神の種類
国津神
別名の数
6以上
主な神社
出雲大社
活躍時代
神代(かみよ)
神仏習合
大黒天
📅 2025年6月10日 ✍️ 神社めぐり管理人 🗂 神様図鑑シリーズ 📖 読了目安:10分

① 名前と出典

正式名称 大国主命(おおくにぬしのみこと)古事記
表記ゆれ 大国主神(おおくにぬしのかみ)日本書紀
読み方の由来 「大きな国の主(あるじ)」を意味し、葦原中国を統治した神であることに由来する。
初出文献 古事記(712年)・日本書紀(720年)

② 別名と出典

大己貴命 おおなむちのみこと。「大いなる名を持つ者」の意。日本書紀
八千矛神 やちほこのかみ。武力・勇猛を象徴する名。恋愛の歌謡にも登場する。古事記
葦原醜男 あしはらのしこを。葦原(地上世界)の勇者を意味する。古事記
宇都志国玉神 うつしくにたまのかみ。現世の国の霊を表す名。古事記
大物主神 おおものぬしのかみ。大和(奈良)における別の呼称。日本書紀

③ 同一神・神仏習合

大黒天 インド由来の福の神・大黒天と習合。「だいこく」という音の類似から同一視されるようになった。七福神の大黒様はこの習合に由来する。 中世神仏習合説
大物主神 奈良・大神神社(三輪山)に祀られる大物主神と同一視されることがある。古事記・日本書紀で記述に揺れがある。 古事記・日本書紀
💡 神仏習合とは:日本固有の神道と仏教が融合した信仰形態のこと。明治初期の神仏分離令(1868年)以前は、多くの神社に仏像が祀られていました。

④ 神様の種類

分類 国津神(くにつかみ)——地上世界に生まれた、または地上に宿る神。天孫降臨以前から葦原中国を治めていた神々の一柱。
神格 国土神・縁結神・農業神・医薬神・商業神・鎮守神
天津神との違い 天津神が高天原(天界)出身の神であるのに対し、国津神は地上(葦原中国)を拠点とする神。大国主命は天照大御神の命により国土を譲渡した(国譲り)。

⑥ 活躍した時代

🌅
神代(かみよ)——天地開闢から天孫降臨以前
古事記・日本書紀における「神代」の時代。天照大御神が天界を、大国主命が地上(葦原中国)を治めていたとされる時代。具体的な年代は不明だが、天皇家の祖・瓊瓊杵尊(ニニギ)の降臨以前にあたる。神仏習合の影響で、中世以降も信仰が継続し「大黒天」として福の神として広まった。
⸻ ✦ ⸻
02

祀られる神社

📌 大国主命は全国に多数の分社があります。上記は代表的なものを掲載しています。地元の神社でも祀られている場合があります。
⸻ ✦ ⸻
03

登場する神話・伝説

因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)
ワニ(鮫)を騙して海を渡ろうとした白兎が皮を剥がれ、泣いているところを大国主命が助ける物語。大国主命は兄弟神たちに荷物持ちにされ最後尾を歩いていたが、白兎に「真水で体を洗い、蒲の穂に包まれなさい」と教え、白兎の傷を癒した。この縁で因幡の八上比売との縁結びが成就する。

出典:古事記(上巻)
この神話を詳しく読む

根之堅州国での試練(ねのかたすくにのしれん)
兄弟神に何度も殺されては復活した大国主命は、スサノオが統べる根之堅州国を訪れる。スサノオは火の中・蛇の室・蜈蚣(むかで)と蜂の室などに大国主命を閉じ込めるが、スサノオの娘・須勢理毘売命の助けを得てすべての試練を乗り越える。最終的にスサノオの宝物(弓矢・琴)を持って逃げ出し、スサノオに「大国主」「宇津志国玉神」と呼ばれ認められた。

出典:古事記(上巻)
この神話を詳しく読む

国づくり・国引き神話
大国主命は少名毘古那神(スクナビコナ)とともに葦原中国を開拓。農業・医薬・温泉・禁厭(まじない)の術を人々に広めた。スクナビコナが常世の国へ去った後は、大物主神とともに国の経営を続けた。出雲国風土記には、出雲の国を大きくしようと各地から土地を引っ張ってきたという「国引き神話」も伝わる。

出典:古事記(上巻)・出雲国風土記
この神話を詳しく読む

国譲り(くにゆずり)
天照大御神の命により、天津神の使者が大国主命に国土の譲渡を要求する。大国主命の子・事代主神は承諾するが、建御名方神は武甕槌神と力くらべをして敗れ、諏訪の地に閉じ込められる。最終的に大国主命は国譲りを承諾し、自らは幽冥(あの世・見えない世界)を治めることとなった。この国譲りが出雲大社の創建につながるとされる。

出典:古事記(上巻)・日本書紀(神代下)
この神話を詳しく読む
⸻ ✦ ⸻
04

逸話・エピソード

EPISODE 01 何度死んでも蘇る——母神の愛

嫉妬した兄弟神たちに何度も殺害された大国主命。最初は大きな岩を転がされ焼き殺され、次は木の裂け目に挟まれて死に、そのたびに母神・刺国若比売(さしくにわかひめ)が神産巣日神(かみむすびのかみ)に懇願して蘇生させた。不屈の生命力と母神の深い愛情が印象的なエピソード。

EPISODE 02 八千矛神の恋歌——遠距離恋愛の神

古事記には「八千矛神(やちほこのかみ)の歌謡」が収録されており、大国主命が遠方の妻・沼河比売(ぬなかわひめ)へ求婚する歌、正妻・須勢理毘売との別れの歌など、情感あふれる恋愛の歌が記されている。武神・国神としての顔とは対照的な、ロマンチックな一面を伝える貴重な記録。

EPISODE 03 神在月——全国の神が出雲に集う

旧暦10月(現在の11月頃)、全国八百万の神々が出雲大社に集まり、翌年の縁結びや人の運命について会議(神議り・かみはかり)を行うとされる。その期間を出雲では「神在月(かみありづき)」と呼び、他の地域では神が不在となるため「神無月(かんなづき)」と呼ぶ。この伝承が出雲大社の縁結び信仰の根底にある。

EPISODE 04 大黒様との習合——七福神としての信仰

中世以降、「だいこく」という読みが共通することから、インド由来の福の神・大黒天(だいこくてん)と習合した。大きな袋を担ぎ、打ち出の小槌を持つおなじみの「大黒様」は、この習合によって生まれたイメージ。七福神の一柱として広く庶民に親しまれ、台所の神・台所神(へっついがみ)としても信仰された。

⸻ ✦ ⸻
05

ご利益

🤝
縁結び・良縁
男女の縁のみならず、仕事・友人・師弟関係など人生における全ての縁を結ぶ神。神在月に全国の縁が決まるとされる。
🌾
国土開発・産業振興
葦原中国を切り拓いた開拓神として、農業・漁業・商業・建設など産業全般のご利益がある。
🌿
医薬・病気平癒
スクナビコナと共に医術・薬草・温泉療法を人々に伝えた神。病気平癒・健康祈願に篤く信仰される。
💰
商売繁盛・金運
大黒天との習合により、打ち出の小槌・財運の神としても信仰される。商売の繁盛・財運向上を願う人々に人気。
👨‍👩‍👧
夫婦円満・家庭円満
多くの妻を持ちながらも正妻・須勢理毘売を大切にした神話から、夫婦関係の安定・家庭円満に御利益があるとされる。
🌱
五穀豊穣・食物
国づくりの神として農業・食物全般に御縁があり、豊作・食の安全を祈願する神事でも祀られる。
⸻ ✦ ⸻
06

関わりの深い場所・聖地巡礼

⸻ ✦ ⸻