日本全国のお寺を訪れると、多くの寺院で「本尊:釈迦如来」と書かれているのを目にします。
でも、「釈迦如来ってそもそも誰?」「ほかの仏様と何が違うの?」と思ったことはありませんか?
今回は【仏様図鑑】シリーズ第1回として、**釈迦如来(しゃかにょらい)**について、由来・特徴・信仰・仏像の形などを詳しくご紹介します。
■ 釈迦如来とは?
● 仏教を開いた“歴史上の人物”
釈迦如来とは、仏教の開祖である**釈迦牟尼(しゃかむに)のこと。
紀元前5世紀ごろ、インドのシャカ族の王子として生まれ、本名はゴータマ・シッダールタ(Gautama Siddhārtha)**といいます。
29歳で出家し、35歳で悟りを開き、**仏陀(目覚めた者)**となった後、人々に教えを説いてまわりました。
その教えがのちの仏教となり、今も世界中で信仰されています。
● 仏陀=如来(にょらい)
悟りを開いた存在は「如来」と呼ばれます。
つまり、「釈迦如来」はこの世に実在したお釈迦様が、悟りを開いて仏陀となった姿ということです。
■ 釈迦如来のご利益・信仰
釈迦如来は、人々を正しい教えへ導く仏様です。
そのため、以下のようなご利益があるとされています。
- 心の安定・悟りへの導き
- 教育・学業成就
- 人間関係の調和
- 生き方への気づき・迷いの解消
特に、「生きている今の苦しみ」に寄り添ってくれる仏様とされ、多くの信仰を集めています。
■ 釈迦如来の仏像の特徴
釈迦如来像には、いくつかの決まった特徴があります。
要素 | 特徴 |
---|---|
頭髪 | 螺髪(らほつ)という巻き貝状の髪。頭頂に肉髻(にっけい)と呼ばれるコブがある |
顔 | 穏やかで静かな表情。微笑みをたたえる |
衣装 | シンプルな僧衣(袈裟)。装飾はほとんどない |
手の形(印相) | 施無畏印(せむいいん)や与願印(よがんいん)などが多い |
特に有名なのが、「説法印(せっぽういん)」や「転法輪印(てんぽうりんいん)」など、教えを説く姿を表す印相です。
■ 釈迦如来の姿のバリエーション
釈迦如来像には、人生の場面ごとに姿を変えた「釈迦三尊」や「涅槃像」などの表現もあります。
名称 | 内容・特徴 |
---|---|
釈迦三尊像 | 中央に釈迦如来、両脇に文殊菩薩(知恵)・普賢菩薩(実践)を配した形式 |
涅槃像(ねはんぞう) | 入滅(亡くなる)直前の釈迦如来を表す寝仏像 |
誕生仏(たんじょうぶつ) | 生まれた直後の釈迦。右手を天に、左手を地に向けて指すポーズが特徴 |
■ 釈迦如来を本尊とする代表的なお寺
お寺名 | 所在地 | 備考 |
---|---|---|
清水寺 | 京都府 | 音羽山清水寺。観音信仰も融合 |
善光寺 | 長野県 | 無宗派で、釈迦三尊形式の本尊(絶対秘仏) |
仏隆寺 | 奈良県 | 最古の釈迦如来立像が伝わる |
広隆寺 | 京都府 | 日本最古の国宝仏「弥勒菩薩像」もあるが、釈迦信仰も強い |
■ おまけ:釈迦如来にまつわる豆知識
- 誕生日は「4月8日」:全国の寺で「花まつり」が行われ、誕生仏に甘茶をかけて祝います。
- 入滅日は「2月15日」:釈迦如来の命日。涅槃会(ねはんえ)という法要が営まれます。
- 実在の人物ゆえ、歴史的・人間的な親しみを持ちやすい仏様といわれています。
■ まとめ|釈迦如来は“仏教の原点”
釈迦如来は、仏教という宗教の原点であり、仏の中でもっとも実在性を感じられる存在。
その教えは「今を生きる私たち」にも通じるものがたくさんあります。
- 苦しみをどう乗り越えるか
- 他者とどう向き合うか
- 執着を手放すとはどういうことか
そんな問いに耳を傾けながら、釈迦如来に手を合わせてみてください。
そこにはきっと、「仏の道」のやさしさが息づいているはずです。
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