【神社めぐり】霊峰・英彦山に鎮まる神々 —英彦山神宮(福岡県添田町)—

✨日本三大修験道の聖地・英彦山

福岡県田川郡添田町に鎮座する英彦山神宮(ひこさんじんぐう)は、標高1,200メートルを超える霊峰・英彦山の中腹に位置し、古代から「天と地を結ぶ聖なる山」として崇められてきました。
修験道の根本道場として栄え、奈良の大峰山、山形の出羽三山と並んで日本三大修験道のひとつ
に数えられます。

「彦山(ひこさん)」の名は、かつて「日子山」とも書かれ、太陽の神聖な力を象徴する山として信仰されていました。後に「英」の字を冠し、「英彦山」と称されるようになります。


⛩御祭神

主祭神は次の三柱の神々です。

  • 正哉吾勝勝速日天忍穂耳命(まさかあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)
    …天照大神の御子で、天孫降臨の神。高天原と地上の間をつなぐ存在。
  • 彦火火出見命(ひこほほでみのみこと)
    …海幸・山幸神話で知られる山幸彦。豊穣と航海の神。
  • 鸕鶿草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)
    …初代天皇・神武天皇の父神。国家の繁栄を象徴する神。

この三柱は「日子三神(ひこさんじん)」として一体に祀られています。


🏯神社の由緒と歴史

英彦山信仰の起源は、古代に山そのものを神とした自然崇拝にあります。
天智天皇の時代(7世紀)に役小角(えんのおづぬ)が入山し、修験の道場として開いたと伝わります。
奈良時代には朝廷の保護を受け、聖武天皇の勅願により社殿が整備され、「彦山大権現」として全国にその名が広まりました。

中世から近世にかけては、英彦山は山伏(やまぶし)たちの総本山として繁栄。最盛期には数百の坊が立ち並び、数千人の修験者が修行に励む壮大な宗教都市を形成していました。

明治時代の神仏分離令により「彦山権現」は廃され、1873年に「英彦山神社」となり、後に英彦山神宮の社号が与えられました。


🌄修験道と信仰の聖地

英彦山は、修験道の厳しい行場として知られています。
山中には「玉屋神社」「奉幣殿」「中津宮」「上宮」などがあり、参道を進むごとに修行の段階を象徴する構造になっています。
石段は約800段にもおよび、上るほどに霊気が濃くなるような神聖な雰囲気に包まれます。

特に山頂の「上宮」は、天と地をつなぐ神聖な場所とされ、雲上から九州一円を望む絶景の中で、古代より多くの修験者が祈りを捧げてきました。


🍃英彦山の伝説

英彦山には数多くの伝説が残ります。
その中でも有名なのが、「天照大神の御子・天忍穂耳命が降臨した地」という伝承です。
また、英彦山には「鬼神が住んだ」「天狗が修行した」との逸話もあり、山伏たちの神秘的な修行の地として語り継がれています。


🎋見どころ

  • 奉幣殿(ほうへいでん):重要文化財。荘厳な社殿で、英彦山信仰の中心。
  • 銅の鳥居:九州最古の銅製鳥居。青銅の輝きが歴史を物語る。
  • 修験の石段:参道の階段を登るごとに、心が清められるような感覚。
  • 英彦山の自然:四季折々の紅葉やブナ林、霧の立ち込める幽玄な風景は圧巻。

🙏御利益

英彦山神宮の御祭神は「天孫降臨」に関わる神々であるため、

  • 国家安泰
  • 開運招福
  • 事業繁栄
  • 厄除け・交通安全
    などのご利益があるとされています。
    また、修験道の聖地として心身の浄化・修行成就を願う参拝者も多く訪れます。

🚶アクセス

  • 所在地:福岡県田川郡添田町英彦山1
  • 交通:JR日田彦山線「彦山駅」下車、バスで約10分
  • 駐車場:あり(奉幣殿付近)

🌸まとめ

英彦山神宮は、ただの神社ではなく「山そのものが神域」である場所。
霊気に包まれた英彦山の空気を吸い込むと、古代から続く人々の祈りと、自然とともに生きた信仰の息吹を感じることができます。

一歩踏み入れれば、日常の喧騒から離れ、心が静まり、魂が洗われるような体験ができるはずです。
日本の古代信仰と修験の世界に触れる旅として、ぜひ一度訪れてみてください。

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