■ 「お多賀さん」と呼ばれる古社
滋賀県の湖北地方・多賀町に鎮座する**多賀大社(たがたいしゃ)**は、
「お多賀さん」の名で親しまれる、古くからの名社です。
御祭神は、伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)と伊邪那美大神(いざなみのおおかみ)。
日本神話において天地開闢の後、国土と神々をお生みになった夫婦神であり、
**「生命の親神」**として崇められています。
そのため、古くから「延命長寿」「縁結び」「厄除け」「家内安全」の御利益で知られ、
近江国一之宮として人々の信仰を集めてきました。
■ 御祭神
- 伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)
- 伊邪那美大神(いざなみのおおかみ)
二柱は、日本列島を生み出し、八百万の神々を誕生させた国産み・神産みの神。
まさに「日本の父母神」といえる存在です。
そのため多賀大社は、「命の根源を司る神社」として、
古来より病気平癒・延命長寿・夫婦和合の祈りが絶えません。
■ 由緒と歴史
創建年代は定かではありませんが、『古事記』『日本書紀』に記される国産みの神を祀ることから、
神代の昔に起源をもつと伝わります。
平安時代には「延喜式神名帳」にも名を連ねる名神大社として記録され、
「お伊勢参りならお多賀参り」と言われるほど、伊勢神宮と並び称される信仰を集めました。
特に室町時代以降、「お多賀杓子(しゃくし)」と呼ばれる土産物が全国に広まり、
「多賀詣で」は庶民の間でも親しまれる旅の目的地となりました。
また、江戸時代には徳川家康が関ヶ原の戦いの戦勝祈願を行い、
勝利後に多賀大社へ社領を寄進したという伝承も残ります。
■ 社殿と境内の見どころ
多賀大社の境内は広大で、清らかな気に満ちています。
参道を進むと、まず目に入るのが象徴的な太閤橋(たいこうばし)。
豊臣秀吉が寄進したと伝わる反り橋で、「人生の浮き沈み」を象徴するといわれています。
主な見どころ
- 太閤橋(たいこうばし)
境内入口に架かる美しい太鼓橋。橋を渡ると心が清められるとされます。 - 拝殿・本殿
重厚で優雅な造り。檜皮葺の社殿が荘厳な空気を放ちます。 - 寿命石(じゅみょういし)
触れると長寿の御利益があると伝わる神石。参拝者が順に手を合わせていきます。 - 糸切餅
参道名物の和菓子。源平の戦いに由来し、縁切り・悪縁除け・良縁祈願の縁起物として人気です。
■ 多賀信仰と御利益
多賀大社の信仰は、「延命長寿」「縁結び」「厄除け」を中心に、古くから広がってきました。
御神徳の象徴は、「命の親神」。
「この命をいただいたことへの感謝」から生まれた信仰であり、
長寿や健康を祈る人々が全国から訪れます。
主な御利益:
- 延命長寿
- 病気平癒
- 縁結び・夫婦和合
- 家内安全
- 厄除け・開運
また、古くは「お伊勢参り」の帰りに「お多賀さんに詣でる」と良いとされ、
人生を見つめ直す巡礼の締めくくりとしても尊ばれました。
■ アクセス
- 所在地:滋賀県犬上郡多賀町多賀604
- アクセス:近江鉄道「多賀大社前駅」から徒歩約10分
- 駐車場:あり(無料・大型バス対応)
■ まとめ
多賀大社は、
🌸 命の神・夫婦の神・長寿の神を祀る、滋賀を代表する聖地です。
古来より「お多賀さん」と親しまれ、
「生きること」「つながること」「感謝すること」の大切さを教えてくれる場所でもあります。
心を整え、人生の節目を迎えるときに訪れたい――
そんな温かく、力強いエネルギーを感じられる神社です。


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