【神様図鑑】舒明天皇(じょめいてんのう)―「飛鳥」という時代性を象徴する大王―


■舒明天皇とは

舒明天皇(593〜641)は飛鳥時代中期の天皇で、推古天皇・大化の改新前夜の政治を支えた人物です。
元々は田村皇子と呼ばれ、敏達天皇の孫にあたります。
推古天皇崩御後の皇位継承は混乱が続きましたが、その流れの中で即位したのが舒明天皇です。

舒明天皇は飛鳥岡本宮を中心に政治を行い、古代の大王制が確立していく重要な段階を担いました。
さらに、日本史上で初めて 「天皇(てんのう)」と呼ばれた人物 とされる説もあり、肩書きと権威の上でも大きなターニングポイントとなる存在です。


■舒明天皇と国風意識

舒明天皇の代表的な資料と言えば『万葉集』に収録されている「国見の歌」。

大和には 群山あれど
とりよろふ 天の香具山
登り立ち 国見をすれば …

これは、天皇自身が大和の国の山々を眺め、国を讃えた歌とされ、「国見」の儀式がより国家意識と結びついていく契機となったと考えられています。

この歌は“国を眺め、国の姿を言葉にする”という、日本の天皇の象徴的行為の最古レベルの原型イメージとなっています。


■舒明天皇を祀る神社

神社名所在地備考
香具山・国見伝承地周辺奈良県橿原市「国見」の舞台であり、舒明天皇の象徴聖地
高取町 神宮寺旧跡周辺伝承地奈良県高市郡舒明陵が近接

舒明天皇は明確に「大規模御社」として祀られる神社は限定的ではありますが、
大和〜飛鳥の地そのものが、舒明天皇ゆかりの“国見の聖地”として信仰的意味を持ち続けています。


■ご利益(象徴的意味)

舒明天皇の象徴は「国を眺める視点」「全体を見る目」です。

  • 俯瞰力
  • 情勢把握
  • 物事の全体像を整理する力
  • 発想の切り替え
  • 本質を見る洞察力
  • 国や組織を導く長期視点

特に、経営者・管理職・受験計画立案・人生プランなど
「方向性を決める時」に相性の良い象徴といえます。


■まとめ

舒明天皇は、飛鳥時代における“大王制度が天皇制へ進化していく過程”を担った存在であり、
「国を見る」「国を意識する」天皇像を明確に提示した人物です。

国見の歌は、後の天皇観、国体観、祭祀観に連綿とつながる象徴的行為。

飛鳥の地を歩くとき、舒明天皇の“国を見る視点”は
今もなお、風景として存在し続けています。

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