【神社めぐり】大山祇神社~日本総鎮守・山と海を守る神の聖地~

■ 概要

愛媛県今治市の大三島(おおみしま)に鎮座する**大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)**は、
全国にあるおよそ1万社の「山祇神社」「三島神社」の総本社として知られています。

その格は古代から極めて高く、伊勢神宮と並び称されるほどの崇敬を受けたことから、
古くは「日本総鎮守(にほんそうちんじゅ)」とも呼ばれました。

瀬戸内海に浮かぶ神の島・大三島は、古代より「神の鎮まる島」とされ、
大山祇神社は、山と海の恵みに感謝する日本人の信仰の原点とも言える神社です。


■ 歴史と由緒

大山祇神社の創建は、神武天皇の東征以前、約2600年前とも伝わります。
日本最古級の神社の一つであり、『延喜式神名帳』にも名神大社として記載されています。

主祭神の**大山積大神(おおやまづみのおおかみ)**は、
山の神でありながら海の神でもあり、自然界すべてを司る「大自然の総神格」。

そのため、古代より朝廷の厚い崇敬を受け、
特に伊予国一宮として全国から武将・航海者・旅人の信仰を集めてきました。


■ ご祭神とご利益

◯ 主祭神

  • 大山積大神(おおやまづみのおおかみ)

伊邪那岐命(いざなぎのみこと)・伊邪那美命(いざなみのみこと)の御子神であり、
山・海・木々をはじめ、自然のすべてを司る神。

別名「和多志大神(わたしのおおかみ)」とも呼ばれ、
山の神、海の神、戦の神、農業の神、航海の神として信仰されています。

◯ ご利益

  • 交通安全・航海守護
  • 登山安全・林業守護
  • 商売繁盛・開運招福
  • 勝運祈願
  • 家内安全・厄除け

さらに、山の神であると同時に海の神でもあることから、
海上安全の守護神」「山の安全の守護神」として多くの人に崇められています。


■ 神話と伝説 ― 日本の山神の頂点

『古事記』によれば、大山積大神は天照大神の兄にあたる神。
その娘の一人が、天孫降臨の際に邇邇芸命(ににぎのみこと)に嫁いだ**木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)**です。

このことから、大山祇神社は「木花咲耶姫命の実家」とされ、
富士山本宮浅間大社など、全国の浅間神社とも深い関係があります。

また、古代の水軍「村上海賊」や「源平の武将たち」も
出陣前に大山祇神社へ戦勝祈願を行ったとされ、
「戦の神」としても篤く信仰されていました。


■ 武将が奉納した「甲冑の神社」

大山祇神社の宝物館(国重要文化財)には、
全国の国宝・重要文化財指定の甲冑の約8割が所蔵されています。

これは、古代より源氏・平家・足利・豊臣・伊達などの武将たちが、
出陣前に勝利を祈願し、戦の後に鎧や刀を奉納したためです。

中でも有名なのは、

  • 源義経奉納の鎧
  • 源頼朝奉納の太刀
  • 戦国武将・河野通有の甲冑

これらが現存し、まさに「武士の聖地」ともいえる場所です。


■ 境内と見どころ

◯ 神門(重要文化財)

檜皮葺の立派な楼門で、かつては勅使が参拝する際の正式参道の入口。
明治時代に再建されたものですが、荘厳な雰囲気が漂います。

◯ 本殿

国の重要文化財に指定される、古式ゆかしい神明造の社殿。
室町時代の建築で、質実剛健な美しさを誇ります。

◯ 大楠(おおくす)

境内の中央にそびえる大楠は、樹齢2600年以上と伝わる御神木。
まさに「神の息吹」を感じるパワースポットであり、
幹に手を当てて祈ると心身の浄化とエネルギーの回復が得られるといわれています。

◯ 宝物館(海事博物館)

日本屈指の武具コレクションを誇るほか、古代海人族の遺物や船具など、
海と山の神を祀る大山祇神社ならではの展示が充実しています。


■ 年中行事

  • 例大祭(4月22日):春の豊作と海上安全を祈る神事。
  • 御田植祭(6月):古式ゆかしい田植え儀式が行われます。
  • お山開き(7月):登山者の安全祈願祭。
  • 神馬祭(10月):神馬が境内を駆ける勇壮な行事。

■ アクセス情報

  • 所在地: 愛媛県今治市大三島町宮浦3327
  • アクセス:
     ・今治駅からバスで約1時間10分(大山祇神社前下車)
     ・しまなみ海道「大三島IC」から車で約10分
  • 駐車場: あり(無料)

■ まとめ

大山祇神社は、山と海、そして自然そのものを神と崇めた日本人の信仰の原点を今に伝える聖地です。

伊勢神宮が「天の神」を祀るのに対し、
大山祇神社は「地と海の神」を祀る――
つまり、日本の天地を守る対の存在とされています。

境内に立てば、木々のざわめき、潮風の香り、鳥の声が一体となって響き、
「自然とともにあることの尊さ」を感じずにはいられません。

心身を整え、人生の“軸”を取り戻したい人にこそ訪れてほしい、
まさに「魂の再生の神社」といえるでしょう

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