神 様 図 鑑
にわたかつひのかみ 庭高津日神
大年神と天知迦流美豆比売の御子神・庭津日神と対をなす兄弟神 / 大嘗祭の斎田を守る神として延喜式にも名を残す / 庭に降り注ぐ陽光を神格化したとされる
① 名前と出典
| 正式名称 | 庭高津日神(にわたかつひのかみ)古事記・上巻 |
|---|---|
| 名前の意味 | 「庭(にわ)」=屋敷地・祭祀の場、「高津日(たかつひ)」=高く照る日——「庭を高く照らす日の神」を意味するという説がある。庭は穀物を干すなど農作業にも使われる場であり、そこに降り注ぐ太陽の恵みを神格化したものと考えられている。同母兄弟である庭津日神とは、「日」の解釈を巡って「霊(ひ)」とする説と文字通り「太陽」とする説があり、対をなす神格として並び称されることが多い。 |
| 初出文献 |
古事記(712年)上巻・大年神の系譜の段 大年神が天知迦流美豆比売を娶って生んだ十柱の御子神のうち、羽山戸神に続く九番目として記される。直後に大土神(土之御祖神)が続く。古事記 |
| 宮中祭祀での位置づけ |
延喜式・大嘗祭における斎田守護の神八座の一柱 延喜式の践祚大嘗祭・抜穂条には、悠紀田・主基田(大嘗祭で用いる稲を作る神聖な田)の斎院に祀る神八座の一柱として「庭高日神」の名が挙げられており、阿須波神・波比岐神とともに、斎場という聖域を守る神として位置づけられている。延喜式 |
② 活躍した時代
古事記の系譜に名を連ねるにとどまらず、延喜式に記される大嘗祭の斎田守護神として、実際の宮中祭祀に組み込まれた。阿須波神・波比岐神と同じく、神話の時代から実際の皇室儀礼へと信仰が受け継がれた例である。
祀られる神社
登場する神話・伝説
大年神の系譜——天知迦流美豆比売との十柱の御子神
古事記上巻において、大年神は天知迦流美豆比売を娶り、奥津日子神・奥津比売命(大戸比売神)・大山咋神・庭津日神・阿須波神・波比岐神・香山戸臣神・羽山戸神・庭高津日神・大土神(土之御祖神)の十柱を生んだと記される。庭高津日神はこの中で九番目に位置し、末子の大土神の直前に記される。
大嘗祭の斎田を守る神八座
延喜式の践祚大嘗祭・抜穂条には、天皇即位の際に一代一度行われる最重要祭祀・大嘗祭のために選ばれる悠紀田・主基田の斎院において祀られる神八座が記されており、その中に「庭高日神」の名がある。同じく古事記で兄弟神とされる阿須波神・波比伎神も名を連ねており、これら大年神系譜の神々が、稲作の最も神聖な儀礼の場を守る神として、平安時代の宮中祭祀に生き続けていたことがわかる。
逸話・エピソード
庭高津日神・庭津日神に共通する「日」の字については、文字通り「太陽」と解釈する説と、「霊(ひ)」——目に見えない神秘的な力を意味する古語——と解釈する説の二つがある。前者であれば庭を照らす太陽神、後者であれば庭に宿る神秘的な力そのものを指すことになり、同じ一文字から全く異なる神格イメージが立ち上がる点が興味深い。
大嘗祭は、新たに即位した天皇が初めて行う新嘗祭であり、皇位継承儀礼の中でも最も神聖とされる祭祀である。その稲を育てる斎田を守る神として庭高津日神が名を連ねていることは、この神が単なる系譜上の一柱にとどまらず、皇室の代替わりという国家的な大事に、目立たないながらも重要な役割を果たし続けてきたことを示している。
庭高津日神は、系譜上では庭津日神とは離れた位置(九番目)に記されているが、名前の類似性から両者は対をなす神格として扱われることが多い。一方は屋敷地全般を、もう一方は庭に降り注ぐ日光を、それぞれ異なる角度から守るというように、役割を分担していたのではないかとする見方もある。
ご利益
庭に降り注ぐ日光を守る神として、五穀豊穣・家内安全・開運といったご利益が信仰されています。

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