今回ご紹介するのは、神話のふるさと・宮崎県宮崎市にある「阿波岐原(あわきが原)」。
日本最古の歴史書『古事記』や『日本書紀』にその名が登場し、天照大御神(アマテラスオオミカミ)をはじめとする日本を代表する神々が誕生した、まさに「日本神話の原点」とも言える聖地です。
現在は美しい緑に囲まれた市民の憩いの場でありながら、一歩足を踏み入れると古代の息吹を感じられる神秘的なスポット。今回はその歴史的背景、見どころ、アクセスまで詳しく解説します!
1. 「阿波岐原」とは?(基本情報と神話の背景)
阿波岐原(現在は宮崎市阿波岐原町などの地名として残る一帯)は、日向灘(太平洋)に面した広大な松林が広がる地域です。
| スポット情報 | 詳細 |
| 主な見どころ | みそぎ池(御池)、江田神社 |
| 所在地 | 宮崎県宮崎市阿波岐原町産母(市民の森 内) |
| アクセス | JR日豊本線「宮崎神宮駅」から車で約10分 宮崎交通バス「市民の森」下車、徒歩約5分 |
◆ 神話における重要性:伊邪那岐命の「禊(みそぎ)」
神話の中で、伊邪那岐命(イザナギノミコト)は、亡くなった妻の伊邪那美命(イザナミノミコト)を追って黄泉の国(よみのくに)へ向かいます。しかし、そこで恐ろしい姿を見た伊邪那岐命は命からがら逃げ帰ってきました。
その際、「筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原」に赴き、黄泉の国の穢れ(けがれ)を洗い流すために衣服を脱ぎ、海(あるいは池)に入って体を清めました。これが日本における「禊(みそぎ)」のルーツです。
2. 最大の聖地:神々が誕生した「みそぎ池」
阿波岐原を訪れたら絶対に外せないのが、広大な一ツ葉(ひとつば)の松林、通称「市民の森」の中にひっそりと佇む「みそぎ池(古称:御池(みいけ))」です。
伊邪那岐命がここで禊(体を洗うこと)を行った際、彼の身にまとっていた衣服や、体から洗い流された穢れから次々と神様が生まれました。そして、最後に最も重要な「三貴子(さんきし)」と呼ばれる三柱の神が誕生します。
- 左目を洗ったとき:天照大御神(アマテラスオオミカミ / 太陽の神)
- 右目を洗ったとき:月読命(ツクヨミノミコト / 夜を統べる神)
- 鼻を洗ったとき:須佐之男命(スサノオノミコト / 海や嵐の神)
現代の「みそぎ池」は、周囲を静かな松林に囲まれ、初夏には美しい睡蓮(スイレン)が水面を彩る穏やかな池です。しかし、現地に立つと、言葉にできないほど厳かで清らかな空気が満ちており、強力なパワースポットとして多くの参拝者が訪れます。
3. あわせて巡るべき「江田神社」
みそぎ池から歩いて数分の場所には、阿波岐原の守護神であり、伊邪那岐命と伊邪那美命を祀る「江田神社(えだじんじゃ)」が鎮座しています。
- 日本最初の夫婦神を祀る:イザナギとイザナミを主祭神としていることから、縁結び、安産、夫婦和合のご利益で有名です。
- 御神木「御が霊(おがたま)の木」:天岩戸神話でアメノウズメが手に持って踊ったとされる木で、厄除けのパワーがあるとされています。
- クスノキの巨木:境内にそびえる大きなクスノキには、触れると強いエネルギーをもらえるという言い伝えがあり、多くの人が手を合わせています。
みそぎ池で心を清め、江田神社でお参りをするのが、阿波岐原をめぐる王道のルートです。
4. 周辺の名所:神話の舞台はすぐ近くにも!
阿波岐原の周辺には、他にも『古事記』に由来するスポットが点在しています。
- 小戸神社(おどじんじゃ):伊邪那岐命が禊を行った「小戸(おど)」の地名を受け継ぐ、宮崎港近くの神社。
- 住吉神社(すみよしじんじゃ):阿波岐原の松林の中にあり、イザナギの禊によって生まれた「住吉三神」を祀る、日本全国にある住吉神社の元宮(もとみや)の一つとも言われる古社。
車やレンタルサイクルを利用すれば、これら「禊の舞台」を1日でまとめて巡ることができます。
まとめ:日本の歴史の“深呼吸”を感じる旅へ
宮崎市の「阿波岐原」は、きらびやかな大社とは異なり、自然の木々や静かな水面そのものが神域となっている、原始的な信仰の形を残す美しい名所です。
私たちが日常で使う「お祓い」や「みそぎ」という言葉、そして太陽の神・天照大御神の物語はすべてここから始まりました。
宮崎を訪れた際は、南国の青い海だけでなく、この深い緑に包まれた神話の原点へ、ぜひ心を洗いに行ってみてくださいね。

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