— 由来・候補・各神宮の歴史と特徴を徹底解説 —
日本には数多くの神社がありますが、その中でも特に格式が高いとされる「神宮」。
さらにその神宮の中でも、しばしば「日本三大神宮」と呼ばれる3つがあることをご存知でしょうか。
しかし実はこの「日本三大神宮」、明確に定義された公式な三社ではありません。
そのため地域や文献により「三社」の組み合わせが異なります。
この記事では、
- 日本三大神宮という言葉の成り立ち
- 主な候補とされる神宮
- それぞれが選ばれる理由と特徴
を体系的に解説します。
■ 「日本三大神宮」に正式な決まりはない
まず最初に押さえておくべきポイントは、
● 日本三大神宮に“公式の定義は存在しない”
ということです。
「日本三大○○」という言い回しはよくありますが、
三大神宮については公的に定められたものではなく、
歴史的背景・地域性・宗派・神職の解釈によって異なるのが特徴です。
そのため、複数のパターンが存在します。
■ よく挙げられる「日本三大神宮」の組み合わせ
以下から紹介するのが、代表的かつ信仰上よく呼ばれる三社です。
【候補①】伊勢神宮・香取神宮・鹿島神宮
— 最も一般的で広く認知される組み合わせ —
この三社は「関東地方を中心に最も一般的」と言えるパターン。
● ① 伊勢神宮(内宮・外宮)
天照大御神と豊受大御神を祀る、
日本の神社の“中心”であり“頂点”。
皇室の氏神であり、国家の総氏神とされる。
● ② 香取神宮(千葉県)
主祭神:経津主神(ふつぬしのかみ)
→ 武神・国譲りで功績を立てた神
古代から「国家鎮護の神」と崇敬される。
● ③ 鹿島神宮(茨城県)
主祭神:武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)
→ 武神・国譲りの中心となった神
剣の神・武道の守護神として信仰。
香取・鹿島の両神宮は、国家を守る「東国の要」として古代より特別視されてきたため、「三大神宮」に挙げられることが多いです。
【候補②】伊勢神宮・香椎宮・氣比神宮(けひじんぐう)
— 九州・北陸の史書にみられる組み合わせ —
● ① 伊勢神宮
(説明省略)
● ② 香椎宮(福岡県)
ご祭神:仲哀天皇・神功皇后
神功皇后が戦勝祈願を行った由緒深い神社。
「日本書紀」などの史料に「大神宮」と記されるほど格式が高い。
● ③ 氣比神宮(福井県)
主祭神:伊奢沙別命(いざさわけのみこと)
国の祭祀に関わる重要な“北陸鎮護”の神宮。
奈良時代には「北陸道の総社」とされるほどの古社。
「気比神宮の大鳥居」は日本三大木造鳥居の1つ。
【候補③】伊勢神宮・熱田神宮・香取神宮
— 名古屋周辺で語られることが多い組み合わせ —
● ① 伊勢神宮
(説明省略)
● ② 熱田神宮(愛知県)
主祭神:熱田大神(天照大御神の分霊)
三種の神器のひとつ「草薙剣」を祀る日本屈指の神宮。
● ③ 香取神宮
(説明省略)
熱田神宮は「皇室ゆかりの神器」を祀るため、
“特別な神宮”として扱われることが多く、この組み合わせも一般的です。
【候補④】伊勢神宮・明治神宮・鹿島神宮
— 近代以降に語られたパターン —
● ① 伊勢神宮
神社の中心。
● ② 明治神宮(東京都)
近代に創建された神宮ながら、
年間参拝者数は日本一を誇る巨大神社。
● ③ 鹿島神宮
(説明省略)
明治神宮の影響力の高さから、現代的な解釈で選ばれることもあります。
■ 三大神宮に選ばれる神宮に共通するポイント
どのパターンにも共通しているのは、
● 「国家鎮護」や「皇室と深い結びつき」を持つ神宮
であるという点です。
- 伊勢神宮 → 皇祖神・国家の中心
- 鹿島神宮 → 武神・東国の守護
- 香取神宮 → 国譲りの功神
- 熱田神宮 → 天皇家の神器
- 氣比神宮 → 北陸鎮護
- 香椎宮 → 日本書紀に特別扱い
- 明治神宮 → 近代国家の象徴
いずれも“国を守る存在”として重要視されてきました。
■ では、どれが正しいのか?
答えは…
● 「どれが正しい」ではなく
● 「どの地域・文脈で語られてきたか」
が重要です。
その背景を知れば、日本の神社信仰の広がりと奥行きが見えてきます。
■ まとめ:三大神宮の多様性こそが、日本の神社文化の豊かさ
「日本三大神宮」は、公式の三社でも決められた格式でもなく、
**長い歴史の中で各地域が重んじてきた神宮を表す“文化的な言葉”**です。
主な組み合わせをあえてまとめるなら——
● 最も一般的:
● その他の有力な組み合わせ:
どれも深い歴史と格式を持つ神宮ばかり。
神社めぐりをする際は、
「なぜその三社が選ばれてきたのか?」
という視点で訪れると、より深く楽しめます。

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