愛知県・名古屋にある熱田神宮。
ここに祀られている女神のひとりが、「宮簀媛命(みやすひめのみこと)」です。
草薙剣を守り、熱田神宮を創建したと伝わる彼女の姿は、まさに「強く、美しく、聡明」な古代女性そのもの。
今回は、宮簀媛命とはどんな人物なのか、その神話・功績・信仰の対象としての魅力を、やさしくご紹介します。
🔷 宮簀媛命とは?
◆ 読み方と別名
- みやすひめのみこと
- 「美夜受比売命(みやずひめのみこと)」とも書かれます。
◆ どんな人?
- 日本武尊(ヤマトタケル)の妃(妻)
- 草薙剣(くさなぎのつるぎ)を大切に保管し、後に熱田神宮を創建
- 知恵と信念を持ち、国家と神宝を守り抜いた古代の姫君
🔷 宮簀媛命と日本武尊の物語
◆ 出会い
東征のため尾張に滞在していた日本武尊と出会い、
その知性と美しさで見初められ、妻となります。
◆ 草薙剣を託される
日本武尊は伊勢神宮から受け取った「草薙剣(=三種の神器)」を、
戦の途中で宮簀媛に預けます。
理由は諸説ありますが、
- 敵に奪われることを恐れた
- 剣の力に頼らず戦いたかった
という説が伝わっています。
◆ 熱田神宮を創建
東国遠征から戻る途中、日本武尊は病に倒れて亡くなります。
遺された宮簀媛命は、剣を大切に守り続け、
その神威を祀るために熱田神宮を創建します。
🔷 なぜ信仰されているの?
宮簀媛命は、以下のような功績や性格から、多くの人に慕われています。
特徴 | 内容 |
---|---|
忠義 | 日本武尊への愛と忠誠を貫いた |
知恵と決断力 | 神剣を守り、熱田神宮を創建 |
女性の理想像 | 凛とした強さと優しさを兼ね備える |
守護の女神 | 家庭を守る神、夫婦円満・安産のご利益あり |
🔷 宮簀媛命を祀る神社
◆ 熱田神宮(愛知県名古屋市)
- 相殿神のひとりとして祀られる
- 境内には宮簀媛命を祀る伝承地も存在
◆ 宮簀媛神社(岐阜県・三重県など)
- 各地に「ミヤスヒメ」名義の神社が存在
- 地元では縁結び・安産・家庭守護の神として信仰
🔷 ご利益は?
ご利益 | 解説 |
---|---|
家庭円満 | 夫婦愛を貫いたことから |
安産・子授け | 女性の守護神として信仰 |
決断力・直感 | 神剣を託され、神宮を創建した知恵の象徴 |
信仰心・忠誠心 | 大切なものを守り抜く強い心を授けてくれる神 |
🔷 まとめ|静かに燃える信念の女神
宮簀媛命は、表立って英雄として語られることは少ないかもしれません。
けれどもその裏で、
- 草薙剣という国家の宝を守り抜き、
- 熱田神宮という信仰の中心を築いた
その功績は、日本神話の中でも屈指の「静かなる偉業」です。
女性として、母として、守り人として――
凛とした強さを持つ宮簀媛命は、現代の私たちにも力を与えてくれる存在なのです。
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