志那都比古神(しなつひこのかみ)は、
日本神話に登場する風の神です。
その風は、時に穏やかに命を育み、時に荒々しく大地を揺るがす力。
自然と共に生きる日本人にとって、古くから重要な神として祀られてきました。
◆ 基本情報|志那都比古神とは?
項目 | 内容 |
---|---|
神名 | 志那都比古神(しなつひこのかみ) |
別名 | 科戸之男命(しなとのおのみこと)とも |
性別 | 男神 |
系譜 | 伊弉諾命が鼻を洗った際に生まれた神(『日本書紀』) |
神格 | 風神・気象神・浄化神 |
ご神徳 | 風・天候の調整、五穀豊穣、災害除け、浄化 |
◆ 神話における登場
『日本書紀』の一書において、
伊弉諾命(いざなぎのみこと)が黄泉の国から戻った後、
穢れを祓うために禊(みそぎ)を行った際に、
志那都比古神は鼻を洗った時に生まれた神として登場します。
風は古代より「目に見えぬ神の力」として捉えられ、
志那都比古神もその象徴として、
見えないけれど確かに感じられる霊力を持つ神格です。
◆ 神名の意味と風の性質
「志那(しな)」は風を意味する古語で、
「比古」は男神を表します。
風はすべてを運び、繋げ、浄化する存在。
そのため、志那都比古神は
空気の循環・気象・自然調和を司る神として尊ばれます。
◆ ご神徳|風の神のもたらす恵みと守り
ご神徳 | 内容 |
---|---|
風の調整 | 稲作や航海、生活全般に関わる風の守護 |
五穀豊穣 | 適度な風は農作物を育む助けとなる |
災害除け | 台風や突風など気象災害を鎮める神 |
心身の浄化 | 風による祓い・けがれの除去の象徴 |
◆ 志那都比古神を祀る主な神社
神社名 | 所在地 | 特徴 |
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志那都神社(科戸神社) | 長野県、滋賀県などに複数あり | 古代信仰の名残として志那都神を祀る |
風宮(かぜのみや) | 伊勢神宮・内宮の別宮(三重県) | 志那都比古神と志那都比売神を祀る |
風の社・風神社 | 全国 | 志那都比古神の信仰が転じた風神信仰の一端 |
◆ 志那都比売神との関係
志那都比古神には、女神としての対神
**志那都比売神(しなつひめのかみ)**が存在し、
多くの場合、男女一対の風神として祀られます。
これは風が持つ陽と陰、強さとやさしさの両面を象徴する形であり、
風神信仰の豊かさと深さを示しています。
◆ 現代における信仰
- 自然災害の回避を祈る地域の祭祀
- **神社の夏越の大祓(なごしのおおはらえ)**における祓いの神としての登場
- 心を整えたい人・穢れを祓いたい人の守護神としての信仰
◆ まとめ|風に宿る神の姿
志那都比古神は、
目には見えないけれど、
いつもそばで私たちの暮らしに関わる神。
- 風の流れは命の循環
- 大いなる浄化の力を持つ存在
- 天地の調和を保つ古代の風神
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