この記事でわかること
・広島平和記念公園の「平和の灯」の火が、実は宮島のお寺から分けられたものであるという事実
・1200年間一度も消えたことがないと伝わる炎の正体
・厳島神社のすぐ近くにありながら、あまり知られていない宮島最古の名刹の姿
広島県廿日市市・宮島、世界遺産・厳島神社から徒歩約20分の弥山山麓に、宮島で最も歴史の深い寺院大聖院があります。ここには、広島平和記念公園に灯る「平和の灯」の火元となった、1200年守られ続けている炎が今も燃えています。
01. 大聖院の基本情報
| 正式名称 | 亀居山放光院大聖院(ききょざん ほうこういん だいしょういん) |
|---|---|
| 宗派 | 真言宗御室派 大本山 |
| ご本尊 | 波切不動明王(本堂)/十一面観音菩薩(観音堂) |
| 開基 | 弘法大師空海 |
| 創建 | 大同元年(806年) |
| 寺格 | 宮島に現存する最古の寺院、鳥羽天皇の勅願所 |
| 所在地 | 広島県廿日市市宮島町210 |
| アクセス | 宮島桟橋から徒歩約20分、厳島神社から徒歩約10分 |
| 拝観時間 | 8:00〜17:00 |
| 拝観料 | 無料 |
02. ご本尊「波切不動明王」「十一面観音菩薩」ってどんな仏様?
分類:明王
本堂に安置
分類:菩薩
観音堂に安置・厳島神社の本地仏
① 一言まとめ
大聖院の本堂には、豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に航海の安全を祈願したと伝わる波切不動明王が、観音堂には、かつて厳島神社の御祭神の本来の姿(本地仏)とされていた十一面観音菩薩が祀られています。
② 由来・経典上の位置づけ
大聖院は、唐から帰国した弘法大師空海が大同元年(806年)に宮島の弥山で修行を行ったことに始まると伝えられています。以来、明治の神仏分離令が出されるまでの長きにわたり、大聖院は厳島神社の祭祀を統括する別当寺として、神社の僧侶たちをまとめる役割を担っていました。
③ 姿・特徴
大聖院は鳥羽天皇の勅願所に定められ、明治天皇が中国地方を巡幸した際の宿所にもなった、由緒ある寺院です。境内の摩尼殿には、弥山の守護神とされる三鬼大権現が祀られ、2階には金色に輝く千体の阿弥陀仏が整然と並んでいます。
03. ご利益・祈願
波切不動明王は古くから航海安全のご利益で知られ、十一面観音菩薩は厳島神社の御祭神と一体の存在として篤い信仰を集めてきました。「消えずの火」で沸かした霊水は万病に効くとされ、遠方から求めて訪れる参拝者も少なくありません。
04. 境内の見どころガイド
消えずの火(霊火堂)
弘法大師空海が弥山で護摩修行を行った際に灯した炎が、歴代の僧侶によって薪を絶やすことなく守り継がれ、1200年以上燃え続けていると伝えられています。堂内にゆらめく炎を間近で見ながら、悠久の時の重みを肌で感じられる、大聖院で最も神聖な場所です。
摩尼車の並ぶ石段
本堂へと続く石段の手すりには、般若心経が刻まれた金属製の筒「摩尼車」がずらりと並んでいます。時計回りに一つずつ回しながら登ると、お経を一巻唱えたのと同じ功徳が得られるとされ、心地よい金属音とともに石段を上る、大聖院ならではの参拝体験ができます。
五百羅漢庭園
摩尼車の石段脇に広がる庭園には、一体一体表情の異なる石仏が数多く並んでいます。夕暮れ時、西日に照らされる石仏たちの穏やかな表情は、写真好きの参拝者にも人気の撮影スポットです。
御朱印情報
| 種類 | 初穂料 |
|---|---|
| 波切不動明王の御朱印 | 300円 |
| 十一面観音菩薩の御朱印 | 300円 |
05. 寺宝・秘宝ハイライト
1200年間 ― 空海が灯した炎が守り継がれてきた年月。この「消えずの火」は、広島平和記念公園に灯る「平和の灯」の種火としても分けられており、宮島から遠く離れた場所でも、この炎は静かに燃え続けています。
千体 ― 摩尼殿2階に整然と並ぶ黄金の阿弥陀仏の数。薄暗い堂内に一斉に金色の輝きを放つ光景は、一度見たら忘れられない迫力があります。
06. 参拝の作法ガイド
- 山門をくぐる前に、境内に向かって軽く一礼します
- 手水舎で両手と口を清めます
- 摩尼車が並ぶ石段では、時計回りに一つずつ回しながら登ります
- 本堂・観音堂の前で姿勢を正し、静かに合掌して一礼します
07. 空海が開いた、厳島神社を支えた寺
大聖院の歴史は、弘法大師空海が唐から帰国した後、大同元年(806年)に宮島の霊峰・弥山で厳しい修行を行ったことに始まると伝えられています。以来、大聖院は単なる一寺院にとどまらず、明治の神仏分離令が発布されるまでの長い間、厳島神社の祭祀を統括する別当寺として、神社に仕える僧侶たちをまとめる中心的な役割を担っていました。
やがて鳥羽天皇の勅願所となり、明治時代には明治天皇が中国地方を巡幸した際の宿所としても使われるなど、時の権力者たちからも篤く崇敬されてきた大聖院。世界遺産・厳島神社の華やかさの陰で、その神社を長きにわたり支え続けてきた「もう一つの宮島の顔」ともいえる存在です。
08. 伝説・言い伝え
【伝説】空海が灯した火は一度も消えていない
霊火堂の「消えずの火」は、空海が弥山で護摩修行を行った際に灯した炎が、歴代の僧侶によって1200年以上絶やされることなく守り継がれてきたと伝えられています。実際には薪を絶やさぬよう人の手によって守り継がれてきた炎ですが、その営みの積み重ねこそが「消えずの火」の本当の意味だといえるでしょう。
【言い伝え】霊水を飲むと万病に効く
「消えずの火」で沸かした霊水を飲むと、万病に効き、幸せが約束されるという言い伝えがあります。この霊水を求めて、体調に不安を抱える人や、遠方から特別にこの水を目当てに訪れる参拝者も少なくないといわれています。
09. 周辺スポット・アクセス
宮島口駅から約10分、大聖院まで徒歩約20分
厳島神社まで徒歩約10分
ロープウェー・登山道の起点が近い
境内散策 約45〜60分
大聖院は世界遺産・厳島神社から徒歩約10分と近く、宮島観光の定番ルートに無理なく組み込めます。弥山への登山・ロープウェーとあわせて訪れる観光客も多く、宮島観光の「隠れた本命スポット」として近年注目を集めています。
10. まとめ
- 大聖院は空海が大同元年(806年)に開いたと伝わる、宮島に現存する最古の寺院である
- 「消えずの火」は1200年守り継がれ、広島平和記念公園の「平和の灯」の火元にもなっている
- 摩尼車・五百羅漢庭園・千体阿弥陀仏など、体験型の見どころが豊富に揃っている
厳島神社だけで宮島を後にするのはもったいない。ぜひ大聖院にも足を延ばし、1200年燃え続ける炎に手を合わせてみてください。
11. ゆる仏様トーク
1200年間、誰かが必ず火の番をし続けてきたと考えると、それはもう「奇跡」というより「執念」に近いのかもしれません。台風の夜も、戦争の時代も、絶やさなかった炎。宮島のもう一つの「守り神」といえるでしょう。
──広島の街を見守るその灯の源流をたどると、宮島の小さなお堂に行き着く。知れば知るほど、手を合わせたくなる場所です。
12. 謎と考察コーナー
【謎】なぜ空海の火は、原爆の火である「平和の灯」の種火に選ばれたのか?
【事実の整理】
広島平和記念公園に灯る「平和の灯」は、大聖院の「消えずの火」を種火の一つとして分けられたものと伝えられています。「消えずの火」自体は物理的に1200年間燃え続けているわけではなく、歴代の僧侶が絶やさぬよう薪を継ぎ足しながら守り継いできたものです。
【私の考察】
なぜ数ある「聖なる火」の中から、大聖院の炎が選ばれたのでしょうか。私は、「消える」ことこそが最大の恐怖だった被爆地・広島にとって、1200年間絶やされたことがないという事実そのものが、何よりの希望の象徴だったからではないかと考えます。核兵器の惨禍は「命の火を一瞬で消し去る」ものでした。だからこそ、人の手によって守り継がれ、決して消えることのなかった炎を分けてもらうことに、深い意味が込められたのではないでしょうか。
【結論(あくまで推測)】
「平和の灯」が大聖院の火から灯されたのは、単なる地理的な近さだけでなく、「消えない」という事実そのものに、平和への祈りを託したかったからなのではないでしょうか。あなたはどう思いますか?
※あくまで私の考察です。

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