【神社めぐり】三河国二之宮 ― 知立神社(ちりゅうじんじゃ)


■ 東海道の宿場に鎮座する古社

愛知県知立市に鎮座する「知立神社(ちりゅうじんじゃ)」は、三河国の**二之宮(にのみや)**として古くから崇敬を集める由緒正しい神社です。
かつては「池鯉鮒大明神(ちりゅうだいみょうじん)」と呼ばれ、東海道三河路の守護神として旅人や商人から信仰されてきました。

社地は旧東海道の宿場町「池鯉鮒宿(ちりゅうしゅく)」の中央に位置し、
古くから交通の要衝として栄えた地域における精神的な中心でもあります。


■ 由緒と歴史

知立神社の創建は古く、『延喜式神名帳』にもその名が記される式内社です。
社伝によると、第12代景行天皇の時代に創建され、
第14代仲哀天皇の御代に社殿が整備されたと伝えられています。

主祭神は、弘法大師空海の守護神としても知られる「鎮守の神」五柱です。
なかでも中心となるのは、
知立大神(ちりゅうのおおかみ)=猿田彦命(さるたひこのみこと)

天孫降臨の際に邇邇芸命(ににぎのみこと)を導いた神で、
道開き・交通安全・旅の守護神として古来より崇められてきました。

また、地主神として**事勝国勝長狭命(ことかつくにかつながさのみこと)**を祀るなど、
勝運招来や成功祈願の神社としても知られています。


■ 境内の見どころ

  • 拝殿・本殿
     朱塗りの社殿が印象的で、江戸時代に尾張徳川家の寄進により再建されたもの。
     歴史の風格と美しさを兼ね備えています。
  • 多宝塔(国指定重要文化財)
     知立神社の境内にある多宝塔は、鎌倉時代の建築様式を残す貴重な文化財。
     八角形の屋根と繊細な彫刻が見事で、学術的価値も高い一塔です。
  • 池鯉鮒の名の由来
     「池に鯉と鮒が泳ぐ地」から名付けられたと伝わるこの地は、
     神社の周囲に池が多く、水の神としての信仰も篤い地域です。
  • 知立まつり(5月2日〜5日)
     江戸時代から続く「山車文楽とからくり人形」で知られ、国の重要無形民俗文化財にも指定。
     神社の例祭として華やかに開催され、地元の誇りと伝統を感じられます。

■ ご利益

  • 交通安全・旅行安全
  • 開運招福
  • 勝運成就
  • 縁結び
  • 厄除け

猿田彦命は“道をひらく神”として知られ、
新しい挑戦を始めるとき、人生の分岐点に立つときに参拝すると良いとされています。


■ 年中行事

  • 初詣(1月1日〜3日):県内外から多くの参拝者が訪れます。
  • 知立まつり(5月初旬):山車文楽が奉納される、知立最大の祭礼。
  • 秋の例祭(10月):五穀豊穣を感謝する厳かな神事。

■ アクセス情報

  • 所在地:愛知県知立市西町神田12
  • アクセス
     ・名鉄名古屋本線・三河線「知立駅」より徒歩約8分
     ・伊勢湾岸自動車道「豊田南IC」から車で約15分
  • 駐車場:あり(無料)

■ まとめ

知立神社は、古代から“道”と“旅”を守る神として人々に寄り添ってきた、三河の名社です。
その境内には、古代から続く東海道の息吹と、土地の人々の信仰が今も息づいています。

人生の道に迷ったとき、新しい一歩を踏み出すとき、
知立神社の“道開きの神”に祈れば、きっと明るい未来への道が見えてくるでしょう。

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