神の種類
国津神
父神
伊邪那岐命(No.012)
母神
伊邪那美命(No.013)
神格
木神・樹木・森林・自然
兄弟神
五十猛神・罔象女神など
📅 2026年5月15日✍️ 神社めぐり管理人 🗂 神様図鑑シリーズ📖 読了目安:9分

① 名前と出典

正式名称久久能智神(くくのちのかみ)古事記
日本書紀表記句句廼馳(くくのち)日本書紀
名前の意味「久久(くく)」は「木の幹・茎(くき)」の古形とする説が有力。「の」は格助詞。「智(ち)」は「霊力・命」を示す古語(「いかずち(雷)」「みなとち(水路)」などの「ち」と同語源)。全体として「木の幹・茎に宿る霊力の神」——樹木の中枢・幹に宿る生命力を体現した木の神という意味。
初出文献古事記(712年)上巻・日本書紀(720年)神代上。伊邪那岐命(No.012)と伊邪那美命(No.013)が国土生成を行う場面で、二神の子として生まれた神のひとりとして記録される。「木の神」として位置づけられ、日本の森林・樹木に宿る霊力の根源神として信仰されてきた。
🌳 注目ポイント:久久能智神は伊邪那岐命・伊邪那美命という日本神話最大の「創造の神々」の御子として生まれた木の神です。日本は国土の約7割が森林に覆われた「木の国」であり、古代から木は「家を建てる・船を作る・道具を作る・燃料にする」というあらゆる生活の基盤でした。久久能智神はそのすべての木の恵みを司る神として、林業・木材業・大工・建築に関わる人々の守護神として古来から信仰されてきました。森・木・自然への畏敬というテーマは現代の環境問題とも通じる普遍的な神格です。

② 神様の種類・神格

分類国津神——木・樹木・森林の霊力を体現した自然神——伊邪那岐命と伊邪那美命の国土生成の産物として生まれた自然神のひとりで、日本の大地に生える樹木すべての霊力を体現する神。「木の幹(くき)に宿る命(ち)」という名前の本義どおり、樹木の生命力そのものを神格化した存在。
神格木神・森林神・林業神・建築神・自然神・環境守護神
五十猛神との関係素戔嗚尊の御子・五十猛神(No.007)も木の神・植樹の神として知られるが、久久能智神は「伊邪那岐命・伊邪那美命の御子」という格式を持つ点で別格。久久能智神が「木の霊力そのもの」を体現するのに対し、五十猛神は「木を植えて日本に樹木をもたらした」という行為の神という違いがある。

③ 系図

📖 系図の注記:久久能智神・罔象女神(水)・埴山比売神(土)という「木・水・土」という三つの自然要素を司る兄弟神が伊邪那岐命・伊邪那美命から生まれたことは、「日本の大地は木・水・土によって成り立つ」という古代の自然観を神話的に体現しています。

④ 活躍した時代

🌳
国土生成の時代から現代——日本の「木の文化」を守り続ける根源の神
伊邪那岐命・伊邪那美命による国土生成の産物として生まれた久久能智神は、日本の大地に生えるすべての樹木の守護神として古代から現代まで信仰されてきた。木造建築文化・林業・木工という日本固有の「木の文化」の根底に久久能智神への信仰がある。現代では環境保護・森林保全という観点からも久久能智神の神格が再注目されている。
⸻ ✦ ⸻
02

祀られる神社

📌 久久能智神を単独で祀る神社は各地に点在しますが、多くは「御神木がある神社」や「木の神」として合祀される形で信仰されています。「境内に樹齢数百年の大木がある神社参拝=久久能智神への参拝」という理解で、どこの神社の古木もこの神の加護が宿ると考えることができます。
⸻ ✦ ⸻
03

登場する神話・伝説

🌳木・水・土——伊邪那岐・伊邪那美が生んだ「日本の大地の三要素」

古事記の国土生成の場面で、伊邪那岐命と伊邪那美命は日本の国土を形成する多数の神々を産みます。その中に久久能智神(木)・罔象女神(水)・埴山比売神(土)という「木・水・土」三つの自然要素を司る神々が含まれていることは、「日本の農耕文明は木・水・土の三要素で成り立つ」という古代の世界観の神話的表現と解釈できます。木は家を建て道具を作る素材、水は稲作に不可欠な命の源、土は作物を育む大地——この三つがあって初めて人間の生活が成り立つという根本的な自然理解が、三柱の神の誕生として神話に刻まれています。

国土生成の御子神——木の霊力を大地に宿した神
古事記によれば、伊邪那岐命と伊邪那美命が国土生成を行った際に多くの自然神が生まれた。久久能智神はその一柱として「木(樹木)の霊力」を司る神として誕生した。日本書紀の「句句廼馳(くくのち)」という表記も同じ神を指す。「木の幹(くき)に宿る霊力(ち)」という名前のとおり、日本の大地に生えるすべての樹木の生命力・霊力を体現した神として古代の人々に信仰された。日本列島の約7割が森林に覆われているという地理的事実が、「木の神への信仰」の根拠として日本人の自然観の根底に流れ続けている。

出典:古事記(上巻)国土生成の段・日本書紀(神代上)
この神話を詳しく読む

日本の「木の文化」と久久能智神——法隆寺から茶室まで
日本は世界に誇る「木の文化」を持つ国です。世界最古の木造建築・法隆寺(奈良・607年)、茶室・数寄屋建築、木工芸・漆器、木造船・和船——これらすべての根底に「木への敬意・木の霊力への信仰」があります。久久能智神はこの「木の文化」の神話的根拠として機能しており、大工・宮大工・木工職人・林業従事者・木材業者が久久能智神への信仰を持つことは自然な流れです。現代の「SDGs・森林保全・環境保護」という文脈においても、久久能智神の「木への畏敬」という神格は改めて重要な意味を持ちます。「木を使う前に木の神への感謝を忘れない」という日本古来の精神性が、久久能智神信仰の現代的な意味といえるでしょう。

出典:日本の木の文化・林業の歴史
詳しく読む
⸻ ✦ ⸻
05

ご利益

🌳
林業・木材業守護
木の神として林業・木材業・製材業への守護のご利益がある。「木を扱う仕事」すべての守護神として古くから信仰される。
🏠
建築・大工守護
木造建築文化の根源神として建築・大工・宮大工・木工職人への守護のご利益がある。家の建前(棟上げ)の際の祈願に縁がある。
🌿
自然・環境保護
森林の神として環境保護・自然との共生・緑化活動への守護のご利益がある。現代のSDGs・環境問題と深く共鳴する神格。
💪
生命力・健康長寿
「長寿の木(樹齢数百年・千年の木)」の霊力から長寿・生命力・健康への守護のご利益がある。御神木への参拝は健康祈願として古来行われてきた。
🎋
成長・発展
木のようにゆっくりと着実に成長する神として、子どもの成長・事業の着実な発展への守護のご利益がある。
🌱
新しい命・再生
切り株から芽が吹く木の生命力から、新しい出発・再生・復活への守護のご利益がある。苦境から再出発する力の守護神。
⸻ ✦ ⸻
06

関わりの深い場所・聖地巡礼

⸻ ✦ ⸻