京都・東山に鎮座する「八坂神社(やさかじんじゃ)」は、全国に約2,300社ある「八坂神社」「祇園社」「素戔嗚神社」の総本社です。
「祇園さん」の愛称で親しまれ、京都の人々の暮らしと共に歩んできた千年以上の歴史を持つ神社。
京都三大祭のひとつ「祇園祭」の舞台としても知られ、日本の信仰と文化を象徴する存在です。
■ 八坂神社の基本情報
- 所在地:京都府京都市東山区祇園町北側625
- 主祭神:
- 素戔嗚尊(すさのおのみこと)
- 櫛稲田姫命(くしいなだひめのみこと)
- 八柱御子神(やはしらのみこがみ)
- 社格:式内社(名神大社)、旧官幣大社
- 別称:祇園社、感神院
■ 八坂神社の起源
八坂神社の創建は古く、社伝によれば 斉明天皇2年(656年) にまで遡ります。
高麗から来た神人・伊利之(いりし)がこの地に「牛頭天王(ごずてんのう)」を祀ったのがはじまりとされます。
牛頭天王は疫病除けの神として信仰され、後に日本の神「素戔嗚尊(スサノオノミコト)」と習合しました。
この融合こそが、八坂神社が全国に広がる「祇園信仰(ぎおんしんこう)」の発祥となったのです。
■ 疫病退散の神として
古代、京都では疫病が頻発し、都の人々を苦しめました。
貞観11年(869年)、全国で疫病が流行した際、当時の朝廷は八坂神社の神を鎮めるために66本の鉾を立て、祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)を行いました。
この御霊会こそが、現在も続く 「祇園祭」 の起源です。
つまり、八坂神社は「疫病除け」「厄除け」の神としての信仰を持ち、千年以上にわたり人々の健康と平穏を守り続けてきたのです。
■ 八坂神社の御祭神
八坂神社の中心となる神は 素戔嗚尊(すさのおのみこと)。
高天原を追放されたのち、出雲の地で八岐大蛇(やまたのおろち)を退治し、櫛稲田姫命を救った勇猛な神です。
その荒々しさと慈悲深さを併せ持つ神格が、災厄を祓い、人々を守る神として崇められています。
- 素戔嗚尊:厄除け・病気平癒・開運の神
- 櫛稲田姫命:良縁・夫婦和合の神
- 八柱御子神:家族円満・子孫繁栄の神
家族で信仰できる「家族守護の神」としても親しまれています。
■ 祇園祭と八坂神社
毎年7月に行われる 「祇園祭」 は、日本三大祭の一つであり、八坂神社の例祭です。
1,100年以上の歴史を誇り、1か月にわたって京都の町全体が祭の熱気に包まれます。
特に、山鉾巡行 は圧巻で、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。
もともとは疫病退散を願う御霊会として始まり、現代でも「無病息災」「厄除け」を祈る人々の祈りが込められています。
■ 八坂神社の見どころ
◆ 西楼門(にしろうもん)
四条通の東の端に建つ朱塗りの大門。
京都を代表するランドマークで、夜にはライトアップされ、祇園の街を見守ります。
◆ 本殿
八坂神社の本殿は、本殿と拝殿が一体化した独特の「祇園造(ぎおんづくり)」という建築様式。
国の重要文化財に指定されています。
◆ 美御前社(うつくしごぜんしゃ)
女性に人気のパワースポット。
湧き出る「美容水」を肌につけると、美しさと心の清らかさが得られるといわれています。
◆ 疫神社(えきじんじゃ)
八坂神社の末社で、蘇民将来(そみんしょうらい)を祀っています。
夏越の祓の際に授与される「蘇民将来子孫也(そみんしょうらいのしそん)」のお守りは、疫病除けの象徴です。
■ ご利益
- 厄除け・疫病退散
- 健康長寿
- 良縁・夫婦和合
- 美容成就
- 商売繁盛
素戔嗚尊の荒魂と櫛稲田姫命の和魂が共に祀られているため、「厄を祓い、幸福を呼ぶ」バランスの取れたご利益があるとされています。
■ 全国の八坂神社・祇園社へ
八坂神社の信仰は、平安時代から全国へと広まりました。
特に鎌倉、博多、出雲、名古屋などに分霊が勧請され、各地で「祇園祭」が行われるようになります。
その結果、「八坂神社」「祇園神社」「天王社」といった社号が全国に広がりました。
■ まとめ
八坂神社は、千年以上にわたって人々の厄を祓い、都を守り続けてきた神社です。
祇園の華やかな街並みに溶け込みながらも、境内には深い静寂と神聖な空気が漂います。
厄を祓い、心を整え、健康と美、そして良縁を願う参拝にはぴったりの場所。
京都を訪れるなら、一度は立ち寄りたい“都の守り神”です。
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