【神社めぐり】熱田神宮の奥宮と称される「尾張部神社」

 名古屋市守山区にひっそりと鎮座する「尾張部神社(おわりべじんじゃ)」。
 地元ではあまり知られていない小さな社ですが、実は「熱田神宮の奥宮」と呼ばれる由緒をもつ特別な神社です。今回は、その歴史や見どころをご紹介します。


◆ 尾張部神社とは

 尾張部神社は、守山区の緑豊かな住宅街の中に佇む古社です。御祭神は天火明命(あめのほあかりのみこと)、天香語山命(あめのかぐやまのみこと)、建稲種命(たけいなだねのみこと)。が祀られています。
 いまご紹介した三柱はいずれもこの地方を支配した豪族尾張氏の祖神とされており、尾張氏との関係が深い神社ということで、周囲の方々からは「熱田さんの奥宮」として敬われてきました。

御祭神

 御祭神の天火明命、天香語山命、建稲種命についての詳しい解説については別のページで解説しているので、もっと知りたいと思う方は一度調べてみてください。


◆摂社・末社

中社 ※菊理姫命

 尾張部神社にいくまでの途中にある円墳、その近くにあるのが、尾張部神社の摂社中社です。
 菊理姫命を主祭神とし、円墳(中社古墳)の上に鎮座する神社です。

南社 ※伊弉諾命

 南社は伊弉諾命を主祭神とした円墳(南社古墳)の上に鎮座するお社です。

◆ なぜ「熱田神宮の奥宮」と呼ばれるのか

 尾張部神社が「熱田奥宮」と呼ばれる理由についての記録は明確なものが見つかりませんでしたが、尾張部神社は古墳の上に建てられており、この古墳周辺が熱田神宮において重要な神である尾張氏の発祥の地と言われているからとされています。
 以前に尾張氏の発祥は奈良県付近と聞いたことがあったので、どちらの情報が正しいかまでは、わかりませんが、熱田の奥の院と言われるくらいなので、その理由は判然としないものの、熱田神宮に深くかかわった尾張氏に由来する神社として熱田の奥の院と言われたのだと予想します。
 実際にWikiを確認すると、「熱田の奥の院」としての文字表記はあるものの、明確な説明はされておらず、特定するにはいたりませんでした。

◆ 鬼門としての役割

 尾張部神社は名古屋城の鬼門に位置し、尾張徳川家からの信仰は篤く社殿の修繕等が行われ、藩費による修繕も行われたとされたそうです。

◆ 神社の歴史と由緒

 古くは尾張氏の祖神を祀る社とも伝わり、尾張国造(おわりのくにのみやつこ)との結びつきが強い神社です。
 熱田神宮への参拝とともに訪れる人も多く、尾張部の祖神として、この尾張部神社を奥宮としての信仰が広がりました。


◆ 見どころと境内の雰囲気

尾張部神社の境内はこぢんまりとしていますが、神聖な空気に包まれています。

  • 拝殿と本殿
     質素ながらも清らかな造りで、参拝すると落ち着いた気持ちになります。
  • 古墳
     尾張部神社本殿の下には尾張部神社古墳があり、豪族の古墳の上に社殿が建てられています。
     古墳は近くにある志段味古墳群に属しているとされ、国の史跡にも登録をされています。
     古墳自体は円墳と呼ばれる丸い形の古墳(かつては前方後円墳の説もあり)であり、その形状等から白鳥塚古墳と同時期の4世紀前半に築造されたものと推定をされています。

◆ アクセス

  • 所在地:名古屋市守山区大谷町(志段味地区からも近い)
  • 最寄り駅:JR中央本線「神領駅」から車で約10分
  • 駐車場:周辺に若干の駐車スペースあり

熱田神宮と比べると訪れる人も少なく、静かに参拝できるのが魅力です。


◆ まとめ

 尾張部神社は、熱田神宮と深く結びついた尾張氏との深い関係を持っており、一説には熱田の「奥宮」としての説がある神社。
 尾張氏の祖神を祀っており、熱田神宮に参拝したら、ぜひ足を延ばして尾張部神社も訪れてみてください。人の少ない境内で、静かに神話の世界に思いを馳せることができるでしょう。

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