【神様図鑑】高御産巣日神（たかみむすひのかみ）｜“創造と調和”を司る天上界の根源神

「高御産巣日神（たかみむすひのかみ）」は、
日本神話における天地創造の最初に現れた神のひとりであり、
“生む”“結ぶ”という根源的な力を司る、極めて尊い存在です。

その名が表すように、命を“産み出し”“結びつける”神であり、
天照大神に並ぶ存在として、神々の頂点に立つ一柱とされています。

◆ 基本情報｜高御産巣日神とは？

『古事記』や『日本書紀』において、
天地開闢（てんちかいびゃく＝天地創造）が始まったとき、最初に現れた三柱の神がいます。

それが「造化三神（ぞうかさんしん）」：

この三神は「独神（ひとりがみ）」とされ、他の神と対をなすことなく、すぐに身を隠す（姿を見せない）存在です。
つまり、姿形のない根源的エネルギー体として捉えられています。

「むすひ（産霊）」とは、日本神道の基本概念のひとつであり、

を意味します。

つまり「生命を生み出す神霊の力」そのものを象徴しており、
高御産巣日神は宇宙と命の創造主といえる神なのです。

天照大神の命により、孫・**邇邇芸命（ににぎのみこと）**が地上に降りる「天孫降臨」の場面で、
高御産巣日神は共に命令を下し、神々を派遣します。

これは、天上世界の“最高意思決定者”のひとりとして機能していたことを示しています。

日本初代天皇・神武天皇が即位する際も、高御産巣日神は霊的後援者として名を連ねています。
これにより、天皇家の神聖性が高められ、「天孫の正統性」を支える神格とされています。

現代でも、スピリチュアルな分野では「宇宙神」「創造神」として崇敬されることが多い神です。

古事記や日本書紀において、天照大神は高御産巣日神の娘とも、
両者は並列する最高神とも解釈されており、時代や地域によって異なる伝承が残っています。

いずれにしても、両者は「天の最高神格として協力しながら国を治める」存在です。

高御産巣日神は、姿も物語もほとんど語られない神でありながら、
日本神道の根幹を支える重要な存在です。

「万物は“むすひ”の力によって生まれ、つながっている」
――そんな日本人の自然観と世界観を、いまに伝えてくれる神様です。

人生の再スタートを切るとき、新たな縁を結びたいとき、
高御産巣日神の静かなる力に、そっと手を合わせてみてはいかがでしょうか。