日本書紀に描かれる「天地開闢」とは

古代日本の神話は『古事記』と『日本書紀』の二大史書にまとめられていますが、中でも宇宙のはじまりを語る物語は「天地開闢(てんちかいびゃく)」と呼ばれます。日本書紀では、世界と神々がどのように誕生していくのかを、多くの異伝(複数の伝承)を並べながら描いています。

この記事では、日本書紀における「天地開闢」の内容を中心にわかりやすく整理します。


世界のはじまり

日本書紀は冒頭において、宇宙の最初を「元(はじめ)」と説明します。
混沌とした状態の中から、まず「天」と「地」が別れ、そして陰陽の気が分かれ、それぞれが形を整えていきます。

日本書紀では、この天地が整っていく過程を
「混沌から秩序が生まれていく過程」
として描いており、非常に抽象的な神話表現が続きます。


初めに現れる神々

日本書紀の第一の本文(正伝)では、天地が成り始めた頃、最初に「国常立尊(くにのとこたちのみこと)」が出現したと記されます。

続いて「国狭槌尊(くにさづちのみこと)」が現れ、さらに次々と神々が生まれます。

(※古事記は「造化三神」から始まりますが日本書紀は構成が異なります)

日本書紀は多くの異伝を掲載し、
始源の神がどの神なのかは一つに決めず、多様な伝承を併記しています。
これは日本書紀の特徴のひとつです。


伊邪那岐・伊邪那美の登場

やがて、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)・伊邪那美命(いざなみのみこと)の二神が登場し、地上世界(大八洲国=日本列島)を形作る使命を与えられます。

この二神が「天の沼矛(あめのぬぼこ)」で大地をかき混ぜ、滴り落ちたものが島となり、そこを基点として国土造りが始まるストーリーは、後の国生み・神生みに続いていく重要パートです。


日本書紀天地開闢のポイントまとめ

  • 宇宙は最初は混沌
  • 陰陽の気が分かれ、天と地が形成される
  • 初源の神々が順々に現れ、世界の秩序が整い始める
  • 伊邪那岐命・伊邪那美命による国生みへ物語が展開していく
  • 日本書紀は異伝が多く、統一された固定形ではない

まとめ

天地開闢は、日本という国の始まりを語る以前に「宇宙の根源」を語る章です。
世界の成立を抽象的に描きながらも、そこに秩序・陰陽・生成という思想が根底に流れています。

そして、この始原の神々の系譜は、伊邪那岐・伊邪那美へと続き、そこから国土と八百万の神々が展開していく――日本神話の大きな流れはここからスタートします。

この「日本書紀天地開闢」を理解しておくと、その後の国生み・神生みや天孫降臨といった物語全体が見通しやすくなり、神社参拝や日本神話研究もより深みを増すでしょう。

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