【神社めぐり】格式高き「神宮」を知る!全国の神宮25社を全て紹介!!

 日本には、伊勢神宮を筆頭に格式高い「神宮」の社号を持つ神社が、現在25社あります。
 このページでは神宮の定義や、全国にある神宮25社の由緒や神宮と呼ばれる理由について詳しく解説をしていきます。


⛩️ 神宮とは何か

① 神宮の定義

神宮」とは、格式の高い神社の称号であり、主に以下のいずれかに該当する神社に用いられます。

  • 皇室の祖先神(例:伊勢神宮の天照大御神)
  • 歴代天皇(例:明治神宮の明治天皇、平安神宮の桓武天皇など)
  • 皇室と特にゆかりの深い神人物

元々は、伊勢神宮(正式名称「神宮」)のみを指す称号でしたが、明治時代以降、天皇の勅許(許可)を得て、皇室ゆかりの神社にこの社号が与えられるようになりました。

② 他の神社との違い

「神宮」は、「神社」「大社」「宮」など、他の社号を持つ神社とは、その由緒と格式において一線を画します。

社号主な違い・特徴具体的な例
神宮皇室や皇室の祖先神を祀る、最も格式の高い称号。伊勢神宮、明治神宮、熱田神宮、鹿島神宮
大社その地域で最も大きな神社、または特定の祭神を祀る神社の総本社など、規模や信仰の広さを持つ神社。出雲大社、伏見稲荷大社、春日大社
皇子や親王、歴史上の人物を祀る神社。鎌倉宮(護良親王)、日光東照宮(徳川家康公)
神社最も一般的な社号。神道信仰の祭祀を行う施設全般。多くの神社が該当
  • 伊勢神宮の別格性:伊勢神宮は、単に「神宮」というだけでなく、全ての神社の上に立つ**「神社本庁の本宗(ほんそう)」**とされ、他の神宮とも別格の扱いを受けています。

③ 神宮の特別性

神宮が持つ特別性は、その歴史的背景信仰上の地位に由来します。

  1. 皇室との結びつき:前述の通り、神宮の祭神は皇室ゆかりの方々であり、国家にとって極めて重要な神社として位置づけられてきました。特に伊勢神宮は皇室の御祖神である天照大御神を祀るため、**「日本国民の総氏神」**として信仰を集めています。
  2. 古代の建築様式と伝統:伊勢神宮では、神明造という古代の高床倉庫に起源を持つ独特の建築様式を受け継いでいます。また、20年に一度、神殿を建て替え御神体を移す**式年遷宮(しきねんせんぐう)**という世界でも稀な伝統行事を継続しており、これは神宮の特別性を象徴するものです。
  3. 参拝の特別規定:伊勢神宮などでは、一般参拝者が入ることができない**御垣内(みかきうち)**での参拝(特別参拝・正式参拝)が、奉賛会への加入や一定額以上の寄付などを通じて認められることがあります。この御垣内での参拝は、神宮の高い格式を示す特別な体験です。

 今回は**神宮(戦前からの勅許などを背景に「神宮」を名乗る神社)**についてご紹介します。

 これらの神宮の多くは、皇室の祖先神歴代天皇を祀り、日本の歴史上、特に重要な役割を果たしてきました。

全国にある神宮25社 ※神宮の詳細はリンクを参照

神宮 (内宮・外宮)

社名所在地祭神・由緒の概要
皇大神宮内宮三重県伊勢市
豊受大神宮外宮三重県伊勢市

I. 古代からの「神宮」:伊勢神宮と特に深い関わりを持つ神宮5社

社名所在地祭神・由緒の概要
鹿島神宮 (かしまじんぐう)茨城県鹿嶋市武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)を祀る。古代より朝廷から重視され、伊勢神宮、香取神宮と並んで『延喜式神名帳』に「神宮」と記された三社の一つ。武道の神として信仰が厚い。
香取神宮 (かとりじんぐう)千葉県香取市**経津主大神(ふつぬしのおおかみ)**を祀る。鹿島神宮と対をなす武道の神。東国における国家鎮護の要として、古来より信仰されてきた。
熱田神宮 (あつたじんぐう)愛知県名古屋市三種の神器の一つ、**草薙剣(くさなぎのつるぎ)**を御神体として祀る。日本武尊がこの地に剣を留めたことに始まると伝えられ、伊勢神宮に次ぐ格式を持つとされる。
石上神宮 (いそのかみじんぐう)奈良県天理市**布都御魂大神(ふつのみたまのおおかみ)**などを祀る。物部氏の総氏神。古代の武器庫・物資庫としての性格を持ち、日本最古の神社の一つとされる。
日前神宮國懸神宮 (ひのくまじんぐう・くにかかすじんぐう)和歌山県和歌山市日前神宮は日矛鏡(ひのほこのかがみ)、國懸神宮は國懸鏡(くにかかすのかがみ)を神体とする。両社は一つの境内に並立し、天照大御神が伊勢神宮に鎮座する前に祀られていたという伝承を持つ。

II. 皇室の祖先神や神話の神を祀る神宮 6社

社名所在地祭神・由緒の概要
伊弉諾神宮 (いざなぎじんぐう)兵庫県淡路市**伊弉諾尊(いざなぎのみこと)**を祀る。国生みを終えた伊弉諾尊が、この地に隠居したとされる、日本最古の神社とも称される。
宇佐神宮 (うさじんぐう)大分県宇佐市**八幡大神(応神天皇)**を主祭神とする。全国八幡宮の総本社であり、古くから皇室からの崇敬が篤く「第二の宗廟」とも呼ばれた。
霧島神宮 (きりしまじんぐう)鹿児島県霧島市**瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)**を主祭神とする。天孫降臨の神話にゆかりの深い、壮麗な社殿を持つ南九州の代表的な神宮。
鹿児島神宮 (かごしまじんぐう)鹿児島県霧島市**火闌降命(ほすそりのみこと)**などを祀る。神代からの由緒を持つとされる、薩摩国一之宮。
鵜戸神宮 (うどじんぐう)宮崎県日南市**鸕鷀草葺不合尊(うがやふきあえずのみこと)**を祀る。神武天皇の父であり、断崖の洞窟内にある珍しい本殿が特徴。
英彦山神宮 (ひこさんじんぐう)福岡県添田町**天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)**を祀る。修験道の霊山として栄えた英彦山(ひこさん)の山頂に鎮座する。

III. 歴代天皇を祀る主な神宮12社(主に明治以降に創建)

社名所在地祭神・由緒の概要
橿原神宮 (かしはらじんぐう)奈良県橿原市神武天皇を祀る。神武天皇が即位したとされる橿原宮の跡地に、明治23年(1890年)に創建された。
宮崎神宮 (みやざきじんぐう)宮崎県宮崎市神武天皇を祀る。神武天皇の東征以前の宮居の跡地とされる地に鎮座。
氣比神宮 (けひじんぐう)福井県敦賀市仲哀天皇を主祭神とする。古くは「けひ(気比)」大神宮と呼ばれ、北陸道総鎮守として朝廷から崇敬された。
赤間神宮 (あかまじんぐう)山口県下関市安徳天皇を祀る。壇ノ浦の戦いで入水した幼帝、安徳天皇の最期の地であるとされる。
吉野神宮 (よしのじんぐう)奈良県吉野町後醍醐天皇を祀る。南朝を開いた後醍醐天皇の遺志により、明治25年(1892年)に創建された。
水無瀬神宮 (みなせじんぐう)大阪府島本町後鳥羽天皇・土御門天皇・順徳天皇を祀る。後鳥羽天皇の水無瀬離宮の跡地に創建。
白峯神宮 (しらみねじんぐう)京都府京都市崇徳天皇淳仁天皇を祀る。崇徳天皇の神霊を慰めるために創建され、蹴鞠や和歌の守護神として信仰される。
近江神宮 (おうみじんぐう)滋賀県大津市天智天皇を祀る。天智天皇が都とした近江大津宮の跡地近くに創建された。時の神かるた(百人一首)の聖地として知られる。
平安神宮 (へいあんじんぐう)京都府京都市桓武天皇・孝明天皇を祀る。平安遷都1100年を記念して創建された。
新日吉神宮 (いまひえじんぐう)京都府京都市後白河天皇を祀る。後白河天皇の法住寺殿の鎮守として創建され、後に神宮号を宣下された。
明治神宮 (めいじじんぐう)東京都渋谷区明治天皇・昭憲皇太后を祀る。日本の近代化の礎を築いた両陛下を顕彰するために創建された。
北海道神宮 (ほっかいどうじんぐう)北海道札幌市大国魂神大那牟遅神少彦名神に加え、明治天皇を祀る。北海道開拓の守護神として創建された。

神宮めぐりをさらに楽しむために

「神宮」の多くは、単に神様を祀るだけでなく、日本の歴史の大きな転換点に関わっていることがわかります。

  • 古代の軍事・政治の要所(鹿島・香取・石上)
  • 神話の舞台(伊弉諾・霧島・鵜戸)
  • 皇室の歴史と深い結びつき(橿原・明治・平安・吉野など)

これらの神宮を巡ることは、日本の歴史そのものを旅することに繋がります。それぞれの地で、遥か古代や激動の時代に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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