日本神話の中でもひときわユニークで輝いている女性神、それが**天宇受売命(あめのうずめのみこと)**です。
「天岩戸(あまのいわと)」の神話で、暗闇に包まれた世界を笑いで救った芸能の女神として知られる彼女。
その姿は、今でも「芸能」「開運」「良縁」の守り神として、多くの人に信仰されています。
今回はこの天宇受売命を、【神様図鑑】としてご紹介します。
◆ 天宇受売命の基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
神名 | 天宇受売命(あめのうずめのみこと) |
読み方 | あめのうずめのみこと |
別名 | 宇受売命(うずめのみこと)、天鈿女命(てんうずめのみこと) |
神格 | 芸能の神、開運の神、縁結びの神、祭祀の神 |
ご利益 | 芸能成就、開運招福、縁結び、夫婦円満、安産祈願 |
◆ 神話での活躍|天岩戸を開いた陽気な女神
天宇受売命の最大の見せ場は、古事記・日本書紀に登場する「天岩戸(あまのいわと)」の神話です。
▷ 物語の概要:
太陽神・**天照大神(あまてらすおおみかみ)**が、弟・スサノオの乱暴に怒って天岩戸に隠れてしまいます。
すると、世界は真っ暗闇になり、作物も実らず、災いがあふれるようになります。
そこで登場するのが、天宇受売命。
彼女は岩戸の前で**大胆な踊り(時に上半身をあらわにするほどのパフォーマンス)**を披露し、周囲の神々を大爆笑させます。
その笑い声に気を引かれた天照大神が岩戸から顔を出したところを、他の神々が岩戸を開いて救い出すことに成功。
つまり――
天宇受売命は、世界を再び明るくした神なのです。
◆ どんなご利益があるの?
天宇受売命は、神話の活躍に基づいて、以下のようなご利益があるとされています。
ご利益 | 内容 |
---|---|
🎭 芸能成就 | 踊り・演劇・音楽など芸の道を志す人にとっての守護神 |
💖 縁結び | 猿田彦大神と夫婦神とされ、恋愛成就や夫婦円満の神として信仰 |
🌞 開運・厄除け | 闇を照らし世を明るくした神として、人生の困難を払い道を開く |
👶 安産祈願 | 女性神として、安産・子宝にもご利益があると伝えられる |
◆ 猿田彦大神との関係
天孫降臨の際、天宇受売命は地上で出迎えた**猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)**と結ばれ、夫婦となったと伝えられます。
そのため、2柱を一緒に祀る神社も多く、夫婦円満・縁結びのご利益もあわせ持つ神様として親しまれています。
◆ 天宇受売命を祀る主な神社
神社名 | 所在地 | 特徴 |
---|---|---|
椿岸神社(椿大神社の別宮) | 三重県鈴鹿市 | 猿田彦大神の后神として祀られる。芸能・縁結びにご利益あり。 |
戸隠神社・火之御子社 | 長野県長野市 | 天宇受売命を主祭神とする神社。芸能関係者の参拝が絶えない。 |
芸能神社(車折神社内) | 京都市右京区 | 芸能人の玉垣で有名。天宇受売命を芸能の守護神として祀る。 |
高千穂神社 | 宮崎県高千穂町 | 天岩戸伝説の地であり、天宇受売命の活躍にちなんだ神楽が奉納される。 |
◆ 豆知識|「ウズメ」は何を意味する?
「うずめ(宇受売)」の語源には諸説ありますが、
- 「うず(渦)」:回転する動き → 踊りの動き
- 「うずむ(埋む)」:地に足をつけ、命を宿す → 生命や豊穣の象徴
といった意味があるとされます。
つまり、ウズメとは命を呼び覚まし、動かす神でもあるのです。
◆ まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
神名 | 天宇受売命(あめのうずめのみこと) |
神格 | 芸能の神、笑いの神、縁結びの神 |
ご利益 | 芸能成就、縁結び、開運、安産 |
神話上の役割 | 天岩戸を開く踊りを披露し、世界に光を取り戻した |
関連の神 | 猿田彦大神(夫神) |
笑いは人の心をほどき、暗闇を照らす。
天宇受売命はまさに、日本神話における“光の舞姫”。
芸能を志す人、恋愛や結婚に悩む人、人生を明るく照らしたい人すべてに、そっと背中を押してくれる神様です。
神社に参拝の際は、ぜひ彼女の明るさと力強さにふれてみてください。
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