山口県防府市の高台に鎮座する防府天満宮(ほうふてんまんぐう)。
京都の北野天満宮、福岡の太宰府天満宮と並び、日本三天神の一つとされる格式高い神社です。
「日本最初の天満宮」とも伝えられ、学問成就のご利益を求めて全国から参拝者が訪れます。
今回は、そんな防府天満宮の由緒や見どころ、そして菅原道真公との深い関係について詳しく解説します。
■ 防府天満宮の概要
- 所在地:山口県防府市松崎町14-1
- 主祭神:菅原道真公(すがわらのみちざね)
- 創建:延喜4年(904年)
- 別称:日本最初の天満宮
- ご利益:学業成就、合格祈願、厄除け、病気平癒、開運招福
■ 日本最初の天満宮と呼ばれる由緒
菅原道真公は延喜3年(903年)、太宰府にて59歳で亡くなりました。
その翌年、延喜4年(904年)、道真公にゆかりの深いこの地・防府にて、
「道真公の御霊を慰めるために祀られた」のが防府天満宮の始まりとされています。
つまり、道真公が亡くなった翌年に創建された日本最初の天満宮なのです。
当時、都から太宰府へ左遷された道真公が船で辿り着いた最初の地が防府だったとも伝えられ、
この地はまさに「道真公が都を離れて最初に降り立った地」でもあります。
■ 菅原道真公と防府の地のつながり
道真公が都を離れたとき、船で瀬戸内海を西へ進み、
その途中に寄港したのが現在の防府市にあたる地といわれます。
当時の防府は、瀬戸内航路の重要な港であり、太宰府への中継地点でした。
道真公がこの地で天を仰ぎ、都を想いながら祈りを捧げたという伝承が残っており、
地元の人々は深い敬意と哀悼の念を込めて祠を建てたのが、防府天満宮の始まりとされています。
■ 見どころ①:朱の大鳥居と石段
防府天満宮の象徴ともいえるのが、参道の入り口に立つ朱塗りの大鳥居と、
本殿へと続く約50段の石段。
この石段を登ると、瀬戸内海と防府の街並みを一望できる美しい景観が広がります。
春には梅の花、初夏には新緑、秋には紅葉、冬には雪景色と、
四季折々の表情を見せる絶景スポットとしても人気です。
■ 見どころ②:本殿の荘厳な造り
本殿は**一間社流造(いっけんしゃながれづくり)**を基本とした美しい社殿で、
朱と金を基調とした華やかな装飾が施されています。
現在の社殿は江戸時代に再建されたものですが、古式ゆかしい建築様式を今に伝え、
防府市の重要文化財にも指定されています。
■ 見どころ③:学問の神「撫で牛」
境内には、天神様の神使である**牛の像「撫で牛」**が鎮座しています。
この牛の頭を撫でると「学業が上達する」「賢くなる」といわれ、
受験生や学生が絶えず参拝に訪れます。
また、牛の背や体を撫でて自分の悪い部分を撫でると「病気が治る」とも信じられています。
■ 見どころ④:梅の名所「天神梅苑」
道真公がこよなく愛した花といえば「梅」。
防府天満宮にも、境内いっぱいに約2,000本の梅の木が植えられています。
毎年2月には「梅まつり」が開催され、白梅・紅梅が一斉に咲き誇ります。
夜にはライトアップも行われ、幻想的な雰囲気に包まれる人気の行事です。
■ 見どころ⑤:天神祭・御神幸祭
防府天満宮では、年間を通じてさまざまな神事が行われますが、
なかでも有名なのが**「御神幸祭(ごじんこうさい)」**です。
約1,000年以上の歴史を持ち、毎年11月に3日間かけて行われる盛大な祭り。
「西の祇園祭」とも称されるほどの賑わいで、
神輿を中心に、古式ゆかしい衣装を身にまとった行列が街を練り歩きます。
この祭りは、菅原道真公が都から太宰府へと旅立った様子を再現したもので、
まさに防府天満宮の信仰の原点を今に伝えています。
■ ご利益とお守り
防府天満宮のご利益といえば、やはり学業成就・合格祈願が第一。
特に受験シーズンには、全国から多くの受験生が合格祈願に訪れます。
また、「開運」「厄除け」「健康祈願」などの御守も豊富で、
境内の授与所には学業成就の絵馬や「合格鉛筆」など、
受験生に人気のアイテムがずらりと並びます。
■ アクセス情報
- 所在地:山口県防府市松崎町14-1
- アクセス:
・JR山陽本線「防府駅」から徒歩約20分
・防長バス「天満宮前」下車すぐ
・山陽自動車道「防府東IC」より約10分 - 駐車場:あり(無料・約200台分)
■ まとめ
防府天満宮は、
「菅原道真公が祀られた最初の天満宮」として、
長い歴史と信仰を今に伝える特別な神社です。
学問の神・道真公の思いを感じながら、
梅の香りに包まれた静かな境内を歩けば、心も自然と引き締まるはず。
受験や学業の祈願だけでなく、
人生の節目に「努力と誠実」を誓う場所として、
ぜひ一度訪れてみてください。


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