神話に関係する神社

ここでは神話(※主に古事記)に関係する神社を紹介していきます。

  1. 天地開闢に関係する神社
  2. 国生み神話に関係する神社
  3. 神産みに関する神社
  4. あの世とこの世
  5. 禊と三貴子に関する神社
  6. 天の岩戸神話に関する神社
  7. スサノオの追放
  8. 八岐大蛇退治に関する神社
  9. 櫛名田比売(クシナダヒメ)の避難地と新婚の宮
  10. オオナムチに関する神社
    1. 因幡の白兎と縁結びの始まり
    2. 八十神の迫害と蘇生の地
    3. 根の国(黄泉の国)での修行
  11. 国譲り神話の舞台
    1. 交渉と決断の地(出雲)
    2. 国譲りの鍵を握った御子神の地
  12. 天孫降臨に関する神社
    1. 降臨の地:高千穂峰
  13. 海幸彦と山幸彦神話に関する神社
    1. 神話の舞台:降臨の地と狩りの場所
    2. 2. 海神の宮(竜宮)への入り口と帰還
    3. 3. 山幸彦と豊玉姫の生活と出産
  14. 神武東征に関する神社
  15. 聖地巡礼リスト:神武東征の旅路
    1. 1. 東征の出発地(日向)
    2. 2. 瀬戸内海の航海と立ち寄り地
    3. 3. 大和への上陸と戦いの地
    4. 4. 即位と鎮座地
  16. 欠史八代と初期天皇の治世に関する神社
  17. 聖地巡礼リスト:欠史八代から第10代崇神天皇まで
    1. 1. 欠史八代の宮と御陵(奈良県を中心として)
    2. 2. 初期天皇に関わる重要な神社
  18. 神功皇后と応神天皇に関する神社
  19. 武の神と安産の女神
    1. 1. 神功皇后の事績と安産の地
    2. 2. 応神天皇(八幡大神)を祀る主要な社
    3. 3. 文化・技術との関連
  20. 仁徳天皇伝説に関する神社
  21. 仁徳天皇の徳と功績
    1. 1. 仁政(徳政)の舞台となった宮と神社
    2. 2. 国家を支えた大規模な土木事業
    3. 3. 仁徳天皇の巨大な御陵
  22. 日本武尊に関する神社
  23. 武勇の神の足跡
    1. 1. 伝説の剣と東征の出発点
    2. 2. 東征の激戦と悲劇の舞台
    3. 3. 終焉の地と白鳥伝説

天地開闢に関係する神社

国生み神話に関係する神社

聖地名所在地神話との関係備考
伊弉諾神宮兵庫県淡路市国生みを終えた伊邪那岐命が、余生を過ごしたとされる「幽宮(かくりのみや)」跡に建つ日本最古の神社。二神を祀り、夫婦円満の聖地です。境内の「夫婦大楠」は、二神の宿り木とされ、強いパワースポットです。
おのころ島神社兵庫県南あわじ市伊邪那岐・伊邪那美が「天沼矛」で海をかき混ぜ、最初に滴り落ちてできたとされる**「おのころ島」の伝承地**の一つ。巨大な朱色の鳥居が印象的で、島自体が神話の舞台とされています。
沼島兵庫県南あわじ市「おのころ島」の最有力候補地。島の南端にある**「上立神岩」は、二神が降臨した際に使った「天の御柱」**と伝えられています。神話の風景がそのまま残る、神秘的な離島です。

神産みに関する神社

聖地名所在地神話との関係備考
花の窟神社三重県熊野市伊邪那美命が火の神を産んで亡くなり、葬られたとされる場所。『日本書紀』にも記載がある、**神々の「死」と「始まり」**を伝える重要な聖地です。御神体は社殿を持たない高さ45mの巨大な磐座(いわくら)。日本の原風景を残しています。

あの世とこの世

スポット名所在地神話との関係備考
黄泉比良坂(伊賦夜坂)島根県松江市東出雲町揖屋伊邪那岐命が黄泉の軍勢から逃げ、伊邪那美命と永遠に別れた場所。古事記で「出雲国の伊賦夜坂(いふやざか)」と明記されています。坂の入り口を塞ぐとされる**「千引の岩(ちびきのいわ)」**が現存し、あの世との境界を感じさせる神秘的な場所です。
揖夜神社(いやじんじゃ)島根県松江市東出雲町揖屋伊邪那美命を主祭神として祀る古社。「黄泉比良坂」の伝承地の地名「揖屋(いや)」に鎮座し、黄泉の国と縁の深い神社として信仰されています。『出雲国風土記』にも登場する由緒ある神社で、その雰囲気は出雲大社とはまた異なる独特の神聖さがあります。
比婆山久米神社 奥宮島根県安来市伯太町古事記に「出雲国と伯伎国(伯耆国)の境の比婆の山に葬られき」と記された、伊邪那美命の御陵とされる場所の一つ。山頂にある久米神社の後方に「比婆山御陵古墳」があり、イザナミが眠る聖地として本居宣長なども有力視しました。

禊と三貴子に関する神社

聖地名所在地神話との関係備考
江田神社宮崎県宮崎市伊邪那岐命が禊を行ったとされる**「阿波岐原(あわきがはら)」の伝承地。ここで天照大御神、月読命、素戔嗚尊**の三貴神が誕生しました。境内の**「みそぎ池」**は、神話の禊の舞台と伝えられています。

天の岩戸神話に関する神社

神社名所在地神話との関係備考
天岩戸神社(あまのいわとじんじゃ)宮崎県高千穂町【西本宮】 アマテラスオオミカミが隠れたとされる**「天岩戸(洞窟)」**を御神体として祀っています。 【東本宮】 岩戸から出た後のアマテラスを祀っています。神社の裏手にある岩戸の洞窟は、許可された者のみが遥拝できます。
天安河原(あまのやすかわら)宮崎県高千穂町天岩戸神社西本宮の近くにあり、アマテラスを誘い出すための八百万の神々が集まり相談した場所とされる洞窟。洞窟内には願いを込めた石積みが無数にあり、非常に神聖な雰囲気です。
佐太神社(さだじんじゃ)島根県松江市神話で岩戸の前で舞を舞った天鈿女命(あめのうずめのみこと)の孫神や、神楽舞を司る神を祀っています。また、佐陀神能(さだかぐら)は岩戸神話の再現を含む神事として有名です。出雲地方の神楽のルーツとされる神社で、神話の祭祀の継承地と見られています。
籠神社(このじんじゃ)京都府宮津市(元伊勢)岩戸神話で、神々が集まる際に神聖な祭祀具を整えた天太玉命(あめのふとだまのみこと)の子孫である海部氏が代々宮司を務めています。神話時代にアマテラスが一時的に祀られた「元伊勢」の一つとされる古社です。

スサノオの追放

神社名所在地神話との関係備考
須佐神社(すさじんじゃ)島根県出雲市スサノオノミコトの終焉の地とされる場所。誓約後の暴走を経て、地上に降りたスサノオが鎮まった「奥宮」とされています。「出雲神話」の舞台として非常に重要な神社の一つです。

八岐大蛇退治に関する神社

スポット名所在地神話との関係備考
船通山(せんつうざん)島根県奥出雲町スサノオノミコトがヤマタノオロチ退治のために高天原から降り立った地とされる山。この山を源流とするのが斐伊川です。山の頂上付近には「鳥上滝(とりかみだき)」があり、関連伝承地とされています。
斐伊神社(ひいじんじゃ)島根県雲南市スヤマタノオロチ退治の伝承地に近く、ヤマタノオロチが眠る山を退治した後に植えたとされる**「八本杉」**の言い伝えが残る場所(付近)にあります。この神社の境内にも、オロチ退治に関する伝承が残されています。
布須神社(ふすじんじゃ)島根県雲南市木次町スサノオノミコトがオロチ退治のために「八塩折の酒(やしおおりのさけ)」を造った際に、御室(神の御座所)を設けて宿られた場所と伝えられています。本殿を持たず、山そのものを御神体とする「神奈備式(かんなびしき)」の古い形式を残しています。
印瀬の八口神社(いんぜのやぐちじんじゃ)島根県雲南市スサノオノミコトがオロチを酔わせるために使った**「八塩折の酒(やしおおりのさけ)」**を入れた八つの壺のうちの一つが、境内の壺であると伝えられています。
尾留大明神旧社地(おとめだいみょうじんきゅうしゃち)島根県雲南市スサノオノミコトが大蛇の尾を切り裂き、中から天叢雲剣を取り出したと伝えられる場所です。現在は、その伝承地近くに御代神社があります。
八本杉(はっぽんすぎ)島根県雲南市木次町スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治した後、再び生き返らないように八つの頭を埋め、その上に八本の杉を植えたとされる場所です。

櫛名田比売(クシナダヒメ)の避難地と新婚の宮

神社名所在地神話との関係備考
稲田神社(いなだじんじゃ)と笹宮(ささのみや)島根県奥出雲町クシナダヒメの生まれた**「生誕地」とされる場所です。神社の周辺には、「産湯の池」や、へその緒を竹で切ったと伝えられる「笹宮」**が奉られています。稲田神社は、オロチ退治後のクシナダヒメの姿が描かれた絵馬(くし形)が有名です。
温泉神社(おんせんじんじゃ)内の神岩島根県奥出雲町クシナダヒメの両親である足名椎(アシナヅチ)と手名椎(テナヅチ)が住んでいたとされる万歳山(ばんざいさん)の山腹にあった「二神を祀る神岩」が、現在この境内に安置されています。
久武神社(くたけじんじゃ)島根県出雲市八重垣神社や須我神社と同様に、ヤマタノオロチ退治後にスサノオがクシナダヒメを娶り、ともに住んだ住居跡の伝承地が近くにあるとされます。
八重垣神社(やえがきじんじゃ)島根県松江市スサノオノミコトがクシナダヒメを助けるため、オロチの難から逃れさせるために**「八重垣(幾重にも囲った垣根)」**を作って隠したとされる場所。境内の**「鏡の池」**は、クシナダヒメが姿を映したと伝わる良縁を願う人気のパワースポットです。
須我神社(すがじんじゃ)島根県雲南市スサノオノミコトとクシナダヒメが新居を構え、**「日本初の宮」**として造られたと伝えられる場所です。スサノオがこの地で「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣つくる その八重垣を」という日本最古の和歌を詠んだ**「和歌発祥の地」**でもあります。
須佐神社(すさじんじゃ)島根県出雲市スサノオノミコトの御魂を祀る神社であり、スサノオの終焉の地として特に崇敬を集めています。ヤマタノオロチ退治後のスサノオの活躍を伝える重要な神社の一つです。
ヤマタノオロチと伝えられる骨を所有する神社

オオナムチに関する神社

因幡の白兎と縁結びの始まり

スポット名所在地神話との関係備考
白兎神社(はくとじんじゃ)鳥取県鳥取市因幡の白兎がオオナムチに助けられたとされる場所。また、オオナムチと**八上比売(ヤカミヒメ)**との縁を結んだ物語の舞台であり、「日本の医療発祥の地」「日本の恋愛成就・縁結びの最強パワースポット」とされています。境内には、神話の通りに傷を癒やしたとされる**「不増不減の池」**があります。

八十神の迫害と蘇生の地

神社名所在地神話との関係備考
赤猪岩神社(あかいいわじんじゃ)鳥取県西伯郡南部町八十神の計略により、オオナムチが焼き殺されそうになった場所(赤猪岩伝説)に鎮座すると伝えられています。神社の名前は、オオナムチが兄神に誘導されて飛び込んだとされる「赤く焼けた岩」に由来します。
釜神神社(かまがみじんじゃ)島根県出雲市八十神の計略によりオオナムチが殺された後、母神(刺国若比売)が連れて行き、蘇生を願ったとされる場所。蘇生のために使われた**「貝比売命(きさがいひめのみこと)」「蛤貝比売命(うむがいひめのみこと)」**の二柱の女神が祀られています。

根の国(黄泉の国)での修行

神社名/場所所在地神話との関係備考
須佐神社(すさじんじゃ)島根県出雲市スサノオノミコトの終焉の地とされる場所であり、オオナムチが試練を受けるために訪れた**「根の国」**の入り口の一つであったとする説があります。オオナムチはここでスサノオから**生大刀(いくたち)・生弓矢(いくゆみや)**を盗み、兄神を打ち破る力を得ました。
大神山神社(おおがみやまじんじゃ)鳥取県西伯郡大山町オオナムチが兄神たちから逃れて、一時的に隠れていたとされる場所。奥宮は、日本最大の木造権現造りの社殿を持ち、大山の中腹に鎮座しています。

国譲り神話の舞台

交渉と決断の地(出雲)

スポット名所在地神話との関係備考
稲佐の浜(いなさのはま)島根県出雲市大社町高天原からの使者であるタケミカヅチ(建御雷神)とアメノトリフネ(天鳥船神)が、オオクニヌシに国譲りを迫るために降り立ったとされる海岸です。現在も神在月(旧暦10月)に八百万の神々を迎える「神迎神事」が行われる、非常に神聖な浜です。中央の弁天島が神が降臨した場所ともいわれます。
因佐神社(いなさじんじゃ)島根県出雲市大社町稲佐の浜の北側にあり、『出雲国風土記』にも登場する古社。「国譲り」の交渉の際に、勝負の神として重要な役割を果たしたとも伝わります。稲佐の浜のすぐ近くに鎮座し、神話の現場を見守るように存在しています。
出雲大社(いずもおおやしろ)島根県出雲市国譲りを承諾したオオクニヌシが、その条件として「高天原の神様の御殿にも劣らない、壮大な宮殿」を求めて築かれた場所。オオクニヌシは、目に見えない世界(幽世)の主宰神としてこの地に鎮座し、縁結びの神として全国から信仰を集めています。

国譲りの鍵を握った御子神の地

神社名所在地神話との関係備考
美保神社(みほじんじゃ)島根県松江市美保関町オオクニヌシの御子神であり、国譲り神話で最初に意見を求められた**コトシロヌシノカミ(事代主神)**が祭られています。コトシロヌシは「御大ノ前(みほのさき)」で漁をしていた際、国譲りをいち早く受諾し、乗っていた船を青柴垣に変えて隠れてしまいました(または去りました)。
諏訪大社(すわたいしゃ)長野県諏訪市などオオクニヌシのもう一柱の御子神である**タケミナカタノカミ(建御名方神)**が祀られています。タケミナカタは国譲りに最後まで抵抗し、タケミカヅチと力比べ(相撲の起源とも)を行いましたが敗北。最終的に逃げ延びた諏訪の地から出ないことを誓って降伏しました。

天孫降臨に関する神社

降臨の地:高千穂峰

スポット名所在地神話との関係備考
高千穂峰(たかちほのみね)宮崎県・鹿児島県境ニニギノミコトが最初に地上に降り立ったとされる山。その山頂には、ニニギノミコトが降臨の際に使ったとされる**「天の逆鉾(あまのさかほこ)」**が刺さっています。霧島連山の一つで、登山によって山頂まで行くことが可能です。
高千穂河原(たかちほがわら)鹿児島県霧島市降臨したニニギノミコトが最初の仮宮を設けたとされる場所。現在は霧島神宮の古宮址となっており、神話の舞台を間近に感じられる神聖な場所です。
霧島岑神社(きりしまみねじんじゃ)宮崎県小林市降臨したニニギノミコトが最初に鎮座したとされる場所の一つ。霧島六社権現の一社であり、この地域における降臨神話の信仰の中心地です。
高千穂神社(たかちほじんじゃ)宮崎県高千穂町降臨したニニギノミコトの一行が鎮座したとされる場所。境内には神代の神々を祀っています。毎夜、天孫降臨神話にまつわる「夜神楽」が奉納されており、神話の息吹を感じられます。

海幸彦と山幸彦神話に関する神社

神話の舞台:降臨の地と狩りの場所

海幸彦・山幸彦の物語の始まりとなった場所です。二神は、天孫降臨のニニギノミコトとコノハナサクヤヒメの子です。

神社名/場所所在地神話との関係備考
霧島神宮(きりしまじんぐう)鹿児島県霧島市祖父であるニニギノミコトが祀られている場所であり、二神が生まれた地である**日向(ひゅうが)**の中心的な神社です。降臨から海幸彦・山幸彦の時代まで、神話の根幹となる場所を見守っています。
高千穂神社(たかちほじんじゃ)宮崎県高千穂町山幸彦が、兄の海幸彦と道具を交換して狩りや漁を行った際の拠点の一つとされる場所。兄弟の住居跡を示す「二上社」の伝承もあります。

2. 海神の宮(竜宮)への入り口と帰還

山幸彦が海神の助けを得て竜宮へ行き、無事に地上へ帰還した物語の重要な舞台です。

神社名/場所所在地神話との関係備考
和多都美神社(わたつみじんじゃ)長崎県対馬市海神の娘である**豊玉姫命(とよたまひめのみこと)**を主祭神として祀る神社。竜宮の伝説が残る場所の一つとして有力視されています。潮の満ち引きで海に立つ五つの鳥居が有名で、竜宮城を思わせる神秘的な景観です。
御崎神社(みさきじんじゃ)鹿児島県東串良町山幸彦が竜宮から帰還する際に乗ってきた**「ワニ(鮫)の背」**が浜に横たわっていると伝えられる場所。**「鰐塚(わにつか)」**の伝承が残っています。

3. 山幸彦と豊玉姫の生活と出産

山幸彦が豊玉姫と結ばれ、その間に後の神武天皇の父が誕生した、物語の終盤の舞台です。

神社名所在地神話との関係備考
鵜戸神宮(うどじんぐう)宮崎県日南市竜宮から帰還した山幸彦の妻、豊玉姫が、ウガヤフキアエズノミコト(後の神武天皇の父)を出産したとされる**「産屋(うぶや)」**の伝承地。海岸の洞窟内に社殿があり、山幸彦と豊玉姫が住んだ場所として信仰されています。
青島神社(あおしまじんじゃ)宮崎県宮崎市山幸彦と豊玉姫が新婚生活を送ったとされる場所の一つ。島全体が神聖視され、周囲には「鬼の洗濯板」と呼ばれる珍しい地形が広がっています。

神武東征に関する神社

聖地巡礼リスト:神武東征の旅路

1. 東征の出発地(日向)

神武天皇が出発の決意を固め、軍勢を率いて船出したとされる場所です。

神社名/場所所在地神話との関係備考
宮崎神宮(みやざきじんぐう)宮崎県宮崎市神武天皇を主祭神として祀る神社。東征出発前の宮があったとされる地の一つとされています。境内には東征の決意を示す「武士(もののふ)の御魂」の碑などがあります。
一之瀬神社(いちのせじんじゃ)宮崎県高原町神武天皇が出発前に、軍勢を整えたとされる「一之瀬川の河原」の近くにあります。この地から、神武天皇は東へと旅を始めました。

2. 瀬戸内海の航海と立ち寄り地

東征において、軍勢が立ち寄ったり、休息したりした重要な拠点です。

神社名/場所所在地神話との関係備考
竈門神社(かまどじんじゃ)兵庫県神戸市須磨区神武天皇が東征の途上、難を避けて立ち寄り、軍の士気を高めるための**「竈(かまど)」**を築いたという伝承が残っています。航海の安全を祈願した神社として信仰されています。
吉備津神社(きびつじんじゃ)岡山県岡山市東征の際、神武天皇がこの地に長く滞在し、吉備の土豪を味方につけたとされる伝承があります。後の吉備津彦命の物語にもつながる、重要な拠点でした。

3. 大和への上陸と戦いの地

神武軍が畿内に上陸し、最も激しい戦闘や、神の助けを得た場所です。

神社名/場所所在地神話との関係備考
熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)和歌山県新宮市神武軍が熊野に上陸した際、毒気や荒ぶる神々に苦しめられましたが、ここで高倉下(たかくらじ)から神剣を受け取り、窮地を脱したとされる場所です。熊野三山の一つであり、東征の転機となった重要な地点です。
金鵄宮(きんしぐう)/ 吉野神宮(よしのじんぐう)奈良県吉野町など激戦の末、神武天皇の弓の先に**黄金の鵄(とび)が止まり、その光で敵軍を退散させた「金鵄の瑞祥」**の伝説にまつわる神社や伝承地があります。
畝傍山(うねびやま)奈良県橿原市東征の最終目的であった大和の地。この山麓に、神武天皇が橿原宮を築き、即位した場所です。近くには神武天皇を祀る橿原神宮があります。

4. 即位と鎮座地

東征の完了と、日本の国家の始まりを告げる場所です。

神社名所在地神話との関係備考
橿原神宮(かしはらじんぐう)奈良県橿原市神武天皇が初代天皇として即位し、橿原宮を開いたとされる場所に創建された神社です。日本の国家の起源を象徴する、最も重要な場所の一つです。

欠史八代と初期天皇の治世に関する神社

聖地巡礼リスト:欠史八代から第10代崇神天皇まで

このリストでは、主に歴代天皇の御陵(みささぎ)や宮跡(みやあと)、そしてその治世に関係する重要な神社をご紹介します。

1. 欠史八代の宮と御陵(奈良県を中心として)

欠史八代の天皇は、主に大和(やまと)(現在の奈良県)に宮を置いていたと伝えられています。

天皇名 (代)関連スポット所在地備考
綏靖天皇 (第2代)伝 塚本陵奈良県橿原市欠史八代の初代。宮跡は諸説ありますが、御陵は橿原神宮の北側にあります。
孝安天皇 (第6代)伝 玉手丘上陵奈良県御所市欠史八代の中期。御所市内に御陵があります。
孝霊天皇 (第7代)伝 庵室陵奈良県橿原市吉備津彦命倭迹迹日百襲姫命など、有力な皇子・皇女の父であり、後の伝承に名を残す重要な天皇です。
開化天皇 (第9代)伝 春日率川坂上陵奈良県奈良市欠史八代の最後。都は春日率川宮(いざかいかわのみや)と伝えられています。

2. 初期天皇に関わる重要な神社

この時代に直接創建された記録はなくても、その後の皇統や信仰の確立に欠かせない、ゆかりの深い神社です。

神社名所在地関係する天皇・事績備考
大神神社(おおみわじんじゃ)奈良県桜井市崇神天皇(第10代)の治世に、疫病を鎮めるために神の教えに従って創祀されたとされる、大物主大神を祀る古社。神武東征後の安定期に入り、国造り祭祀の確立に深く関わった重要な神社です。
笠山荒神宮(かさやまこうじんぐう)奈良県桜井市崇神天皇の治世、大神神社の祭祀を確立する際に、ともに祀られた神様(後の荒神信仰のルーツ)を祀る場所。疫病平定と祭祀の確立という、初期王朝の安定期を示す重要な場所です。
磯城瑞籬宮跡(しきのみずがきのみやあと)奈良県桜井市崇神天皇の宮があったとされる場所。欠史八代の時代を経て、国造りを行い「御肇国天皇(はつくにしらすすめらみこと)」と呼ばれる崇神天皇の治世は、歴史時代への移行を象徴しています。

神功皇后と応神天皇に関する神社

武の神と安産の女神

1. 神功皇后の事績と安産の地

神功皇后の西征(三韓征伐)の拠点や、応神天皇を出産したとされる場所です。

神社名/場所所在地神話との関係備考
香椎宮(かしいぐう)福岡県福岡市仲哀天皇が崩御し、神功皇后が新羅征伐の神託を受けたとされる場所。仲哀天皇と神功皇后を祀っています。皇后が神託を受けた後、西征の準備を進めた九州の重要な拠点です。
宗像大社(むなかたたいしゃ)福岡県宗像市神功皇后が新羅出兵の際に航海安全を祈願し、神託で祀られたとされる宗像三女神を祀る神社。海上交通の守護神として信仰されており、皇后の西征における海上安全の要となった場所です。
宇美八幡宮(うみはちまんぐう)福岡県糟屋郡宇美町神功皇后が新羅から帰還後、応神天皇を出産したとされる場所。神功皇后を祀っています。安産育児の神として非常に有名で、境内には皇后がもたれたとされる「子安の木」があります。
風浪宮(ふうろうぐう)福岡県大川市新羅征伐の帰途、暴風雨に遭った神功皇后が、潮を鎮めるために神様を祀ったとされる神社。皇后の航海の困難と、それを乗り越えた武勇を伝える場所です。

2. 応神天皇(八幡大神)を祀る主要な社

応神天皇は、平安時代以降、神仏習合が進み**「八幡大神(やはたのおおかみ)」**として武士の守護神となり、全国の八幡神社の総本社として知られています。

神社名所在地神話との関係備考
宇佐神宮(うさじんぐう)大分県宇佐市全国八幡神社の総本社。応神天皇、神功皇后、比売大神を祀る八幡信仰の発祥地です。応神天皇が神として祀られたことで、八幡信仰として広く知られるようになりました。
石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)京都府八幡市宇佐神宮に次ぐ日本三大八幡の一つ。京の都の裏鬼門を守る宗廟として信仰されました。応神天皇の武神としての性格が強まり、源氏など武家の守護神として広く崇拝されました。
鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう神奈川県鎌倉市源頼朝が鎌倉幕府を開く際に信仰したことで有名な神社。武士政権の成立と発展を象徴する、応神天皇信仰の象徴的な場所です。

3. 文化・技術との関連

応神天皇の治世は、朝鮮半島からの**渡来人(とらいじん)**を受け入れ、文字や技術が伝来した文化的な転換期でした。

スポット名/遺跡所在地神話との関係備考
百済寺跡(くだらじあと)奈良県広陵町応神天皇の時代に来朝した百済の使者が滞在し、百済の王族が創建したという伝承がある場所。応神天皇の治世が、大陸との文化交流の門戸を開いたことを示しています。

仁徳天皇伝説に関する神社

仁徳天皇の徳と功績

1. 仁政(徳政)の舞台となった宮と神社

天皇が自ら質素な生活を送り、国民の様子を観察した「仁徳の高き屋根の伝説」の舞台です。

神社名/場所所在地伝説との関係備考
高津宮(こうづぐう)大阪府大阪市中央区仁徳天皇が都を置いた**「難波高津宮(なにわのたかつのみや)」**の跡地に建つ神社。天皇が御殿の高楼から人々が住む里を見て、**「竈(かまど)から煙が立たない」**のを発見し、税の免除を決意した伝説の舞台とされています。
難波宮跡(なにわきゅうせき)大阪府大阪市中央区仁徳天皇の難波高津宮、およびその後の時代の難波宮が置かれた場所。古代日本の都が置かれた場所であり、仁徳天皇の時代にこの難波(大阪)が政治・経済の中心地として発展する基礎が築かれました。

2. 国家を支えた大規模な土木事業

仁徳天皇の治世は、大規模な治水・利水事業によって、後の大阪平野の発展と安定を確立した時代として重要です。

史跡名/場所所在地伝説との関係備考
難波の堀江跡大阪市域の古代の水路仁徳天皇が開削させた、古代の運河。「難波の堀江」を開き、大阪湾への水運と排水を良くすることで、水害の軽減と農地の拡大に貢献しました。この治水事業は、天皇の偉大な功績の一つとして『日本書紀』に記されています。
茨田堤(まんだのつつみ)大阪府寝屋川市・門真市付近淀川の氾濫を防ぐために、仁徳天皇の命で築かれた堤防の跡。この堤防により、大阪平野の穀倉地帯の安定がもたらされました。治水技術の象徴であり、**「日本最古の公的堤防」**の一つとも言われています。

3. 仁徳天皇の巨大な御陵

天皇の功績と権勢を今に伝える、世界最大の巨大古墳です。

スポット名所在地伝説との関係備考
大仙陵古墳(だいせんりょうこふん)大阪府堺市宮内庁により仁徳天皇の御陵(百舌鳥耳原中陵)に治定されている、世界最大級の前方後円墳その巨大さは、仁徳天皇の治世の権勢と、当時の国家の土木力を象徴しています。現在も古墳全体は立ち入り禁止ですが、周囲を巡ることができます。

日本武尊に関する神社

武勇の神の足跡

1. 伝説の剣と東征の出発点

日本武尊の武勇を支えた神器「草薙剣」と、東征に向かう際の拠点となった場所です。

神社名/場所所在地伝説との関係備考
熱田神宮(あつたじんぐう)愛知県名古屋市日本武尊が、伊勢神宮から授かった**「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」を妻の宮簀媛(みやずひめ)の元に置いていった**場所。剣は現在もこの神社に祀られています。剣の神威によって、日本武尊は東征の危機を脱しました。全国的にも最も重要な神社の一つです。
三輪神社(みわじんじゃ)岐阜県大垣市日本武尊が東征の際、この地に立ち寄り、草薙剣の神威によって勝利を収めたという伝承が残っています。岐阜県内にある、日本武尊ゆかりの場所です。

2. 東征の激戦と悲劇の舞台

関東地方における重要な戦いや、妻のオトタチバナヒメ(弟橘媛)との悲劇的な別れの場所です。

神社名/場所所在地伝説との関係備考
走水神社(はしりみずじんじゃ)神奈川県横須賀市日本武尊が房総半島へ渡る際、荒れる海を鎮めるためにオトタチバナヒメが身を投じたという、悲劇の伝承が残る場所。オトタチバナヒメを祭神とし、夫婦の愛と海上交通の安全を祈る場所として信仰されています。
武蔵御嶽神社(むさしみたけじんじゃ)東京都青梅市東征の際、道に迷った日本武尊を白い狼が案内し、そのお礼として狼を**「大口真神(おおぐちまがみ)」**として祀ったと伝わる神社。狼(犬)は災いを避ける守り神として信仰されています。
三峯神社(みつみねじんじゃ)埼玉県秩父市武蔵御嶽神社と同様に、日本武尊が山中で白い狼に導かれたという伝承があり、眷属(けんぞく)を狼とする珍しい神社です。

3. 終焉の地と白鳥伝説

東征から帰還後、病に倒れ、その魂が白い鳥となって飛び去ったとされる場所です。

神社名/場所所在地伝説との関係備考
能褒野神社(のぼのじんじゃ)三重県亀山市日本武尊が病により倒れ、亡くなったとされる**「能褒野(のぼの)」**の伝承地に鎮座しています。近くには宮内庁治定の**御陵(能褒野王塚古墳)**があります。
白鳥神社(しらとりじんじゃ)各地日本武尊の魂が白鳥となって飛び立ち、最後に留まったとされる場所に祀られています(例:香川県東かがわ市、愛知県名古屋市)。彼の魂が鎮まった場所として、全国に点在しています。
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