【伝説図鑑】熱田神宮に残る伝承と伝説

 名古屋を代表する熱田神宮。
 熱田神宮には三種の神器のひとつ「草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)」を祀る神社として知られ、古代から現代にいたるまで数々の伝承や伝説が語り継がれてきました。今回は、その中でも有名な物語や事件をご紹介します。


素戔嗚尊(スサノオ)の伝説

熱田神宮には、草薙神剣を生み出した神・素戔嗚尊の伝説も息づいています。

八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した際、その尾から現れたのが草薙神剣。スサノオはこれを天照大神に献上し、やがて天孫降臨の系譜を経てヤマトタケルの手に渡ります。

つまり、熱田神宮に祀られる剣は「荒ぶる神を鎮めた武勇の象徴」であり、スサノオの勇気と荒魂(あらみたま)の力を今に伝えているのです。


ヤマトタケル伝説 〜白鳥となった英雄〜

熱田神宮の御神体である「草薙神剣」は、日本武尊(ヤマトタケル)の物語と深い関わりがあります。

ヤマトタケルは東征の際、荒ぶる神の火攻めに遭いますが、叔母である倭姫命から授かった草薙神剣と火打石で難を逃れました。後に病に倒れた際、この剣を熱田の地に祀るよう遺言を残し、魂は白鳥となって天へ飛び立ったと伝えられています。

この伝承にちなみ、境内には「白鳥庭園」「白鳥古墳」など、白鳥にまつわる地名や遺跡が残されています。


楊貴妃 〜蓬莱伝説〜

 熱田神宮の北東側には「こころの小径」とよばれる場所があり、その小径を行ったところに清水社とよばれるお社があります。
 そのお社は罔象女神(みずはのめがみ)が祀られ、遠く中国の伝説的人物・楊貴妃にまつわる伝説があり、伝説によれば、熱田大神が中国に渡り秦の始皇帝に愛された楊貴妃となったという話が存在します。
 清水社の伝説については以前に記事にまとめたので下の記事を確認してください。
 


草薙剣盗難事件 〜歴史を揺るがした盗み出し〜

 熱田神宮の歴史には、実際に起きた事件も記録されています。

 **草薙剣盗難事件(668年)に、朝鮮の僧侶が熱田神宮から御神体である草薙剣を盗み出しました。幸いにも剣は熱田に戻されましたが、この出来事は大きな衝撃を与えました。

以後、草薙剣は厳重に秘蔵され、現在では一般公開されることは一切なく、その存在は神秘の象徴としてさらに厚い信仰を集めるようになりました。
 盗難事件の詳細は過去に記事にまとめたので、下の記事を見てください。


まとめ

熱田神宮には、英雄ヤマトタケルの白鳥伝説や、スサノオの八岐大蛇退治、異国ロマンを秘めた楊貴妃伝説、さらには近代に起きた草薙剣盗難事件など、数多くの物語が息づいています。

これらの伝承や事件は、神社を訪れる人々に「ただの参拝地」ではなく、「歴史と神話が交差する舞台」であることを教えてくれます。

熱田神宮を訪れる際には、ぜひこうした伝説に思いを馳せながら境内を歩いてみてはいかがでしょうか。

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