
- 多賀大社の主祭神「伊邪那岐命・伊邪那美命(いざなぎ・いざなみ)」── 日本を産み出した夫婦神の正体と、黄泉の国神話・「死と生の神様」としての深いご神意
- 豊臣秀吉が母の長寿を祈願して米1万石を奉納した伝説・「ねがいのしゃもじ」と太閤橋── 戦国の天下人が崇めた長寿の聖地の歴史
- 「命は多賀に縁は大社に」── 長寿・縁結び・夫婦円満・子宝のご利益と、奥書院の名勝庭園・御朱印・アクセス完全ガイド
「命は多賀に縁は大社に」── 伊勢・出雲と並ぶ「命の聖地」へ。
日本を産み出した夫婦の神様が、滋賀の山里に静かに鎮まっています。
📋 多賀大社 基本情報
| 正式名称 | 多賀大社(たがたいしゃ) 別称:お多賀さん・命の神社 |
|---|---|
| 主祭神 |
伊邪那岐命(いざなぎのみこと)・
伊邪那美命(いざなみのみこと) ── 夫婦神・国産みの神。日本の国土・自然・神々を産み出した創造神。 長寿・縁結び・夫婦円満・子宝の神様として全国から崇敬を受ける |
| ご利益 | |
| 社格 | 式内社(名神大社)・旧官幣大社・別表神社 |
| 創建 |
神代(古来より創建と伝わる) 文献初出:三代実録(901年)・続日本紀 |
| 文化財・名勝 |
奥書院庭園:国指定名勝(池泉廻遊式日本庭園) 太閤橋・長曳橋(境内名所) |
| 所在地 | 〒522-0341 滋賀県犬上郡多賀町多賀604 |
| 参拝時間 | 境内:終日参拝可/御朱印・授与所:8:30〜17:00 |
| 奥書院庭園 | 9:00〜16:00(要拝観料) |
| 御朱印 | 初穂料 300円(通常) |
| 駐車場 | あり(有料・周辺に複数) |
| 公式サイト | tagataisya.or.jp |
🌸 祀られている神様を徹底解説
黄泉の国の女王
長寿・縁結びの神
天照・素戔嗚・月読を産んだ神
長寿・夫婦円満の神
太陽神・高天原の主神
伊勢神宮の主祭神
伊邪那美命が鎮まる場所
伊邪那岐命が訪れた愛の神話の舞台
① 伊邪那岐命・伊邪那美命とは?(初心者向けかんたん解説)
ひとことで言えば、「日本という国を産み出した夫婦の神様」です。 現代のたとえで言うと── 「宇宙創造プロジェクトのリーダー夫婦」。 天の神様(天つ神)から「海に浮かぶ大地を固めてきなさい」という命令を受け、 天の浮橋に立って槍(天沼矛・あめのぬぼこ)で海をかき混ぜると、 そこから日本の国土(淡路島から始まる大八島)が生まれたのです。
その後、伊邪那岐命と伊邪那美命は山・川・海・風・火など、 日本の自然を司るあらゆる神々を次々と産み出していきました。 多賀大社はこの「命を生み出した夫婦神」を祀ることから、 「命の神社」「長寿の神様」「縁結び・夫婦円満の聖地」として 古来より篤い信仰を集めてきました。
「命は多賀に縁は大社に」── この有名な俚諺は、 「長寿・命の祈りは多賀大社(伊邪那岐・伊邪那美)へ、 縁結びは出雲大社(大国主命)へ」 という江戸時代の人々の信仰の地図を表しています。 伊勢・出雲と並んで「命の神社」として知られた多賀大社は、 江戸時代には「お多賀詣り」として東海・近畿の人々が参拝に訪れた信仰の一大中心地でした。
② 黄泉の国神話── 伊邪那岐が愛する妻を追って冥界へ
国産み・神産みを終えた伊邪那美命は、 火の神・火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)を産んだときの火傷が原因で命を落とします。 最愛の妻を失った伊邪那岐命は、 悲しみのあまり死者の国・黄泉の国(よみのくに)へと妻を追って下りていきます。
- 黄泉の国で対面: 暗闇の中で伊邪那美命の声を聞いた伊邪那岐命。 「一緒にこの世に戻ろう」と呼びかけると、伊邪那美命は「黄泉の神様に許可を求めに行く間、 決して私を見ないで待っていてほしい」と頼みます
- 禁忌を破る: 待てど暮らせど戻らない妻を心配した伊邪那岐命は、 「見てはいけない」という禁忌を破り、自ら灯りをつけて妻を見てしまいます。 そこにいたのは── 死者に姿が変わり蛆(うじ)が湧いた伊邪那美命の姿でした
- 恐怖の逃走: 伊邪那岐命は恐怖で逃げ出しますが、 怒った伊邪那美命は「黄泉醜女(よもつしこめ)」「雷神たち」を送り出して追わせます。 逃げながら黄泉の国の食物・桃の実を投げつけて追手を退け、 ついに黄泉比良坂(よもつひらさか)まで逃げ切ります
- 永遠の別れ: 大岩で黄泉の入り口を塞いだ伊邪那岐命。 岩越しに「あなたの国の人を毎日千人殺す」と叫ぶ伊邪那美命に、 「では私は毎日千五百人産ませよう」と伊邪那岐命が返す。 こうして「死」と「誕生」の均衡が生まれた── これが人間の生死の起源とされています
- 禊と三貴子の誕生: 黄泉の穢れを洗い流すため水で禊(みそぎ)をした伊邪那岐命から、 左目から天照大神(あまてらすおおみかみ)、 右目から月読命(つくよみのみこと)、 鼻から素戔嗚尊(すさのおのみこと)が生まれました。 これが「三貴子(さんきし)」── 太陽・月・嵐の神の誕生です
✨ ご利益・祈願の詳細
🍚 豊臣秀吉と多賀大社── 米1万石と「ねがいのしゃもじ」
多賀大社が「長寿の神社」として全国に知られるようになった最大のきっかけは、 戦国時代の天下人・豊臣秀吉(とよとみひでよし)との深い縁にあります。
- 秀吉の母・大政所(おおまんどころ)の病気: 1588年(天正16年)頃、秀吉の母・大政所(なか・後に大政所と呼ばれる)が 重い病気にかかります。 天下統一を目前にした秀吉は、最愛の母の回復を必死に祈りました
- 多賀大社への祈願: 「命の神社」として知られた多賀大社に秀吉は熱心に祈願。 母の病気平癒を願って多賀大社に米1万石(現代価値で数億円相当)を奉納します。 天下人が「命を救ってほしい」と国内最大級の奉納をした── この出来事が全国に伝わり、 多賀大社の「長寿の神様」としての名声がさらに高まりました
- 「ねがいのしゃもじ」の伝説: 秀吉は「米1万石で母の命を救ってほしい」と祈願するとき、 しゃもじ(杓子・しゃくし)を奉納したと伝えられています。 しゃもじは「飯をよそう道具」── つまり「命(食べること)をいつまでも続けてほしい」という 秀吉の切実な願いの象徴として、「ねがいのしゃもじ」という言葉が生まれました
- 「お多賀杓子(おたがしゃくし)」の始まり: この逸話から、多賀大社のお守りとして「お多賀杓子(しゃもじ型のお守り)」が広まりました。 現代でも長寿・縁結びのお守りとして多賀大社の授与所で頒布されており、 全国の参拝者に人気のお守りです
- 太閤橋(たいこうばし)の寄進: 秀吉は多賀大社の境内に石造りの太鼓橋を寄進しました。 現在の「太閤橋」はその伝承を受け継ぐ境内の名所で、 アーチ状の美しい橋と境内の緑のコントラストは多賀大社の撮影名所となっています
🏯 見どころ・境内ガイド
📖 御朱印情報
| 種類 | 内容・特徴 | 初穂料 |
|---|---|---|
| 多賀大社 御朱印(通常) | 「多賀大社」の社号と「命」の印が入った格式ある御朱印。「命の神社」らしい深みのある筆致が特徴 | 300円 |
| 季節・特別御朱印 | 春(桜)・秋(紅葉)など季節限定デザインの御朱印が頒布される場合あり(公式サイト確認推奨) | 変動あり |
| お多賀さん記念スタンプ | 境内の一部スポットでスタンプ収集が可能。御朱印帳と合わせてコレクションする参拝者も多い | - |
🙏 参拝の作法ガイド
▶ 参拝作法の基本は 【神社参拝マナー完全ガイド】 もどうぞ。
📖 神様の物語コラム|国産みの夫婦── 柱をぐるぐる回って日本が生まれた
伊邪那岐命と伊邪那美命の「国産み」は、古事記の中でも最もロマンチックな場面のひとつです。
天つ神から「この漂える国を整え固めよ」と命じられた二神は、 天の浮橋に立ち、天沼矛(あめのぬぼこ)で海をかき混ぜ、 引き上げると矛の先からしたたり落ちた塩が固まって「淤能碁呂島(おのごろしま)」が生まれました。 二神はその島に降り立ち、天の御柱(あめのみはしら)を中心に、 「あなたはどこから来ますか?」と声をかけ合いながら柱を逆方向に回り、 「まぁ、あなたと出会えてなんと嬉しいこと」と告げ合って夫婦となりました。
最初の試みでは失敗(不具の子・蛭子が生まれる)もありましたが、 「女性から声をかけたのが良くなかった」と学び直し、再度挑戦。 今度は伊邪那岐命から声をかけることで、淡路島・四国・九州など八つの大島(大八島・おおやしま)が次々と生まれ、 さらに山・川・海・風・木・土など自然の神々が誕生しました。
「柱をぐるぐる回って声をかけ合うだけで国が生まれた」── 神話の世界では夫婦の「言葉と愛」が宇宙の創造力となります。 多賀大社に参拝するとき、この「最初の夫婦の物語」を思い出してみてください。 あなたの大切な人と一緒に訪れれば、二神の縁結びのご神威が届くかもしれません。
🎊 多賀大社の主な祭事・行事
🗺️ アクセス・周辺スポット
徒歩約10分
JR「米原駅」→近江鉄道乗り換え(所要約20分)
JR「彦根駅」→近江鉄道乗り換え(所要約20分)
北陸自動車道「米原IC」より約20分
駐車場:周辺に有料駐車場あり
滋賀県犬上郡多賀町多賀604
TEL:0749-48-1101
奥書院庭園込み:約2時間
彦根城と組み合わせ:半日〜1日
🌿 周辺のおすすめスポット
・彦根城・玄宮園(滋賀県彦根市) ── 車で約15分。国宝・彦根城は江戸時代を代表する天守閣。 多賀大社(命の神社)→彦根城(歴史)の「滋賀の二大スポット」セットコースが人気です。
・長浜城・長浜市街(滋賀県長浜市) ── 車で約25分。豊臣秀吉ゆかりの長浜城と黒壁スクエア(古い街並み)。 「秀吉が米1万石を奉納した多賀大社」→「秀吉ゆかりの長浜」という「秀吉の滋賀コース」もおすすめです。
・琵琶湖(滋賀県) ── 多賀大社から車で約20分で琵琶湖湖岸へ。日本最大の湖・琵琶湖を望む景色と「命の神社」参拝を組み合わせた「滋賀の自然と信仰コース」が楽しめます。
・多賀の門前町・糸切り餅(多賀大社周辺) ── 多賀大社の参道沿いには「糸切り餅(いときりもち)」の和菓子店が並んでいます。 三色の細い模様が美しい多賀の名物和菓子で、参拝後の甘味休憩に最適です。
伊邪那岐命と伊邪那美命の黄泉の国エピソード、 現代のラブストーリーに置き換えるとこうなります(型A:現代たとえ)。 「最愛のパートナーが突然亡くなり、悲しみのあまり冥界まで追いかけていった男性(伊邪那岐命)が、 「変わった姿を見ないで」というパートナーの言葉を待ちきれずに覗いてしまい、 永遠に別れることになる」── 世界中の神話に共通する「禁忌を破った悲劇」のパターンです。 ギリシャ神話のオルフェウスとエウリュディケーと ほぼ同じ構造なのが興味深いですね。
しかも、黄泉比良坂での別れ際のセリフが(型B:神話ツッコミ)── 「あなたの国の人を毎日千人殺す」(伊邪那美命)vs 「では毎日千五百人産ませよう」(伊邪那岐命)── これ、夫婦の最後の会話にしてはかなりスケールの大きな口喧嘩ですよね。 しかしこの「売り言葉に買い言葉」が、 「死(千人)と誕生(千五百人)の均衡=人口が増え続ける世界」の始まりになったという、 なんとも壮大な神話の仕掛けです。
……まあ、いいです。もう別れましょう。
でも多賀大社で私たちを一緒にお参りしてくれる人たちは、 夫婦仲良くしてほしいな、と思っています。
私たちみたいにはなってほしくないですから。
── 縁は大事にしてください。命も、ね。」 ── 伊邪那美命(多賀大社にて・想像上のセリフ)(型C:神様セリフ)
「夫婦の喧嘩が宇宙の法則になった」── それが多賀大社の神様の神話です。 「縁」と「命」を大切にしながら、大切な人とぜひ多賀大社を参拝してみてください。
・ギリシャ神話:オルフェウスが冥界で妻を振り返って見てしまう → 妻が冥界に戻る
・旧約聖書:ロトの妻が「振り返って見てはいけない」を破り → 塩の柱になる
・日本各地の神話:豊玉姫(とよたまひめ)が出産中に「見ないで」と頼んだのに見られる → 海に帰る
・日本各地の伝承:鶴の恩返し・機織りを「見ないで」と言うのに見てしまう → 去っていく
※ あくまで私の考察です。史実の確定的な解釈ではありません。
🌸 この記事でわかったこと まとめ
- 多賀大社は国産みの夫婦神・伊邪那岐命と伊邪那美命を祀る式内社・旧官幣大社。「命は多賀に縁は大社に」と謳われた「命の神社」として、長寿・縁結び・夫婦円満・子宝のご利益で全国から参拝者が訪れる
- 豊臣秀吉が母の長寿を祈願して米1万石を奉納した伝説と「ねがいのしゃもじ」── 天下人も頼った「長寿の神様」の信仰の深さ。太閤橋・奥書院庭園(国指定名勝)も必見の見どころ
- 黄泉の国神話は「見てはいけない禁忌を破った結果の永遠の別れ」── 世界中の神話に共通するパターンが、「縁と命を大切に」という多賀大社のご神意の原点にある
大切な人の長寿を祈り、夫婦・家族で揃って参拝しに行きたい聖地です。
「命は多賀に」── お多賀さんへ、ぜひ。🌸✨
参考資料:
多賀大社 公式サイト・
Wikipedia「多賀大社」・
滋賀県神社庁資料・古事記・続日本紀・三代実録(901年)・文化庁国指定文化財データベース
※ 御朱印・受付時間・庭園公開情報は変更になる場合があります。参拝前に公式サイトでご確認ください。

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