【神社めぐり】大和神社(おおやまとじんじゃ)

〜日本最古の神社のひとつ、国の中心を守る「大和の大神」〜

奈良県天理市に鎮座する**大和神社(おおやまとじんじゃ)**は、
「大和」の名を冠する、日本の中枢を象徴する古社。

創建は神武天皇の御代以前とも伝わるほど古く、
『延喜式神名帳』にも名神大社として記される、日本最古級の神社の一つです。

その名の通り、古代大和国の中心として
国の守護神・戦の神・海上安全の神として篤く崇敬されてきました。


◾ 由緒・歴史

大和神社の創建は神武東征以前
もしくは**崇神天皇の御代(紀元前97年頃)**とも伝えられています。

当時、天皇が「国の中枢を鎮める大神」として
天照大御神の御魂をこの地にお祀りしたのが始まりとされ、
伊勢神宮よりも古い天照大神の鎮座地ともいわれています。

その後、崇神天皇が「神体が尊すぎて共に暮らすのは恐れ多い」として、
皇女・豊鍬入姫命(とよすきいりひめのみこと)に託し、
この地から笠縫邑(後の伊勢)へと御霊を遷した、
という伝承が「伊勢神宮創建」にもつながります。

つまり、大和神社は
伊勢神宮の起源に関わる神社とも言えるのです。


◾ 御祭神

大和神社の御祭神は三柱です。

  • 日本大国魂大神(やまとのおおくにたまのおおかみ)
     国そのものの神霊。日本の国土を司る大神であり、国家鎮護の主神。
  • 八千戈大神(やちほこのおおかみ)
     戦と武運の神。農耕神・大国主命(おおくにぬしのみこと)と同一視されることも。
  • 御年大神(みとしのおおかみ)
     穀物の成熟と収穫を司る神。五穀豊穣の守護神。

この三柱は「大和三座」として一体に祀られ、
国土・平和・豊穣のすべてを見守るとされています。


◾ ご利益

大和神社は、古来より国家鎮護の神として信仰されてきました。
そのためご利益も非常に幅広く、力強いものとされています。

  • 国家安泰・地域守護
  • 交通安全・海上安全
  • 勝負運・武運長久
  • 五穀豊穣・商売繁盛
  • 家内安全・開運招福

特に、明治時代には海軍がこの神を守護神として崇敬し、
軍神・航海の神」として信仰されました。
現在でも「交通安全・旅行安全」を祈る参拝者が多いです。


◾ 見どころ

● 本殿

古式ゆかしい春日造の社殿。
歴史ある神域にふさわしく、質素ながらも清らかな佇まいを見せます。

● 境内の静寂

境内は古代の杜のように木々が生い茂り、
静けさの中に神聖な空気が漂います。
鳥居をくぐった瞬間、まるで時が止まったかのような静寂が広がります。

● 英霊殿

第二次世界大戦後、旧日本海軍に縁のある英霊を祀るため建立された英霊殿があります。
この地が「軍神」としての信仰を受け継ぐ証でもあります。

● お渡り行列(ちゃんちゃん祭)

毎年4月1日に行われる例祭「お渡り行列」は、
大和地方最大級の神事として知られます。
約2000人もの行列が天理市内を練り歩く壮観な祭礼で、
「ちゃんちゃん祭」の名でも親しまれています。


◾ アクセス

  • 所在地:奈良県天理市新泉町306
  • 交通
     ・JR桜井線「長柄駅」から徒歩約15分
     ・天理駅からタクシーで約10分
  • 駐車場:あり(参拝者無料)

◾ まとめ

大和神社は、まさに「日本の心のふるさと」と呼ぶにふさわしい古社です。
伊勢神宮に先立って天照大神の御魂が祀られた由緒を持ち、
国そのものを守る力強い神が鎮座しています。

静寂の杜に包まれながら、
この国の成り立ちや、平和への祈りを感じられる場所。

奈良を訪れる際は、ぜひ一度足を運び、
“大和の中心”に宿る神気を体感してみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました