【神社めぐり】海とともに生きる神々の社 —海神社(兵庫県神戸市垂水区)—

🌊海を司る神々を祀る港の守護神

神戸市垂水区の海岸沿い、瀬戸内海を望む場所に鎮座する海神社(わたつみじんじゃ)は、古くから航海安全・漁業繁栄の守護神として厚く信仰されてきました。
明石海峡を見下ろすその立地は、まさに“海を見守る神社”と呼ぶにふさわしく、古代から海上交通の要衝であるこの地に神々が祀られてきたことを物語ります。


⛩御祭神

海神社の主祭神は、海そのものを神格化した「綿津見三神(わたつみのさんしん)」です。

  • 表筒男命(うわつつのおのみこと)
  • 中筒男命(なかつつのおのみこと)
  • 底筒男命(そこつつのおのみこと)

これら三柱は、海の表(表面)、中(中層)、底(深海)を司る神々で、住吉大神としても知られています。
また、神社の社号「海神」は「わたつみ(海神)」に由来し、まさに“海そのもの”を象徴しています。


🏯由緒と歴史

『日本書紀』や『古事記』にも名を残す海神(わたつみ)信仰は、日本最古の自然信仰のひとつ。
海神社の創建は定かではありませんが、伝承によれば、神功皇后が三韓征伐の帰途において海上の守護を感謝し、祀られたのが始まりとされます。

この地・垂水(たるみ)は古代より瀬戸内航路の要地であり、潮流が速く危険な海域でもありました。
そのため、航海安全・漁業繁栄を祈る人々によって信仰が広がり、平安時代には朝廷からも崇敬を受けたといわれています。

鎌倉時代には源義経が西国へ向かう際、必勝祈願をしたとの伝承もあり、戦勝の神としても崇められてきました。


⚓神功皇后とのゆかり

海神社には、神功皇后の伝承が色濃く残ります。
皇后が朝鮮半島遠征の際、航海の安全を願って海の神々に祈り、無事に帰還した後、その御神恩に感謝して社殿を創建したと伝えられます。
この故事から、海神社は「航海の守護神」として、古代より船乗り・漁師・商人から厚く信仰されました。


🪶祭礼と伝統行事

毎年5月3日~5日に行われる**「海神社春祭り(垂水の船渡御)」**は、兵庫県指定無形民俗文化財に指定されるほどの伝統を誇ります。
神輿を船に乗せ、海上を渡御する荘厳な神事で、まさに“海の神の祭り”と呼ぶにふさわしい光景です。
船上に飾られた幟や太鼓の音が海風に響き渡り、古代から続く海の民の祈りを今に伝えています。


🌅見どころ

  • 本殿:静かに佇む総檜造りの社殿。明石海峡の潮風を感じながらの参拝が心地よい。
  • 海上鳥居:海の神を祀る社ならではの象徴的な鳥居。潮の満ち引きによって景色が変わります。
  • 境内の展望:明石海峡大橋を間近に望む絶景ポイント。昼も夜も絶好の撮影スポット。
  • 御旅所(舞子六神社):春祭りで神輿が渡る神聖な場所。地域とともに信仰が生きています。

💫御利益

海神社の御祭神「綿津見三神」は、

  • 航海安全
  • 漁業繁栄
  • 商売繁盛
  • 交通安全
  • 旅行安全
    など、海・水・交通に関するあらゆるご利益をもたらすとされています。

また、「流れを導く」「道を開く」神として、人生や仕事の新たな出発を後押ししてくれる神社としても人気があります。


🚶アクセス

  • 所在地:兵庫県神戸市垂水区宮本町5-1
  • 交通:JR・山陽電鉄「垂水駅」から徒歩約2分
  • 駐車場:あり(駅近のため公共交通機関が便利)

🌸まとめ

海神社は、神戸の海を見守り続けてきた“海の守護神”
その歴史は古代の航海信仰にまで遡り、今もなお地域の人々の暮らしと深く結びついています。

社殿に吹き抜ける潮風の中で手を合わせれば、悠久の海と神々の力強い息吹を感じることができるでしょう。
海の神に見守られながら、これからの航路を祈る――そんな祈りの旅に、ぜひ一度訪れてみてください。

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