
~古代からの“七柱の神”を祀る、静かなる杜~
名古屋市中村区。
中村公園や豊國神社が有名なこの地域には、実は古くから地域の人々に親しまれてきた小社が多数存在します。その中でも、古代的な神々をまとめて祀る珍しい社として知られるのが 「七所社(しちしょしゃ)」 です。
今日はその由緒とご祭神、地域との関わり、見どころなどを詳しくご紹介します。
■ 七所社とは
七所社はその名の通り、七柱(7つ)の神々を祀る神社です。
中村区を中心に複数の七所社が存在しますが、この記事では 中村区にある七所社について解説します。
七所社は〝熱田神宮に祀られる7柱の神〟を祀っている神々です。
■ 七所社の由緒

七所社の起源は平安時代以前にまでさかのぼるとされます。
この地域は古くから農村が発達し、田畑を守るために複数の神を一社に祀る形式が生まれました。
特に中村区一帯は、清洲越しより前から集落が点在し、
“村の鎮守”として七所社が成立したと伝わっています。
戦国・江戸を通して存続し、現在も地元の方々により清掃・祭礼が守られています。
■ ご祭神(例)
七所社は地域によって祭神が多少異なりますが、名古屋市中村区の多くの七所社では次の神々が祀られています。
● 主な七柱の神
- 日本武尊(やまとたける) –
- 天照大神(あまてらすおおみかみ) –
- 豊宇気大神(とようけのおおかみ) –
- 倉稲魂命(うかのみまのみこと) –
- 宮簀媛命(みやずひめのみこと) –
- 乎止与命(おとよのみこと) –
- 高倉下命(たかくらじのみこと) –
地域によって多少名前が異なる場合がありますが、いずれも 尾張氏の祖とされる神々が選ばれています。
境内摂社
白山社 白山媛命
熊野社 伊弉冊尊
石神社 大名持命、少彦名命
若宮社 仁徳天皇
神明社 天照大神
厳島社 市杵嶋媛命
■ 七所社の見どころ
● ① こじんまりした境内に漂う“古社の気配”
七所社は大規模ではありませんが、昔ながらの祠や木々が残り、静かで落ち着いた雰囲気があります。街中にありながら、ふと時代が止まったような感覚に。
● ② 素朴ながら丁寧に守られる社殿
古い祠に新しい拝殿が増築されるなど、小規模ながら地域の人の手でしっかり管理されています。
集落ごとの信仰の形が残る貴重な神社です。
● ③ 地域と結びつく年中行事
場所により異なりますが、夏祭りや秋祭り、厄除けの神事などが続けられています。農業の名残が強いことも特徴です。
■ 周辺のおすすめスポット
● 豊國神社(中村公園)
豊臣秀吉公を祀る名古屋随一の大社。七所社からもアクセスしやすく、あわせて参拝するのがおすすめ。
● 中村公園
桜・紅葉も美しく、散策に最適。夏には中村公園夏まつりなどイベントも多い。
■ 七所社は“地域の信仰を残す貴重な神社”
派手さはないものの、七柱の神々を祀るスタイルは全国でも珍しく、
古代の生活感や農耕文化を色濃く残す神社といえます。
中村区の歴史をたどる上でも重要な存在で、
神社めぐり好きの方にはぜひ訪れてほしいスポットです。
中村区に足を運ばれる際は、ぜひ七所社の静かな杜に耳を澄ませてみてください。


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