【神様図鑑】櫛名田比売命(くしなだひめ)|スサノオに救われた“美しき稲田の女神”

八つの頭を持つ怪物「ヤマタノオロチ」にいけにえとして差し出されそうになった娘。
そこに現れたのが、英雄神スサノオ。

今回はその物語のヒロイン、「櫛名田比売命(くしなだひめのみこと)」をご紹介します。
ただ美しいだけでなく、豊穣や夫婦和合の象徴として信仰されている神様です。


◆ 基本情報|櫛名田比売命とは?

項目内容
神名櫛名田比売命(くしなだひめのみこと)
別名奇稲田姫命(くしいなだひめ)、稲田姫命
神格豊穣神・水神・夫婦和合の神
系譜足名椎神・手名椎神の娘(『古事記』)
配偶神建速須佐之男命(スサノオノミコト)
ご神徳五穀豊穣・夫婦円満・縁結び・家内安全

◆ 神話の中の櫛名田比売|八岐大蛇伝説

『古事記』によると、スサノオは出雲の国に降り立った際、
川のほとりで泣いている老夫婦と一人娘に出会います。

その娘こそが、「櫛名田比売」。

八岐大蛇(ヤマタノオロチ)という恐ろしい怪物が毎年娘を食べに来ており、
八人姉妹のうち七人はすでに食べられてしまい、彼女が最後の一人でした。

スサノオは老夫婦にこう言います。

「もし私にこの娘を嫁がせるのなら、ヤマタノオロチを退治してやろう」

こうしてスサノオはオロチを討ち、櫛名田比売と結ばれます。


◆ 名前の由来と意味

櫛名田比売(くしなだひめ)」の名前には以下のような意味が込められていると考えられています:

  • 櫛(くし):霊力を宿す神聖な道具。オロチ退治の際に彼女を櫛に変えた逸話にも由来。
  • 名田(なだ):名高い稲田。豊かな水田地帯を表す。
  • 比売(ひめ):女性神の敬称。

つまり、「神聖な稲田の姫神」という意味合いを持ち、農耕の象徴ともされています。


◆ スサノオとの夫婦神信仰

櫛名田比売命は、夫スサノオとともに「夫婦神」として信仰されることが多く、
縁結びや夫婦円満の守護神として広く親しまれています。

また、二柱の神が新婚生活を始めた場所として「須賀の地(島根県雲南市)」が伝えられており、
この地には「須我神社(すがじんじゃ)」が鎮座しています。


◆ ご神徳まとめ

ご神徳解説
五穀豊穣稲田の女神として、農業や自然の実りを守護。
縁結び・夫婦円満スサノオとの夫婦神として、良縁や家庭円満を願う信仰。
家内安全家庭に災いが入らぬよう見守る存在。
厄除けヤマタノオロチを退けた神話にちなみ、災厄除けの象徴。

◆ 櫛名田比売を祀る神社

神社名所在地備考
須我神社島根県雲南市スサノオと櫛名田比売が新婚生活を始めた地とされる。
八重垣神社島根県松江市縁結びのご利益で有名。鏡の池の占いも人気。
氷川神社埼玉県さいたま市主祭神としてスサノオ・稲田姫・大己貴命を祀る。

◆ まとめ|命をつなぐ、祈りの象徴

櫛名田比売命は、神話の中では“か弱き乙女”として描かれていますが、
その存在は古代日本の人々にとって「命をつなぐ源」でした。

  • 恐ろしい災いから守ってくれる女神
  • 自然の恵みをもたらす農業神
  • 愛する人との絆をつなぐ縁結びの神

時代を超えて、櫛名田比売命は私たちの祈りの中に生き続けています。

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