愛知県稲沢市に鎮座する**尾張大國霊神社（国府宮）**の御祭神として祀られているのが、「尾張大國霊神（おわりおおくにたまのかみ）」です。
名前からもわかるように、これは**「尾張の国魂（くにたま）」**、つまりその地域全体の霊力や土地神の象徴として信仰されてきた神様です。
今回はこの【尾張大國霊神】の由緒や性格、ご利益、他の神との関係などを掘り下げ、神様図鑑としてご紹介します。
◆ 神様の基本情報
- 神名：尾張大國霊神（おわりおおくにたまのかみ）
- 読み方：おわりのおおくにたまのかみ
- 祀られている主な神社：尾張大國霊神社（国府宮／稲沢市）
- 神格：国魂神（土地を守る神）、総社神（尾張国内の神々を束ねる存在）
◆ 尾張大國霊神とは？
「大國霊神（おおくにたまのかみ）」とは、古代の律令国家において、特定の国（くに＝地方）の土地や民を守護する神格です。各地に大國魂・大國霊を祀る神社があり、尾張国ではこの神が国の守護神とされてきました。
尾張大國霊神は、特定の神話に登場する神ではなく、地域の神々の集合的な霊威、いわば「尾張の総神」として位置づけられています。
類似する神：
- 武蔵国 → 武蔵総社六所神社（大國魂神社）
- 相模国 → 大磯の大磯神社（大国魂神を含む）
このように「大國霊」と名のつく神は、土地そのものの神格化として古代の国司（地方の長官）により重要視されました。
◆ どんなご利益があるの？
尾張大國霊神は、地域守護の神であることから、以下のようなご利益が伝えられています。
- ✅ 厄除け・災難除け
- ✅ 病気平癒・健康祈願
- ✅ 五穀豊穣・農業守護
- ✅ 商売繁盛・地域繁栄
- ✅ 国家安泰・天下泰平
特に有名なのが、神男（しんおとこ）に厄を移して落とすという「はだか祭（儺追神事）」。これは、尾張大國霊神の力によって疫病や災厄を祓うための神事です。
◆ 信仰の広がりと特徴
- 尾張大國霊神は**国府宮（こくふのみや）**という呼び名で親しまれています。
- 「総社（そうしゃ）」という形式をとり、かつて尾張国内の主要神社の神々をすべて合祀していたとされます。
- このような神社は、国司が赴任の際に一括して地域の神々に挨拶するために設けられたものです。
◆ 他の神様との関係
「大國霊神」という神名は、「大国主命（おおくにぬしのみこと）」と混同されることがありますが、別の神格です。
- 🟨 大国主命：国造り神話に登場する英雄神。出雲大社に祀られ、縁結び・福の神として有名。
- 🟦 大國霊神：地方の国（土地）の霊格化。古代の祭政における地域守護神。
ただし、祭祀のなかで両者が習合・重ねて祀られることもあり、時代が下るにつれ信仰の境界はあいまいになっていきました。
◆ 尾張大國霊神を祀る神社
🏯 尾張大國霊神社（国府宮）
- 所在地：愛知県稲沢市国府宮1丁目1-1
- 祭典：「はだか祭」「儺追神事」など
- 建築：楼門・本殿・磐境など重厚な構造が特徴
この神社では、尾張大國霊神の他にも大御霊神、猿田彦命、宗像三女神などが祀られ、幅広いご利益が期待できます。
◆ まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 神名 | 尾張大國霊神（おわりおおくにたまのかみ） |
| 神格 | 地域の国魂神・守護神 |
| ご利益 | 厄除け、病気平癒、農業守護、国家安泰 |
| 信仰の中心地 | 尾張大國霊神社（国府宮） |
| 特徴 | 尾張国総社・はだか祭で知られる |
尾張の土地に根ざし、人々の暮らしを見守ってきた尾張大國霊神。派手さはありませんが、地域を支え続けてきた「縁の下の力持ち」のような神様です。厄年の人や地元の平安を祈る方には、ぜひ一度参拝をおすすめしたい神様です。
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