■ 筥崎宮とは
福岡市東区・箱崎に鎮座する**筥崎宮(はこざきぐう)**は、
宇佐神宮(大分)・石清水八幡宮(京都)と並び称される「日本三大八幡宮」の一社です。
九州の守り神として古来より崇敬を集め、
とくに「敵国降伏」の神として名高いことで知られています。
御祭神は、応神天皇(おうじんてんのう)を主神とし、
母神の神功皇后(じんぐうこうごう)、子の**玉依姫命(たまよりひめのみこと)**を配祀しています。
この三柱の神を合わせて「八幡三神」と称し、全国の八幡宮の総本社・宇佐神宮と同じ神々が祀られています。
■ 御祭神と御神徳
主祭神:
- 応神天皇(誉田別尊/ほんだわけのみこと)
武運長久、国家安泰、子孫繁栄の神。
相殿神:
- 神功皇后(じんぐうこうごう)
戦勝祈願・安産の神。 - 玉依姫命(たまよりひめのみこと)
縁結び・子育ての守護神。
筥崎宮は、勝運・必勝・厄除け・開運・安産など多方面にご利益があるとされ、
戦国武将や武士階級から庶民まで、幅広い信仰を集めてきました。
■ 歴史と由緒
筥崎宮の創建は、平安時代初期の延喜21年(921年)。
醍醐天皇の勅命によって創建されたと伝わります。
神功皇后が新羅遠征の際、この地で御子・応神天皇を胎内に宿したと伝えられ、
その際、神功皇后が使っていた「御筥(みはこ)」を埋めたことが「筥崎(はこざき)」という地名の由来となりました。
その後、蒙古襲来(元寇)の際には、亀山上皇が当宮で戦勝祈願を行い、
社殿に掲げられた「敵国降伏」の扁額が有名となります。
この言葉は「外国を滅ぼす」という意味ではなく、
**「敵意や争いの心を鎮め、平和をもたらす」**という祈りの表現とされています。
まさに平和への願いを象徴する八幡信仰の精神がここにあります。
■ 社殿と境内の見どころ
● 楼門(国指定重要文化財)
筥崎宮を象徴する荘厳な楼門には、亀山上皇の宸筆と伝わる「敵國降伏」の額が掲げられています。
この門をくぐると、不思議と心が引き締まる感覚に包まれます。
● 拝殿・本殿
鎌倉時代に焼失後、応永年間(15世紀)に再建された重厚な建築。
木造の力強さと、雅な八幡造の調和が見事です。
● 筥松(はこまつ)
神功皇后が遠征に出発する際、御筥を納め祈願したと伝わる霊松。
その末裔の松が今も境内に植えられています。
● 筥崎宮花庭園・あじさい苑
春は桜、夏は紫陽花、秋は菊など、四季折々の花々が境内を彩ります。
特に「放生会(ほうじょうえ)」の時期は、屋台が並ぶ福岡屈指の賑わいとなります。
■ 筥崎宮の祭事
- 玉取祭(たまとりさい)(1月3日)
男たちが玉を奪い合う迫力満点の新春行事。
その年の運勢を占うとされる伝統神事です。 - 放生会(ほうじょうえ)(9月中旬)
命を慈しみ、捕らえた魚や鳥を放つ行事。
博多三大祭のひとつに数えられ、福岡の秋を代表する風物詩です。
■ 御利益・信仰
筥崎宮は、古くから「勝運の神」として信仰されてきました。
源頼朝、足利尊氏、豊臣秀吉、黒田官兵衛など、多くの武将たちが戦勝を祈願したと伝わります。
現代では、スポーツ選手や受験生、ビジネスパーソンなど、
**「勝ちたい」「困難を乗り越えたい」**と願う人々の参拝が絶えません。
主な御利益:
- 勝運・必勝
- 厄除け・方除け
- 安産祈願
- 開運・家内安全
- 学業成就
■ アクセス
- 所在地:福岡県福岡市東区箱崎1丁目22-1
- アクセス:
JR鹿児島本線「箱崎駅」より徒歩約8分
地下鉄箱崎線「箱崎宮前駅」より徒歩3分 - 駐車場:あり
■ まとめ
筥崎宮は、
⛩️ 九州を護る八幡信仰の中心であり、
🕊️ 「敵国降伏」という平和祈願の象徴でもある神社です。
戦いの勝利だけでなく、**「心の勝利」「平和への祈り」**をも教えてくれる聖地。
その荘厳な楼門をくぐると、千年の祈りが今も息づいていることを感じられるでしょう。
福岡を訪れたなら、ぜひ立ち寄りたい一社です。

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