【神様図鑑】邇邇芸命（ににぎのみこと）｜天孫降臨で地上に降りた皇統の始祖神

日本神話における「国譲り」と「天孫降臨」。
その中心に立ち、天照大神の命を受けて地上に降臨した神──それが今回ご紹介する【邇邇芸命（ににぎのみこと）】です。

彼はのちに神武天皇（初代天皇）へとつながる皇統の起点となった神でもあり、
日本神話において非常に重要な存在です。

◆ 基本情報｜邇邇芸命とは？

「葦原中国（あしはらのなかつくに）」、すなわち日本の国土を統治すべく、
高天原から派遣されたのが邇邇芸命です。

大国主命が国譲りを受け入れたのち、
邇邇芸命は三種の神器（八咫鏡・天叢雲剣・八尺瓊勾玉）とともに日向の高千穂（現在の宮崎県）へと降臨します。
この神話を「天孫降臨（てんそんこうりん）」といいます。

彼の降臨により、神の血を引く皇統の系譜が地上に始まったとされるのです。

地上に降りた邇邇芸命は、山の神・大山津見神の娘である【木花咲耶姫】に出会い、一目惚れして結婚します。

しかし、姫がすぐに懐妊したため邇邇芸命は「本当に自分の子か？」と疑います。

すると木花咲耶姫はこう言います：

「もし神の子でなければ、火の中で焼け死ぬでしょう」

そして、なんと産屋に火を放ち、その中で三柱の神を無事に出産します。

この神話は、命の強さや清らかさ、母の覚悟を象徴するものとして有名です。

邇邇芸命は、以下のような神系図における重要な血筋の中に位置しています：

このため、邇邇芸命は「皇祖神（こうそしん）」の一柱として
現在でも神社で広く祀られています。

ご神徳	内容
国家安泰	皇統の起点とされる神格。国家鎮護の守り神。
開運招福	高天原から地上に幸運と秩序をもたらした。
五穀豊穣	天照大神から授けられた稲穂を地上に広めた神として、農耕神の一面もある。
子孫繁栄・家運隆昌	神代から続く家系の始祖として信仰される。

邇邇芸命は、「天の意志を地上に届けた神」です。

日本神話の世界では、天と地をつなぐ懸け橋のような神格として描かれています。