徳島県美馬市に鎮座する 伊射奈美神社 は、古事記・日本書紀に登場する 伊邪那美命(いざなみのみこと) を主祭神として祀る神社です。
徳島で国生みの神様に深い敬意を捧げる由緒ある社として、地域の人々の信仰を集めています。
⛩ 神社の由緒・歴史
◆ 式内社としての格
伊射奈美神社は、平安時代に成立した『延喜式神名帳(えんぎしき じんみょうちょう)』 に「阿波国 美馬郡 伊射奈美神社」と記載された 式内社(正史に載る古社) とされています。
延喜式に神名のある社は平安時代に国から幣帛(神への供物)が捧げられ、重要な神社として認められていた証です。この伊射奈美神社は、全国でも数少ない「イザナミの名を冠する式内社」 とされています。
◆ 創建と歴史的記録
・創建の正確な年代は不詳ですが、平安時代前期の貞観年間(859〜877年)には既に存在していた とする記録が残っています。
・『日本三代実録(さんだいさんろく)』には 貞観11年(869年)に従五位下の神階を授かった とする記述があり、当時から格式のある神社だったことがうかがえます。
・江戸時代には「十二社大権現」や「十二所神社」などと称した時期もあり、信仰を集め続けてきました。
◆ なぜ徳島にあるのか?
伊射奈美神社が徳島県にある理由は、国生み神話の信仰が古くからこの地に根付いていたため と考えられています。
伊邪那美命は日本列島を生んだ女神として古代信仰の中心的存在であり、阿波(現在の徳島)も古代から人々が生活・交易・農業を営んだ地域であったため、自然神への祈りと結びついた と推測されます。
🧾 祭神と信仰
伊射奈美神社の 主祭神は以下の神々 です(社によって論社が複数あるため一部異なる場合あり):
- 伊邪那美命(いざなみのみこと) — 国生み・神生みの女神、天地創造の母神。
- 武甕槌命・経津主命・猿田彦命・速玉之男命・事解男命 など 複数の神を配祀する社もある とされます。
📖 古事記・日本書紀と伊射奈美命
伊邪那美命は、日本神話における 国生みと神生みを行った女神 です。
伊邪那岐命との夫婦神として天の沼矛(あめのぬぼこ)で大地を創造し、その後多くの神々を生みます。
また、火の神・火須勢理命(ほのすせりのみこと)を生んだ際に重傷を負い、黄泉の国(よみのくに)へ赴く物語 は古事記・日本書紀でも有名です(この神話そのものは直接この神社の境内伝承とは結びついてはいませんが、伊射奈美命への信仰の背景となっています)。
🏞️ 神社の位置と境内
伊射奈美神社は 徳島県美馬市美馬町中鳥(なかどり) の吉野川沿いに鎮座します。吉野川流域は古代から交通・農耕の要地であり、神社の社地が川沿いという地勢も神話時代の国生み信仰と重ねられてきた と考えることができます。
また、近隣にはかつて 吉野川の中鳥島にあった旧社地跡(原社跡) の石碑も存在し、神社が洪水等で遷座した歴史を物語っています。
🌟 伝承・伝説
◆ 洪水を免れた神社
古来、この地域は 吉野川の洪水が頻繁だった と言われますが、伊射奈美神社は数々の大洪水にも ほとんど被害を受けなかった と伝わります。
そのため、神が守護する土地としての信仰が根付きました。
◆ 中鳥島の旧社地と城跡
旧社地があった 中鳥島 は、江戸時代の大洪水で川の中島となりました。古くは 中鳥城跡や中島学校跡 があり、神社は地域の中心的存在でした。
こうした地域史と神社の伝承が、地元文化の一部として語り継がれています。
📸 見どころスポット
① 拝殿・本殿
静かな境内にたたずむ拝殿と本殿は、古社としての威厳があります。
地元では初詣や節目の参拝に訪れる人も多く、地元信仰が今なお息づいています。
② 原社跡の石碑
吉野川の中鳥島にあった旧社地跡を示す石碑は、古代からの社の歴史を感じさせます。神社参拝後、徒歩で行ける距離にあり、地域文化を知る一助として人気です。
③ 周辺の自然景観
神社を囲む吉野川の雄大な流れと緑豊かな田園風景は、参拝者に安らぎを与えてくれます。
歴史を感じながら自然とともに歩く参道も気持ちの良い散策コースです。
🙏 御利益(ごりやく)
伊射奈美神社は、主祭神 伊邪那美命 の 母性と創造の力 が信仰の中心であり、以下のご利益が信じられています:
- 家内安全・安産祈願(母なる女神としての守り)
- 子宝・子育ての守護
- 地域・生活繁栄の祈願
- 厄除け・開運祈願
古来の神話に根ざした神様として、参拝者の思いを受け止めてくれます。
🚶♂️ 参拝のポイント・アクセス
- 所在地:徳島県美馬市美馬町中鳥338(吉野川沿い)
- アクセス:JR徳島駅からバス or 車で約30〜40分程度・車は美馬ICから約10分程度。
- 参拝自由/駐車場あり(初詣など季節によって混雑あり)
✨ まとめ
徳島の 伊射奈美神社 は、日本神話の母神・伊邪那美命を祀る格式ある古社(式内社) です。
延喜式神名帳にも名を連ね、古代から地域の人々に信仰されてきました。
吉野川沿いの自然とともに歩く社地は、神話と現実が調和する場所として、歴史好き・神話好きにもおすすめできるスポットです。
ぜひ、ゆったりと神話の世界に思いを馳せながら参拝してみてください。

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