〜都を守護した「日本三大八幡宮」のひとつ〜
京都府八幡市、男山(おとこやま)の中腹に鎮座する石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)。
「宇佐神宮(大分)」「筥崎宮(福岡)」と並ぶ日本三大八幡宮のひとつで、
古くから“やわたのはちまんさん”として親しまれてきた由緒正しき神社です。
◾ 由緒・歴史
創建は平安時代初期、貞観元年(859年)。
大分県の宇佐神宮から八幡大神を勧請し、
この地・男山に祀ったのが始まりとされています。
当時、平安京が造営されてから間もなく、
国家の安泰と都の守護を願って創建されたと伝わります。
また、八幡大神は応神天皇(誉田別命)の神格化であり、
天皇を守護する神としても篤く信仰されました。
平安時代以降は朝廷の守護神、さらに武家の守護神として崇められ、
特に源氏一門は八幡大神を氏神とし、
鎌倉幕府の成立にも深く関わることになります。
そのため、石清水八幡宮は
「国家鎮護の八幡さま」「武運長久の神」として
多くの人々から信仰を集め続けています。
◾ 御祭神
石清水八幡宮では、八幡三神を主祭神としています。
- 誉田別命(ほんだわけのみこと) — 応神天皇。八幡大神として信仰される。
- 比咩大神(ひめのおおかみ) — 応神天皇の母神・神功皇后とする説も。
- 息長帯姫命(おきながたらしひめのみこと) — 神功皇后。勝運と安産の女神。
この三柱は「八幡三所大神」として一体に祀られています。
また、境内には多数の摂末社があり、さまざまな神々をお祀りしています。
◾ ご利益
石清水八幡宮は、古来より以下のようなご利益で知られています。
- 厄除開運
- 必勝祈願・武運長久
- 交通安全・旅行安全
- 商売繁盛・事業繁栄
- 国家安泰・家内安全
特に「厄除けの神様」として有名で、
京都・大阪を中心に多くの参拝者が厄年の祈祷に訪れます。
◾ 見どころ
● 国宝・八幡造の社殿
現在の本殿・幣殿・舞殿は、江戸時代の寛永11年(1634年)、
徳川家光の寄進によって再建されたもの。
その建築様式は「八幡造(はちまんづくり)」と呼ばれ、
本殿が前後二棟並んだ独特の構造をしています。
この形式は、後の八幡宮建築の規範ともなりました。
● 勇壮な石段と参道
男山山頂へと続く参道は、木々に囲まれた静寂の道。
ケーブルカーを利用して参拝することもできますが、
徒歩で登ると古社特有の荘厳な雰囲気を味わえます。
● 放生池と楼門
麓の頓宮(とんぐう)から見上げる楼門は圧巻の美しさ。
春は桜、秋は紅葉が美しく、季節ごとの彩りが楽しめます。
● 清めの泉「石清水」
社名の由来にもなった「石清水」が湧く清泉。
かつてこの湧水で身を清めて参拝したことから、
「石清水八幡宮」という名がついたと伝わります。
◾ 年中行事
- 石清水祭(9月)
平安時代から続く八幡宮最大の神事。勅祭として知られ、華やかな神輿行列が行われます。 - 厄除大祭(1月)
全国から厄年の参拝者が訪れる人気の行事。
新年の厄除け祈祷を受けると、運気が大きく開けるといわれます。
◾ アクセス
- 所在地:京都府八幡市八幡高坊30
- 交通:
・京阪電車「石清水八幡宮駅」から徒歩5分(ケーブル乗り場まで)
・ケーブルカー「八幡宮山上駅」下車すぐ - 駐車場:あり(参拝者専用)
◾ まとめ
石清水八幡宮は、京都を守護する国家鎮護の社であり、
源氏ゆかりの武運の神としても名高い存在です。
その壮麗な社殿、悠久の歴史、静寂に包まれた男山の自然。
すべてが調和した神域は、訪れる人々に深い安らぎを与えてくれます。
厄除けや勝負運を願う方、
または歴史ある神社建築に触れたい方に、ぜひおすすめしたい名社です。
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