地の中心右下側に位置し、この地域は古代豪族物部氏の勢力圏としても知られる場所で、神話や古代国家形成に関わる空気感が濃い。 - 近くに鏡作神社(境外)も複数存在
田原本町周辺には「鏡作」名の神社が複数あり、この地域一帯が鏡の生産・献上に関わった土地であることを示します。
こんな人におすすめ
- 古代技術ルートを巡る神社旅が好き
- 三種の神器のテーマ巡りをしている
- 天岩戸神話や八咫鏡に興味がある
- ゆったり静かに参拝したい
アクセス
奈良県磯城郡田原本町八尾
田原本駅からアクセスしやすく、奈良観光とセットで巡りやすい立地。
伊勢街道や古代の交通路とも重なる地域のため、古代の「国家の中心」を旅するルートの一つとしても位置づけできます。
まとめ
鏡作坐天照御魂神社は、神話の世界をそのまま現実に繋げる稀有な神社。
八咫鏡という国家の根幹に関わる神器に関連した神を祀り、鏡=太陽の象徴、真実を映す象徴としての信仰が続いています。
「神器をテーマ化した神社めぐり」をする際には、必ずラインナップに入れておきたい一社です。

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