――命をつなぐ力と霊性を宿した“玉”の神器
◆八尺瓊勾玉とは
八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)は、日本神話における 三種の神器のひとつ。
「玉(たま)」は 生命・霊魂・護符 を象徴し、目に見えない霊的エネルギーを具現化するものとして伝えられてきました。
「八尺」は大きな、立派な、尊いという意味。
つまり、特別な霊威を帯びた“勾玉の最高格” が八尺瓊勾玉という位置づけです。
現在、皇居に奉安されていると伝えられます。
◆八尺瓊勾玉の神話上の登場
八尺瓊勾玉が登場するのは、八咫鏡と同じく 天岩戸神話。
天照大御神を岩戸から誘い出す儀式の際、
鏡・玉・御幣などが美しく飾られ、その中で特に妖しい光を放つのが勾玉でした。
美しい玉=霊性=神の気配 が凝縮された象徴として、
アメノフトダマなどの祭祀神たちが用いたのです。
◆八尺瓊勾玉が象徴するもの
- 生命の連続/血脈
- 目に見えない霊力
- 調和・統合・守護
特に「玉」は古代において 護符・まじない・霊的人格の象徴 として扱われており、
八尺瓊勾玉は皇位継承における“魂の継承と護り”の象徴として位置づけられています。
◆勾玉はどうやって作られたのか?
古代の勾玉は主に
- 硬玉(翡翠)
- 瑪瑙
- 水晶
- 他の半貴石
などを材料にして作られました。
作り方は極めて手間のかかる手仕事で
- 川などで採れる石材を砕き、粗い形を作る
- 石の表面を砂や砥石で削り、弧状の形に成形
- 片側に穴を通す(糸を通して首飾りにするため)
- 表面を磨き上げ、艶を出す
特に 翡翠は硬度が高く加工が難しいため、製作は高度な技術者による専門技術でした。
このため、勾玉は単なる装飾ではなく
高度技術+信仰+祭祀=権力階層の象徴
として扱われ、権力者・巫女・神職のみが所有できる霊具へ発展していきます。
◆八尺瓊勾玉が祀られる場所
- 皇居
- 八咫鏡の伊勢と並んで、三種神器セットとして歴代天皇の即位儀礼場面で言及
(※具体の形状は秘され、公開されません)
◆まとめ ― “玉”は霊魂そのもの
剣は力、鏡は真実。
そして玉は 霊(たま)=心核・いのち。
八尺瓊勾玉は、目に見えないものを守り、調和をもたらす霊の象徴。
それこそが、日本が古来より重んじた “目に見えない価値観” の象徴と言えるのです。

コメント